対人支援に役立つ 会話例で納得!コーチングのススメ 第11回 自分のタイプを知ろう!<前編>コーチング流タイプ分け

2025/08/21

 ケアマネジャーには、さまざまな場面で円滑なコミュニケーションをとることが求められます。一方、実際の場面では「困難さ」を抱えるケアマネジャーも少なくありません。本連載では、人間関係構築や多職種連携に役立つコーチングの手法を紹介します。

 

この記事の監修者

眞辺一範(株式会社ふくなかまジャパン代表取締役社長)
1998年、日本初のプロコーチを養成する「コーチ・トレーニング・プログラム」を履修し、認定コーチを取得。現在は国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ、(一財)生涯学習開発財団認定マスターコーチ、コーチ・エィ アカデミアクラスコーチ、日本コーチ協会京都チャプター事務局長としてコーチングの活動や実践に取り組んでいる。

 

対話の不調和からくるリスク

 どのような人にもコミュニケーションがうまくいかない相手はいるものです。対話がかみ合わないと、不安や不信が募り、相手に対して苦手意識をもつようになります。これを放置していると、意見の合う人同士でグループをつくるようになり、派閥が生まれてしまいます。そうなると、ワンチームとして機能しなくなります。チームアプローチを進めていくうえで、このような二極化傾向は大きなリスクです。


コーチング流タイプ分けとは?

 株式会社コーチ・エィが開発した「タイプ分け™」*というテストは、臨床心理学や組織行動学等をベースに、人のコミュニケーションスタイルを4タイプに分類しています(図1)。
 相手と円滑な関係を築くためには、「タイプ分けチェックテスト(簡易版)」(表1)で自分のタイプを知ることから始めましょう。あなたの日頃の人とのかかわり方やものの考え方を振り返り、次の20項目について、該当する数字を選んでください(1=よくあてはまる、2=あてはまる、3=あまりあてはまらない、4=あてはまらない)。1もしくは4を選ぶようにするとより明確なタイプが出てきます。
 すべての人をたった4つのタイプに分けることには無理がありますので、あくまで人にはそれぞれ多種多様な価値観や考え方があるということを知るためのツールとしてとりいれましょう。
 回答したら、表2の計算式に基づき、4タイプそれぞれの合計点を算出しましょう。最も得点が高かったものがあなたのタイプです(図2)。

 

*「タイプ分け™」は株式会社コーチ・エィの登録商標です。


▼図1 「タイプ分け™」の4タイプ


▼表1 タイプ分けチェックテスト(簡易版)

①自己主張することが下手だと思う 1・2・3・4
②常に未来に対して情熱を持っているほうだ 1・2・3・4
③他人のためにしたことを感謝されないと悔しく思うことがある 1・2・3・4
④いやなことはいやと、はっきり言える 1・2・3・4
⑤人にはなかなか気を許さない 1・2・3・4
⑥人から楽しい人とよく言われる 1・2・3・4
⑦短い時間にできるだけ多くのことをしようとする 1・2・3・4
⑧失敗しても立ち直りが早い 1・2・3・4
⑨人からものを頼まれるとなかなかノーと言えない 1・2・3・4
⑩たくさんの情報を検討してから決断を下す 1・2・3・4
⑪人の話を聞くことよりも自分が話していることのほうが多い 1・2・3・4
⑫どちらかというと人見知りするほうだ 1・2・3・4
⑬自分と他人をよく比較する 1・2・3・4
⑭変化に強く適応力がある 1・2・3・4
⑮何事も自分の感情を表現することが苦手だ 1・2・3・4
⑯相手の好き嫌いにかかわらず、人の世話をしてしまうほうだ 1・2・3・4
⑰自分が思ったことはストレートに言う 1・2・3・4
⑱仕事のできばえについて人から認められたい 1・2・3・4
⑲競争心が強い 1・2・3・4
⑳何事も完全にしないと気がすまない 1・2・3・4

▼表2 タイプ別の計算方法

▷▷コントローラー
11-(④⑦⑰⑲⑳の合計) =〇〇点
▷▷プロモーター
12-(②⑥⑧⑪⑭の合計) =〇〇点
▷▷サポーター
12-(③⑨⑬⑯⑱の合計) =〇〇点
▷▷アナライザー
13-(①⑤⑩⑫⑮の合計) =〇〇点

▼図2 4タイプの主な特徴


タイプ分けをコーチングに活用しよう

 職場内でこの「タイプ分け™」を行い、4タイプそれぞれの特徴を理解したうえで、相手の特性に応じた対話を行います。注意したいのは、「コントローラーとサポーター」「プロモーターとアナライザー」の対話です。タイプが真逆のこの組み合わせは、相性が悪いといわれています。しかしお互いの違いを認め、それぞれの弱点を補完し合う関係になれば、最高のパフォーマンスを生む可能性を秘めています。
 自分と相手のタイプを正しく理解し、ウマが合わないと感じる相手に対しても新しいかかわりを創造できるようにしましょう。
 次回は、今回紹介した4タイプそれぞれのコミュニケーションのポイントを解説していきます。