利用者の「いつもと違う」に気づく! 第4回:皮膚の観察と対応のコツ

2026/08/04

肌のカサカサ、むくみ、赤み、爪の変形……。皮膚の「いつもと違う」を見逃さないためのポイントを解説しま

著者プロフィール

 

真鍋哲子(まなべ てつこ) 看護と介護の想いを繋ぐ会社 株式会社ONMUSUBI 代表取締役

 

福岡県北九州市出身。看護師として外科、整形外科、内科、精神科などを経験。2002年より高齢者施設の看護師として勤務し、2024年に株式会社ONMUSUBIを立ち上げ現在に至る。生活のなかの看護を追求し、チームケアを大切に現場での実践に取り組む。



高齢になると皮膚の機能が低下し、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。 皮膚の異変は、入浴や着替え、排泄介助など、利用者の体に直接触れる機会が多い介護職だからこそ、もっとも早く気づける部分です。 小さな変化を放置すると、かき傷からの感染や褥瘡(床ずれ)につながることもあるため、日ごろの観察が非常に重要です。
連載第4回は、毎日のケアで見落としたくない「皮膚」の観察ポイントと対応をまとめます。

 

1  カサカサしている

高齢者は、皮脂の分泌量や肌の水分が減るため、皮膚が乾燥しがちです。皮膚の バリア機能が低下すると、かゆみや湿疹、褥瘡などのトラブルを引き起こしやすくなります。

 

【観察のチェックポイント】

①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。

 

●ピリピリとした痛みの有無
●ひび割れの有無
●かゆみ、かき傷の有無
●赤み、炎症、湿疹の有無
●脱水の有無
●症状の変化の有無(時期、強さ、部位、範囲など)
●スキンケアの内容
●入浴時の湯の温度、手法、洗浄剤の種類
●室内の湿度や温度
●寝具、着衣の素材

 

【介護職としての対応】

乾燥肌の利用者には、夏はローション、冬はクリームなど季節に合わせた保湿剤を塗りましょう。 入浴時に体を洗いすぎると皮脂を奪い、乾燥させてしまいます。泡立てた石けんで優しく洗うことが大切です。お湯の温度は、ぬるめの39℃程度がおすすめです。 室内の乾燥を防ぐために加湿器を活用し、肌着は木綿など刺激の少ない素材を選んでください。 また、香辛料やカフェインなど刺激物の摂りすぎはかゆみを悪化させるため、控えましょう。



2  むくんでいる

むくみ(浮腫)は、皮下組織に余分な水分がたまった状態をいいます。 重症化すると足が重くなって歩行が困難になります。脛のあたりを指で数秒押して痕が残った場合は、むくんでいる証拠です。

 

【観察のチェックポイント】

●浮腫の部位、程度(脛などを指で押して痕が残るか)
●痛み、赤み、局所の熱感の有無
●倦怠感、疲労感の有無
●皮膚の弾力性、乾燥、冷感の有無
●食欲の有無
●体重増加の有無
●呼吸数、動悸、息切れ、喘鳴(ぜんめい)の有無
●排尿の状態(水分摂取量と尿の排出量のバランス)
●生活状態(ずっと座ったままになっていないかなど)
●薬の副作用の有無

 

【介護職としての対応】

足にむくみがある利用者がいすに座るときは、同じ高さのいすを並べるなどして脚を水平に上げられるように工夫します。 座った状態でつま先やかかとの上げ下げを行う軽い運動や、足浴・マッサージ(医師の許可を得た正しい方法)も効果的です。 冷えもむくみの原因になるため、靴下やひざ掛けを使って体を守りましょう。 毎日の体重測定も体の変化を把握するのに有効です。

※下肢に痛みや発赤、熱感がある場合は、深部静脈血栓症の疑いがあるため、すぐに医療職へ報告してください。



3  湿疹・赤みがある

発疹や赤みは、皮膚の病気だけでなく内科的な疾患が原因となることがあります。認知症などによって、痛みやかゆみをうったえられない人もいるので、入浴や清拭、排泄の介助のときに、皮膚の観察をするようにしましょう。

 

【観察のチェックポイント】

●発疹がある部位、大きさ、色、形
●発疹の広がり方
●発疹部分の皮膚の盛り上がり
●かゆみの有無
●水ぶくれ、ただれの有無
●膿(うみ)が出ているか
●皮膚は乾燥しているか(カサカサ、ザラザラなど)
●アレルギーの有無

 

【介護職としての対応】

入浴時は患部をこすらず優しく洗い、保湿します。 施設内で集団感染しやすい「疥癬」や、強い痛みを伴う「帯状疱疹」などの可能性もあるため、自己判断せず早めに医師に診てもらいましょう。 排泄物が皮膚炎を招くこともあるので、洗浄(清拭)、保湿、保護を徹底してください。
処方された軟膏などは、一度塗った部分に重ねて塗るのではなく、きれいに洗浄し、清潔にしてから塗るようにしましょう。感染予防のため、必ず手袋を着用して塗ってください。



4  腫れている

皮膚の腫れは、転倒による打撲や虫刺され、アレルギーのほか、感染症が原因になっていることもあります。高齢者の肌はデリケートなので、ケアをする際は優しくそっと触れましょう。

 

【観察のチェックポイント】

●腫れが現れた時期、続いている期間
●腫れている部位の大きさ、色、硬さ
●痛み、傷、かゆみ、熱感の有無
●1日のなかでの腫れの変動
●転倒、打撲の有無
●圧迫していないか(体位)
●皮膚の状態(乾燥、弾力性など)
●アレルギーの有無
●その他、自覚症状の有無(具体的に)

 

【介護職としての対応】

転倒・打撲が原因の場合は、その状況を正確に医療職へ伝え、再発防止策を講じます。 腫れとともに強い赤みや熱感があり、高熱が出ている場合は、細菌感染症が疑われます。速やかに医療職に伝えましょう。
※皮膚の腫れに以外に、息苦しさ、咳、腹痛、吐き気、動悸などの症状がある場合は、「アナフィラキシーショック」を起こしている可能性があります。命にかかわるため、直ちに119番通報をしてください。



5 爪がおかしい

加齢に伴い、爪も水分を失って乾燥し、厚く硬くなっていきます。 歩行時の痛みなど二次障害を引き起こす可能性もあるので、しっかり観察することが必要です。

 

【観察のチェックポイント】

●爪の長さ(伸びていないか)
●爪の色(黄色、白色、褐色など)
●爪の形状(表面の筋、凹凸など)
●巻き爪、爪の厚み(肥厚していないか)
●爪のひび割れ、剥がれの有無
●爪の不快感、痛みの有無
●周囲の皮膚の状態(赤み、ただれなど)
●爪白癬(爪の水虫)の有無、
●炎症、化膿などの異常
●糖尿病などの既往歴

 

【介護職としての対応】

毎日の靴下の着脱時や入浴時に爪の状態を観察し、色の変化や皮膚への食い込み、痛みがあれば看護師へ相談しましょう。 異常がない通常の爪であれば、介護職が爪切りを行っても問題ありませんが、爪が硬く乾燥した状態で切ると割れやすくなります。 爪切りは必ず入浴や足浴のあとなど、爪が十分にやわらかくなっているタイミングで行い、仕上げに爪や周囲の保湿を行うことがトラブル防止のコツです。


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