今月の月刊ケアマネジャー(9月号) 治療薬、法制度、本人・家族の支援 現場で役立つ認知症の最新知識
2025/08/20

『月刊ケアマネジャー』2025年9月号から、特集(現場で役立つ認知症の最新知識)の内容を一部ご紹介いたします。
2030年には、推定患者数が約523万人に達すると予測される認知症。相談援助の現場においても、認知症のある利用者は増加傾向にあります。本特集では、最新の施策動向や認知症の人へのかかわり方、認知症と間違えやすい疾患をテーマに、各分野の識者が丁寧に解説。認知症ケアの新常識について、理解を深めましょう。
認知症ケアの“今”がわかる 認知症をめぐる最新動向
ケアマネジャーとして、認知症に関する最新の知見は押さえておきたいところ。「薬」「法制度・施策」の2つに分け、認知症にまつわるトピックスを概観します。
【薬編】アルツハイマー型認知症治療の新時代へ
アルツハイマー型認知症(以下、AD)は日本人の認知症の6割以上を占めるとされており、ケアの現場では非常にポピュラーな疾患です。近年、ADの根本的な進行抑制を目的とした新たな治療薬が登場し、大きな注目を集めています。その代表が「レカネマブ」(商品名:レケンビ®)と「ドナネマブ」(商品名:ケサンラ®)です。これらの薬剤は、ADの病態そのものである脳内に蓄積したアミロイドβという余分なたんぱく質を除去するという特徴があり、「疾患修飾薬」と呼ばれています(図表1)。
今回は、新薬の作用メカニズム、効果、治療対象、投与方法、副作用、そして実務において、ケアマネジャーとして押さえておくべきポイントについて、詳しく解説します。
「レカネマブ」と「ドナネマブ」の基本情報
レカネマブは、2023(令和5)年に日本で承認・発売された初めての抗アミロイドβ抗体薬です。レカネマブは、アミロイドβが集合して大きな塊になる前の段階に作用し、取り除く薬剤です。脳に沈着する前のアミロイドβに作用することから、ドナネマブより発症早期の段階に効果的だといわれています。
一方のドナネマブは、レカネマブ承認の約1年後に承認・発売された抗アミロイドβ抗体薬です。レカネマブとは異なり、脳に沈着してからしばらく時間が経ったアミロイドβの凝集体を標的とします。そのため、レカネマブに比べて、すでに沈着したアミロイド斑を効率よく除去できるのが特徴です。
従来の治療薬との違い
これまでのAD治療薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミンなどのコリンエステラーゼ阻害薬、およびNMDA受容体拮抗薬のメマンチン)は、神経細胞の間の伝達を調整することによって、症状の進行を一時的に緩和する対症療法薬でした。
これに対し、レカネマブやドナネマブは、病態そのものに介入することでADの進行を抑制することができます。しかし、注意すべき点として、これらの疾患修飾薬は今ある症状をよくするわけではありません。また、残念ながら認知症の進行を完全に止めることもできないのです。
疾患修飾薬に期待される効果
レカネマブを軽度認知障害(MCI)または軽度ADの患者に18か月間投与した臨床試験では、認知機能の低下が約27%抑制されました。これは言い換えると、レカネマブを18か月間投与することによって、認知機能低下の進行を5.3か月遅らせることができたということになります。
同じくドナネマブも、軽度認知障害または軽度ADの患者に18か月間投与した臨床試験において、認知機能の低下を約29%抑制することが示されました。これは言い換えると、ドナネマブを18か月間投与することによって、認知機能の低下を5.4か月遅らせることができたということになります。また、どちらの薬剤も、投与後に脳内のアミロイドβの蓄積が顕著に減少することが確認されています。
つまり、これらの疾患修飾薬は、軽い症状の期間を引き延ばすことのできる薬であるといえます。なお、上記の試験結果の数字だけ見ると、ドナネマブのほうがより効果が強いように見えますが、それぞれ対象患者の認知機能や年齢が異なるため、一概に比較することはできません。また、直接比較した臨床試験も存在しないため、どちらがより有効かは断言できないのが現状です。
執筆
Chapter1【薬編】,Chapter3
成本 迅 京都府立医科大学大学院 医学研究科 精神機能病態学 教授
今井 鮎 京都府立医科大学大学院 医学研究科 精神機能病態学 研修員
Chapter 1【法制度・施策編】
迫田三佳 介護福祉ジャーナリスト
Chapter 2
恩蔵絢子 東京大学大学院 総合文化研究科 特任研究員
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特集
Chapter1
認知症ケアの“今”がわかる 認知症をめぐる最新動向
Chapter2
脳科学者・恩蔵絢子さんに聞く 認知症の人へのかかわり方
Chapter3
5つの事例から学ぶ 認知症と間違えやすい疾患と鑑別のポイント
『月刊ケアマネジャー』2025年9月号

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