誌上ケース検討会 第103回 介護負担の重さから施設入所に至ったケースへの支援を振り返る (2009年1月号掲載)
2026/04/28
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
スーパーバイザー
奥川 幸子
(プロフィールは下記)
事例提出者
Kさん(居宅介護支援事業所・保健師)
クライアント
Aさん・84歳・女性
提出理由
介護疲れによる虐待が見られ、介護者の心身の負担とクライアントの精神的負担が限界と判断でき、また介護者からの希望もあったため施設入所となったケース。支援の経過を振り返り、自分の対応でよかったのか、また家族関係の問題があったように思うが、ケアマネジャーとしてどこまで踏み込めばよいのか等を検討していただきたい。
家族構成
長男:59歳。兼業農家で平日は会社員、休日に農業を行う。「介護は嫁がすべき」と考えており、介護に協力することはない。
嫁:58歳。主介護者。主婦、農作業に従事。心肥大、高血圧症がある。
孫:男女一人ずつ(男32歳、女29歳)。それぞれ隣県で世帯を構えている。盆と正月には帰省をするが、日常的には行き来はない(電話連絡などはそれなりにしている模様)。
生活歴
農家に嫁ぎ、主婦と農業をしてきた。夫はH9年に死亡。H13年頃までは畑仕事をしてきたが、認知症の進行に伴い行うのが難しくなった。女学校出で頭がよく、プライドが高い。嫁が嫁いだ当初から厳しかったとのこと(嫁の話)。
経済状況
国民年金(1カ月約8万円)。田畑のほかに土地も持っている(土地の名義は長男)。
住宅状況
持ち家。2階建ての1階に本人の部屋がある。住居はかなり広い。
診断名
アルツハイマー型認知症。
ここから先は、誌面の PDFファイル にてご覧ください。
プロフィール
奥川 幸子(おくがわ さちこ)
対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。
