誌上ケース検討会 第94回 精神障害の娘をもつ死を間近に控えた母親への支援を考える(2008年4月号掲載)
2025/12/23
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
スーパーバイザー
奥川 幸子
(プロフィールは下記)
事例提出者
Fさん(居宅介護支援事業所・看護師)
提出理由
精神障害をもつ娘との二人暮らしのクライアントS氏。基礎疾患に骨粗鬆症があることから頻回の圧迫骨折と低栄養状態もかさなり、平成17年からヘルパーを利用、現在は寝たきり状態で介護が必要となっている。援助者側から見ると医療的治療と栄養改善が必要ではないかと思われるが、思想的なことが背景にあり、医療を拒否して民間療法(食事療法)を徹底している。今後も今の生き方を貫きたいと希望するクライアントへの援助のあり方について、事例を検証しながらご意見をいただきたい。
事例概要
●クライアント
S氏(65歳・女性)
▼要介護度:要介護2
▼ADL:寝返り、起き上がり、立ち上がりに30分程度の時間を要する。歩行は5~6メートルの距離を歩行器移動。排泄はおむつ(自分で処理)。更衣と入浴は一部介助。1㎏以上のものは重くて持てない。
▼家族構成:娘(31歳)と二人暮らし。近隣に娘夫婦がすむ。
▼紹介経路
地域包括支援センターより、要介護認定の更新にともない要支援2から要介護2となったため、担当依頼がある。
▼事前情報
本人と31歳の娘の二人暮らし。本人は重度の骨粗鬆症で、胸部と脊椎の圧迫骨折を繰り返している。痛みのために1日の大半を臥床状態で過ごしている。娘は5~6年前から精神に異常を来たしており、身辺処理を含むすべてのことに介助が必要。意思疎通もとれない。娘のアトピー性皮膚炎の治療を行うなかで医療不信となり、民間療法(食事療法)を信奉している。二人の世話は近くに住んでいる妹が行っている。
ここから先は、誌面の PDFファイル にてご覧ください。
プロフィール
奥川 幸子(おくがわ さちこ)
対人援助職トレーナー。1972年東京学芸大学聾教育科卒業。東京都養育院附属病院(現・東京都健康長寿医療センター)で24年間、医療ソーシャルワーカーとして勤務。また、金沢大学医療技術短期大学部、立教大学、日本社会事業大学専門職大学院などで教鞭もとる。1997年より、さまざまな対人援助職に対するスーパーヴィジョン(個人とグループ対象)と研修会の講師(講義と演習)を中心に活動した。主な著書(および共編著)に『未知との遭遇~癒しとしての面接』(三輪書店)、『ビデオ・面接への招待』『スーパービジョンへの招待』『身体知と言語』(以上、中央法規出版)などがある。 2018年9月逝去。
