誌上ケース検討会 第114回 認知症の父親と統合失調症の息子の二人暮らし世帯への支援を考える (2009年12月号掲載)

2026/09/29

このコーナーは、月刊誌「ケアマネジャー」(中央法規出版)の創刊号(1999年7月発刊)から第132号(2011年3月号)まで連載された「誌上ケース検討会」の記事を再録するものです。
同記事は、3人のスーパーバイザー(奥川幸子氏、野中猛氏、高橋学氏)が全国各地で行った公開事例検討会の内容を掲載したもので、対人援助職としてのさまざまな学びを得られる連載として好評を博しました。
記事の掲載から年月は経っていますが、今日の視点で読んでも現場実践者の参考になるところは多いと考え、公開することと致しました。


スーパーバイザー

野中 猛
(プロフィールは下記)

 

事例提出者

Aさん(居宅介護支援事業所・介護福祉士)

 

クライアント

Bさん・67歳・男性

 

提出理由

 認知症の父親(Bさん)と統合失調症の息子(33歳)の二人暮らし世帯(Bさんの母親は精神疾患のために入院中)。キーパーソンが不在であることから、ケアマネジャーが生活問題全般(家の草刈り、税金の滞納、家電の破損、知人の介入など)にかかわらねばならず、業務範囲を超えた支援が求められている。
 ケアマネジャーとしては、解決策が見つからないまま、どこまでサービス担当者で決定・処理をしていいのかがわからず、またいつまでこの状態が続くのか精神的な負担を感じている。
 どのように現状をとらえ対応していけばよいのか、アドバイスをいただければと思い、提出した。

 

事例の概要

 現在、本人及び精神疾患のある息子と一軒家にて二人暮らし。多くの問題を抱えていることから親戚等もかかわりをもとうとしない状況。成年後見制度や日常生活自立支援事業などの制度の活用を勧めるが、ご本人の拒否により申請に至らない状況である。本人は無為症状で一日中寝たり起きたりの生活を続けている。キーパーソンが不在であることから、生活のなかで決定しなければいけないことについては、ケアマネジャーが同居の息子さんと相談しながら話を進めている。

 

家族

 母親は入院中。父親は10年ほど前に死亡。妻とは離婚している。同居の息子のほか、かつて内縁状態にあった女性との間に未認知の息子がいる。きょうだいは兄が一人いたが、死亡している。

 

診断名等

・脳血管性認知症(平成18年)
・心筋梗塞(バイパス手術済み)
・要介護3
・認知症老人の日常生活自立度 Ⅲa

 

ここから先は、誌面の PDFファイル にてご覧ください。


プロフィール

野中 猛(のなか たけし)

1951年生まれ。弘前大学医学部卒業。藤代健生病院、代々木病院、みさと協立病院、埼玉県立精神保健総合センターを経て、日本福祉大学社会福祉学部教授。専攻は臨床精神医学、精神障害リハビリテーション、地域精神保健、精神分析学など。主な著書に『心の病 回復への道』(岩波新書)、『図説ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『多職種連携の技術(アート)』(以上、中央法規出版)、『ソーシャルワーカーのための医学』(有斐閣)などがある。 2013年7月逝去。