誌上ケース検討会 第100回 ターミナル期の夫と認知症の妻の二人暮らし世帯への支援を考える (2008年10月号掲載)
2026/03/17
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
スーパーバイザー
奥川 幸子
(プロフィールは下記)
事例提出者
Fさん(訪問介護事業所・サービス提供責任者)
クライアント
A氏(夫):79歳・要介護3
Bさん(妻):77歳・要介護1
提出理由
がん療養生活(ターミナル)を送る夫の生活に、認知症をもつ妻の行動が障害になっていると思う。また、妻自身もその生活に満足していないと思われるのでヘルパーステーションとしてどう対応していいか悩んでいる。
検討していただきたいこと
がん手術後、療養生活を送っている夫が、適切な栄養が取れ、精神的にも安定している状態で過ごせるようにするためにはどうしたらいいのか?
現病歴
●A氏:5カ月前に食道がん切除手術を受ける。自宅療養中。空腸ろう(口から食べられるようになったら外す予定)。手すりを利用して歩行はできるが、目まいとふらつきがある。栄養が取れず、筋力が低下している。
入浴:一般浴槽で介助必要
排泄:一応自立だが、夜は尿瓶を使用
経管栄養:1秒1滴で行うが下痢になることが多く、バックを持ってトイレに行く時は介助が必要
●Bさん:認知症。ADLは一応自立している。直前のことも忘れてしまい、不安な様子。夫の手術のことも忘れており、いろいろな人(ヘルパー等)が自宅を訪問することに戸惑っている。
紹介経路
入院中の夫が、一人で見舞いに来る妻の様子(病院に行こうとしてタクシーを呼ぶが、行き先や病室がわからなくなっている)を不安に思い、姪夫婦を通して依頼。
ここから先は、誌面の PDFファイル にてご覧ください。
プロフィール
奥川 幸子(おくがわ さちこ)
対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。
