利用者の「いつもと違う」に気づく! 第3回:目の観察と対応のコツ

2026/07/14

視覚情報は生活の質に直結します。今回は、「目」から読み取れるサインを解説します。

著者プロフィール

 

真鍋哲子(まなべ てつこ) 看護と介護の想いを繋ぐ会社 株式会社ONMUSUBI 代表取締役

 

福岡県北九州市出身。看護師として外科、整形外科、内科、精神科などを経験。2002年より高齢者施設の看護師として勤務し、2024年に株式会社ONMUSUBIを立ち上げ現在に至る。生活のなかの看護を追求し、チームケアを大切に現場での実践に取り組む。



「目は口ほどに物を言う」という言葉がありますが、介護の現場でも利用者の目は多くの情報を伝えてくれます。 視力低下や痛みがあれば、歩行時のふらつきや食事の摂取量にも影響が出ますし、目の輝きや動きからは意識状態や精神的な充実度まで伺い知ることができます。

 

連載第3回となる今回は、見逃しやすい「目」の異変に関する観察ポイントと対応をまとめます。

 

1.急に見えなくなった

目の症状のほかに「目が痛い」「頭痛がする」「吐き気がする」といった症状がある場合は、急性緑内障発作、網膜剥離などの病気かもしれません。早急な診察と治療が必要です。

 

【観察のチェックポイント】

①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。

 

・どちらの目が見えないか(片方、両方)
・見える程度(まったく見えない、あかりは見えるなど)
・目の痛み、充血の有無
・表情の変化の有無
・目の疾患の有無
・頭痛、めまいの有無
・吐き気、嘔吐の有無
・涙、目やにの有無
・見える範囲
・体の動き

 

【介護職としての対応】

いつからそうなったのか、どのように見えにくいのか(暗い、ぼやけているなど)などを本人に聞きましょう。目の見えにくさよりも頭痛や吐き気などの症状のほうが辛くて、内科を受診してしまうケースもあります。そのため、「もしかしたら目の症状かも?」と確認することが大切です。

 

自分で伝えられない利用者の場合は、「目をおさえていないか」「目を細めていないか」「急につまずくことがないか」など、日常生活での変化がないか観察しましょう。眼科に受診したことがあるかを確認しておくことも大切です。



2.部分的に見えなくなった

脳出血や脳梗塞などの脳の病気や、緑内障、網膜の異常など目の病気が原因によって視力に影響が出ることもあります。早めに発見して治療することが大切です。

 

【観察のチェックポイント】

①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。

 

・目の疾患の有無
・目の痛み、異物感の有無
・見えにくい部分(中心、外側など)
・頭痛、吐き気などの有無
・見える明るさ、色の変化
・両目と片目での見え方の変化
・ADL(日常生活動作)
・体の動き

 

【介護職としての対応】

目の症状に関しては、眼科医の意見を聞きましょう。

 

見えなくなったのが片目だけで、視野の中心部は見えているという場合、「見えない」ことに気づきにくくなります。充血していないか、痛そうにしていないかなど、利用者の様子を観察しましょう。目が見えにくいと、転倒やケガなどのリスクもあります。周囲の環境を整え、障害物を取り除くなどの対策をとりましょう。また、丁寧なコミュニケーションを心がけ、安心感を与えることも大切です。



3.目がかゆい

目がかゆいと、ついこすったり触ったりしてしまいますが、これは角膜を傷つける原因になります。かゆみはアレルギーや感染性結膜炎などの場合もあるので、悪化する前に眼科を受信しましょう。

 

【観察のチェックポイント】

①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。

 

・目の周囲の赤身、発疹の有無
・まぶたの腫れ、浮腫の有無
・目の異物感、痛みの有無
・目やになどの分泌物の有無
・目の乾燥の有無
・かゆみが出る条件(時間、場所など)
・アレルギー物質の影響(動物、花粉、ハウスダストなど)
・くしゃみ、鼻水の有無

 

【介護職としての対応】

目がかゆいときは、目を洗ったり、目の周りを冷やしたりすることが有効です。しかし、ドライアイの場合は温めたほうがいいなど、原因によって対応がことなります。ほかの利用者に職員に感染する可能性もあるので、医療職に正しい判断を仰ぐことが大切です。

 

認知機能が低下している利用者は、目を触らないよう言われてもついつい触ってしまうことがあるので、目以外に気持ちが向くよう、利用者が興味のありそうな話をするなど、気分転換をするようにしてください。



4.目が充血している

高齢になると、白目にしわが入り、目の血管がもろくなるため、まばたきによる摩擦で血管がやぶれることもあります。目の充血は、目の疲れや炎症だけでなく、病気が原因となっていることもあります。しっかり医療職に報告しましょう。

 

【観察のチェックポイント】

①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。

 

・充血が始まった時期
・充血の色、程度(濃さ、赤みの程度)
・充血の広がり方
・両目の比較
・痛み、かゆみの有無
・涙、目やになどの分泌物の有無
・視野に問題がないか
・ADL(日常生活動作)
・周りに同じ症状の人がいるか
・アレルギー症状(くしゃみ、鼻水など)

 

【介護職としての対応】

目が充血している場合、まずはその原因を特定するために医師の診断を受けることが大切です。眼精疲労やアレルギー反応、感染症が原因の場合があります。利用者が目をこすらないように見守りましょう。医師が処方した点眼薬を使用する場合は、正しい点眼方法を確認してください。



5.目やにが多い

目やには、正しくは「眼脂(がんし)」といいます。朝起きたときに少量目についているのは、正常な代謝活動によるものですが、量が多かったり、ネバネバしていたり、色がついていたりする場合は、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。

 

【観察のチェックポイント】

①バイタルサイン、②既往歴・治療歴、③食事・水分摂取量、④服薬情報に加えて、下記のことを確認しましょう。

 

・目やにの量
・目やにの色、質(透明、白、黄色、緑など)
・充血、かゆみの有無
・目の周囲のかぶれ、赤みの有無
・出現頻度(朝起きたときのみ、1日中など)
・不快感、痛みの有無
・目の見え具合(視力低下はないか)
・その他、自覚症状の有無(具体的に)

 

【介護職としての対応】

起きたらしっかり顔を洗い、目の周りを清潔に保つことが大切です。目やにが周囲の皮膚のただれや炎症を起こすこともあるので、目やにが多い場合は、眼科で点眼薬を処方してもらい定期的に点眼しましょう。結膜炎が原因の場合は、周囲への感染対策も必要です。目やに以外に充血などの症状があれば、受診時にしっかり報告しましょう。


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