誌上ケース検討会 第99回 認知症の利用者を抱える3世代同居世帯への支援を考える (2008年9月号掲載)

2026/03/03

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


スーパーバイザー

野中 猛
(プロフィールは下記)

 

事例提出者

Rさん(居宅介護支援事業所・介護福祉士)

 

クライアント

Aさん・89歳・女性・要介護3

 

提出理由

 認知症の本人を介護している家族が、毎夕の徘徊や怒鳴り声等の周辺症状に耐え切れず、大きなストレスを感じている。本人、家族にとって少しでもストレスの少ない生活を実現したいと思っているが、本人や介護者との面接がうまくもてず、信頼関係をつくることに苦慮しているため。

 

事例の概要

 クライアントは要介護3の女性。平成17年にアルツハイマー型認知症の診断を受ける。同居家族は長男の妻(60歳)と孫夫婦(夫30歳、妻26歳)の4人暮らし。長男は平成18年に死去。次男、長女はともに同市内に在住。次女は他県に在住。
 長男の死去後、クライアントは以前にも増して感情の起伏が激しくなり、怒ったり泣いたりすることが増え、徘徊も出現。長男の死を受け入れられず、不安と混乱のただなかにいる模様。長男の妻に対しては冷たく当たり、長年の嫁姑の関係もあり、長男の妻の負担は大きい。
 長男の妻は月に1回でも負担軽減のためショートステイを利用したい意向をもっている。同居の孫息子は協力的であるが、母親(長男の妻)の対応に批判的で、「(クライアントを)怒ってはダメ。自分の性格を直せ」と言っている。ショートステイの利用も、利用後のクライアントの混乱を心配し、賛成しかねている。

 

紹介経路

 平成19年6月、前任者の退職にともない引継ぐ。クライアントは平成17年から週2回デイサービスを利用している。

 

クライアントのプロフィール

 3人きょうだいの長女として、同県内で出生。嫁いでからは仕事に出かけたことはなく、専業主婦として4人の子どもを育てた。


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プロフィール

野中 猛(のなか たけし)

1951年生まれ。弘前大学医学部卒業。藤代健生病院、代々木病院、みさと協立病院、埼玉県立精神保健総合センターを経て、日本福祉大学社会福祉学部教授。専攻は臨床精神医学、精神障害リハビリテーション、地域精神保健、精神分析学など。主な著書に『心の病 回復への道』(岩波新書)、『図説ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『多職種連携の技術(アート)』(以上、中央法規出版)、『ソーシャルワーカーのための医学』(有斐閣)などがある。 2013年7月逝去。