誌上ケース検討会 第93回 30代で脳梗塞を患った利用者への支援を考える (2008年2月号掲載)
2025/12/09
このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。
スーパーバイザー
野中 猛
(プロフィールは下記)
事例提出者
Cさん(総合相談支援センター・社会福祉士)
クライアント
Aさん(37歳・男性)
傷病名
脳梗塞(3年前に発症)
身体状態
ADLはほぼ自立しているが、脳梗塞の後遺症により右半身麻痺が残っている。同じく後遺症により、言葉がうまく出ない(単語程度)ため、コミュニケーションは筆談で行っている。
家族構成
父(71歳・認知症のため入院中)、母(67歳)、弟(35歳)と同居
住宅
持ち家の一戸建て(2階建て)
経済
障害年金(1級)
生活歴
小学校高学年の時に不登校になり、中学校もほとんど登校しなかった。高校進学はせず、その後は家にいる状態となる。
紹介経路
脳梗塞発症による1カ月の入院を経て、リハビリ病院にて4カ月にわたるリハビリを終えた後、在宅へ帰る際に支援を依頼される(リハビリ病院のMSWより退院2週間前に連絡があり、病院で初めてAさんと母親に会う)。
これまでの経緯
退院当初は週2回病院に通院し、リハビリを受けていた。病院以外に家の外に出る場がないことから、自宅から歩いて10分ほどのところにあるデイサービスを紹介する。最初は抵抗を示すが、徐々に活動に参加し、笑顔も見られるようになった。ところが、自立支援法の施行に伴い、障害程度区分が「2」となったため、デイサービスの利用ができなくなる。デイサービスのかわりに地域活動支援センターの利用をうながすべくかかわるが、なかなか利用に結びつかない(本人はデイサービスを気に入っており、続けて利用したいという気持ちが強いため)。ワーカー(事例提出者)が自宅へ訪問することは受け入れてくれるが、サービスの利用は拒否される膠着状態が半年ほど続いている。なんらかの突破口を見出せればと思い、事例を提出することにした。
ここから先は、誌面の PDFファイル にてご覧ください。
プロフィール
野中 猛(のなか たけし)
1951年生まれ。弘前大学医学部卒業。藤代健生病院、代々木病院、みさと協立病院、埼玉県立精神保健総合センターを経て、日本福祉大学社会福祉学部教授。専攻は臨床精神医学、精神障害リハビリテーション、地域精神保健、精神分析学など。主な著書に『心の病 回復への道』(岩波新書)、『図説ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『多職種連携の技術(アート)』(以上、中央法規出版)、『ソーシャルワーカーのための医学』(有斐閣)などがある。 2013年7月逝去。
