最近よく聞く「サ高住」って何? 第11回 いろいろなサ高住をご紹介 ③社会医療法人財団慈泉会

2026/09/18

よく耳にするけど、実はよく知らない…そんなサ高住について解説します

サ高住は、何を「強み」にしているかで、そのカラーも変わってきます。そのカラーは、施設の思いそのもの。今回からは、私、藤原が注目している、いろいろな地域のサ高住をご紹介します。インタビューを通して感じた、それぞれのサ高住のアツい思いをお届けします。


◆基本情報

名称:社会医療法人財団慈泉会
所在地:長野県松本市
強み:病院を運営する医療法人のサ高住なので、医療と介護がすぐそばにある安心感がある。また、入居者と家族をつなぐネットワークもしっかりしている。

 

長野県松本市で120年近く、救急医療を核に地域の安心を守り続けている慈泉会。今回は、サ高住の総支配人である井上真琴氏に、歴史ある医療法人ならではの取り組みや、熱い思いを伺いました。あたたかな人と人のつながり、そして、日々の暮らしを大切にするサ高住の魅力についてご紹介します。

 
桜や藤の花がお出迎えしてくれます。

藤原:どういう人が入居していますか?

 

井上:医療法人が運営していることから、退院後の住まいとして選ばれる方や、医療へのアクセスに不安を感じている地域の方などが入居されています。近隣からの入居者も多いですが、「信州の自然が大好き」と都会から移住される方もいます。

 

藤原:こちらの住宅ならではの特徴や強み、それを実現するためのこだわりを教えてください。

 

井上:「医療と介護がすぐそばにある」のが、ここの大きな特徴です。自由に過ごしたい。でも困ったときには頼りたいという当たり前の想いに寄り添い、「ここに住んでよかった」と思っていただける支援、運営を心がけています。一方、ご家族の方々には「ここに住まわせてよかった」と安心していただけるように、サ高住での暮らしをメッセージアプリで共有し、サ高住で過ごされているからこそ見ることのできる入居者さんの笑顔など、日常の姿をご家族にご覧いただいています。

 
メッセージアプリで、入居者様のご様子をご家族にお伝えします。
※写真は、ご本人・ご家族の承諾を得て掲載しております。

藤原:入居者様が安心して「自分らしい生活」を続けるために、日々のサポートや医療・介護の連携で力を入れていることは何ですか?

 

井上:顔なじみのホームヘルパーや、仲間のいるデイサービスに通えるなど、入居後も、これまで利用されていたサービスをできるだけ継続できるよう調整し、引っ越しによる心身の負担(リロケーションダメージ)を最小限に抑えるようにしています。もちろん、医療法人の運営ですから、新たにサービスを利用する場合には、同一法人内の病院や訪問介護、居宅介護支援、訪問看護、訪問リハビリ、デイサービス、デイケアも調整できます。それから、連携する開業医などと、きめ細やかな調整ができるのも、医療法人ならではかもしれません。

 

藤原:これまでの関わりのなかで、特に心に残っているエピソードや、そこからの気づきがあれば教えてください。

 

井上:開所当初から入居いただいていた方が先日お亡くなりになりました。遠方にお住まいで、月に1回程度お見えになっていたご家族が「母が亡くなったことは悲しい。母が亡くなったことで、ここ(サ高住)にくることも無くなり、皆さんと会えなくなることも寂しい」と涙ながらにお話しくださいました。「ここに住んでよかった」「ここに住まわせてよかった」と思っていただくことを目指したことが間違いでなかったと感じています。

 
入居者様、スタッフの心を癒やしてくれる藤棚。藤の花は、英語でwisteria(ウィステリア)。
こちらのサ高住の名前(ウィステリアガーデン結)の由来となっています。

藤原:これからの地域づくりに向けて、今後さらに力を入れていきたい取り組みを教えてください。

 

矢代:外出支援サービスの拡充です。「家族に迷惑がかかるから」とお出かけを我慢している方がいらっしゃいます。歳を重ねても、ご病気があっても、やりたいことができることは生活に必要な当たり前のことです。そうした心に寄り添う支援が、これからの地域づくりにつながると考えています。


【藤原のまとめの一言】

高齢になってからの住まい探しにおいて、「体調を崩したときの医療体制」と「新しい環境に馴染めるかという不安」は、多くの方が直面する大きな壁です。
慈泉会さんの取り組みを拝見すると、医療と介護がすぐ近くで守ってくれる体制があることはもちろん、自社サービスだけに囲い込まず、これまで関わってきた地域のヘルパーさんや仲間とのつながりをそのまま大切にされています。住み替えによるお年寄りの心身の負担を最小限に抑えようとする、本当に優しい視点です。
また、日々の暮らしをメッセージアプリで共有し、お見送りの際にはご家族から「スタッフの皆さんと会えなくなるのが寂しい」と言っていただけるほどの関係性を築かれていることは、まさに「一期一会」の出会いを大切にされている証拠です。医療の大きな安心感に守られながらも、どこまでも「自分らしい豊かな暮らし」や「外出の楽しみ」を追求し続けるその姿は、これからの高齢者の住まいが目指すべき、ひとつの理想的なお手本を示してくれています。


著者紹介

藤原 雅美(ふじわら まさみ)

高齢者住宅協会兵庫支部長。
看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員。
居宅や老健でのケアマネ経験を経て、現在は富庄トラストパートナーズ株式会社取締役としてサービス付き高齢者向け住宅「アガスティーア姫路」の運営を担う。介護・看護の養成校にて講師も務め、次世代の育成にも尽力する。
「住み慣れた場所で最期を迎えたい」という利用者の願いに応えるため、看取りまで責任を持って関わり続けることを信念としている。一期一会の縁を大切に、ご縁のあった方を最期まで支え抜くべく日々奮闘中。