最近よく聞く「サ高住」って何? 第12回 いろいろなサ高住をご紹介 ④株式会社やさしい手

2026/10/02

よく耳にするけど、実はよく知らない…そんなサ高住について解説します

サ高住は、何を「強み」にしているかで、そのカラーも変わってきます。そのカラーは、施設の思いそのもの。今回からは、私、藤原が注目している、いろいろな地域のサ高住をご紹介します。インタビューを通して感じた、それぞれのサ高住のアツい思いをお届けします。


◆基本情報

名称:株式会社やさしい手(やさしえ東姫路)
所在地:兵庫県姫路市
強み:駅近でありながら「賃貸住宅」としての気楽さと、屋上庭園を活かした独自のレクリエーション、夫婦で寄り添える看取り支援

 

兵庫県姫路市にある「やさしえ東姫路」は、JR東姫路駅から徒歩1分という好立地にありながら、「施設」ではなく「賃貸住宅」としての気楽さを大切にされているサ高住です。今回は、株式会社やさしい手の小林裕輔エリア長より、現場の活気あふれる取り組みと温かい想いを寄せていただきました。地域に根ざした安心のサポートと、独自のレクリエーションの姿をご紹介します。

 
駅から徒歩1分なので、外出も気軽にできます。

藤原:こちらの住宅ならではの特徴や強み、それを実現するためのこだわりを教えてください。

 

小林:ご近所付き合いを楽しみながら暮らせる環境を大切にしています。特徴的なのは屋上庭園を活かしたレクリエーションで、揚げたてを楽しむ「揚げ物レク」や、夜に花火を観覧する「みなと祭り」などを開催しています。また、衣装や仮装で写真撮影を楽しむファッションショーなど、職員自ら王道から少し外れた企画を楽しみ、入居者様に喜ばれています。過去には「100万人のクラシックライブ」という特別なイベントも実現しました。

 
眺めのいい屋上庭園からは、姫路城も見えます。

藤原:入居者様が安心して「自分らしい生活」を続けるために、日々のサポートや医療・介護の連携で力を入れていることは何ですか?

 

井上:地域の医療機関と連携した訪問診療・訪問看護の体制を整え、24時間365日緊急対応できる体制を構築しています。医療的ケアが必要な方についても、入居前後で状態を継続的に確認し、ケアプランを柔軟に見直すことで早期のサポートにつなげています。また、ご夫婦での入居や系列住宅間での住み替えにも柔軟に対応し、「最期まで大切な人と共に過ごしたい」というご本人・ご家族の願いに寄り添った看取り支援にも力を入れています。

 

藤原:これまでの関わりのなかで、特に心に残っているエピソードや、そこからの気づきがあれば教えてください。

 

井上:全介助が必要となり入居された奥様と、在宅酸素療法を行いながら毎日面会に通われていたご主人様のエピソードです。ご主人様の病状悪化に伴い、当施設のご夫婦部屋へ転居されました。声を失われたご主人様は手話で想いを伝え、「最期まで二人で生活を送る」という願いを実現されました。救急搬送の際、ご主人様は担架を奥様に近づけてもらい、頭を優しく撫でて旅立たれました。このご経験から、入居者様やご家族が本当に望む「最期の形」に寄り添うことこそが、私たちの役割だと改めて学びました。

 

藤原:これからの地域づくりに向けて、今後さらに力を入れていきたい取り組みを教えてください。

 

井上::単身高齢者や身寄りのない方の増加を見据え、身元保証やご逝去後の手続き支援まで見据えた受け入れ体制の強化に力を入れたいです。また、医療機関との連携協定締結や看取り支援の一層の充実を進めるとともに、屋上庭園を活かした独自のレクリエーションなど、入居者様の「その人らしさ」を引き出す取り組みを継続的に発展させていきたいと考えています。

 
大きな窓で解放感のある食堂。アクティビティもここで開催されます。

【藤原のまとめの一言】

「施設」という枠組みにとらわれず、「賃貸住宅としての気楽さ」や「ご近所付き合い」を大切にされる姿勢は、入居者様が自分らしく活き活きと過ごされるための大きな魅力だと感じます。職員の皆様が自ら楽しんで企画される屋上庭園でのレクリエーションも、暮らしに鮮やかな彩りを与えていらっしゃいます。
また、声が出なくなっても手話で想いを伝え合い、最期の瞬間に奥様の頭を優しく撫でて旅立たれたご夫婦のエピソードには、深く胸を打たれました。ご夫婦部屋や系列間での住み替えなど、制度や形態の壁を越えて柔軟に対応されたからこそ叶えられた、まさに絆に寄り添うケアの実践です。
今後は身寄りのない方への支援や逝去後の手続きまで見据えていかれるとのこと。地域のなかで誰もが最後まで安心して、そして「その人らしく」暮らしきることができるセーフティネットとして、これからの発展がますます楽しみな取り組みです。


著者紹介

藤原 雅美(ふじわら まさみ)

高齢者住宅協会兵庫支部長。
看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員。
居宅や老健でのケアマネ経験を経て、現在は富庄トラストパートナーズ株式会社取締役としてサービス付き高齢者向け住宅「アガスティーア姫路」の運営を担う。介護・看護の養成校にて講師も務め、次世代の育成にも尽力する。
「住み慣れた場所で最期を迎えたい」という利用者の願いに応えるため、看取りまで責任を持って関わり続けることを信念としている。一期一会の縁を大切に、ご縁のあった方を最期まで支え抜くべく日々奮闘中。