誌上ケース検討会 第102回 精神科病院に20年間入院している統合失調症の男性への支援を考える (2008年12月号掲載)

2026/04/14

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


スーパーバイザー

野中 猛
(プロフィールは下記)

 

事例提出者

Hさん(精神科病院・作業療法士(OT))

 

クライアントの状況

B氏・男性・48歳・独身
診断名:統合失調症、シンナー後遺症

 

※本ケース検討会は作業療法士養成課程の卒前教育の一環として行われたものです。

 

生活歴

 県内で生まれる。成績は、小学校・中学校と普通。14歳のときに実母が自殺。18歳のときに父親が再婚した頃から、バイクに乗ったり友人とシンナーを始めたりした。大学進学後は高校時代の友人と離れ、しばらくシンナーを止めていたが、大学2年で再び始める。
 大学4年時は留年すると思っていたので就職活動はしなかった。しかし、単位がとれ卒業することができた。1年間就職せずに遊んでいた後、生命保険会社に就職するが、3カ月で退職した。その後、シンナーを始める。退職から半年後、別の会社に就職し、事務の仕事に就く。
 精神科の初診は24歳のときに当院を受診。以後、4年の間に3回入退院を繰り返す。入院期間は3カ月~11カ月。外泊中や退院後はシンナーを吸っており、通院・服薬はしていなかった。
 退院後はそのつど復職するが、欠勤が多かった。28歳のとき、夜中にシンナーを吸ってガラスを割るなどして暴れ、家族に説得されて入院となる。以後、現在に至るまで20年間入院している。
 1年半前までは開放病棟に入院しており、地下鉄を利用して1人で映画を見に行ったりしていた。しかし、その後2度の自傷行為があり、現在は閉鎖病棟で過ごしている。


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プロフィール

野中 猛(のなか たけし)

1951年生まれ。弘前大学医学部卒業。藤代健生病院、代々木病院、みさと協立病院、埼玉県立精神保健総合センターを経て、日本福祉大学社会福祉学部教授。専攻は臨床精神医学、精神障害リハビリテーション、地域精神保健、精神分析学など。主な著書に『心の病 回復への道』(岩波新書)、『図説ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『多職種連携の技術(アート)』(以上、中央法規出版)、『ソーシャルワーカーのための医学』(有斐閣)などがある。 2013年7月逝去。