利用者の「いつもと違う」に気づく! 第5回:耳の観察と対応のコツ

2026/08/18

耳だれが出ている、急に声が聞こえづらくなった……。「耳」の異変に気づくポイントと対応を解説します。

著者プロフィール

 

真鍋哲子(まなべ てつこ) 看護と介護の想いを繋ぐ会社 株式会社ONMUSUBI 代表取締役

 

福岡県北九州市出身。看護師として外科、整形外科、内科、精神科などを経験。2002年より高齢者施設の看護師として勤務し、2024年に株式会社ONMUSUBIを立ち上げ現在に至る。生活のなかの看護を追求し、チームケアを大切に現場での実践に取り組む。



介護現場において、利用者の耳の異変はコミュニケーションの阻害だけでなく、イライラや孤立、さらには転倒などのリスクにもつながります。しかし、耳のトラブルは本人も「年のせいだから」と我慢してしまい、周囲が気づけないことも少なくありません。
連載第5回は、日々の会話やケアのなかでキャッチしたい「耳」の観察ポイントと対応をまとめます。

 

1 耳だれがある

耳だれは、耳の穴から出てくる分泌物のことで、耳漏(じろう)とも言います。耳かきでできた傷や耳の中の炎症が原因で起こることが多く、自然に治ることもありますが、適切な治療を行わなければ悪化することもあります。

 

【観察のチェックポイント】

・耳だれの性状
・痛み、かゆみの有無
・耳だれの頻度
・耳の聞こえ具合
・耳鳴りの有無
・頭を打っていないか
・回転性めまい、頭痛の有無
・発熱の有無

 

【介護職としての対応】

耳だれを発見したときは、水で濡らしてかたく絞ったティッシュを使い、耳の穴の外側だけを軽く拭き取ります。綿棒などで耳の奥(内側)までしっかり拭き取りたくなりますが、傷つける恐れがあるため内側には触らず、医療職に報告してください。また、中耳炎などの既往歴を確認し、耳だれの性状(無色透明、粘り気がある、膿が出ている、血が混じっている、臭いがあるかなど)も詳しく医療職へ伝えるとスムーズな処置につながります。



2 聞こえづらい

音が聞こえづらくなっている状態を難聴といいます。高齢者に多いのは加齢に伴う加齢性難聴ですが、耳あかがたまっているだけのケースや、早急な治療が必要なケースもあります。

 

【観察のチェックポイント】

・聴力の低下のスピード
・聞き取りにくい音域(高音、低音)
・耳鳴り、めまい、頭痛の有無
・耳あかのたまり具合
・耳閉感、耳に水が入ったような感覚の有無
・話し声が大きくなっている
・聞き返すことが多くなった
・耳の中の傷や炎症の有無

 

【介護職としての対応】

通常の耳あか除去であれば介護職でも可能ですが、耳あかが完全に耳の穴をふさいでしまっている(耳垢塞栓)場合は介護職では対応できないため、医療職に報告します。 コミュニケーションをとる際は、静かな場所を選び、相手の視界に入って視線を合わせ、口を大きく動かして話すようにしましょう。身ぶりや筆談、コミュニケーションボードなどを活用するのも有効です。

 

※「突然聞こえなくなった」「耳鳴りやめまいがある」「発熱や耳の痛みがある」といった場合は、突発性難聴や感染症などの可能性があります。早期の治療が重要なため、様子を見ず、速やかに耳鼻咽喉科の受診をすすめましょう。


もっと詳しく知りたい方はこちら

利用者の「いつもと違う」を早期発見するための知識が体系的にまとめられています。