今月の月刊ケアマネジャー(3月号) 備えておけば怖くない! ケアプラン点検・運営指導

2026/02/24

『月刊ケアマネジャー』2026年3月号から、特集(ケアプラン点検・運営指導)の内容を一部ご紹介いたします。

 

 昨年、ケアプラン点検支援マニュアルが、17年ぶりに改定されました。2022年に策定された「ケアプラン点検項目」と「ケアプラン点検支援ツール」などとともに現場での活用が期待されています。今回は新しくなったケアプラン点検と合わせて運営指導についても解説。点検や指導を受ける際の参考にしてください。


ケアプラン点検と運営指導について

 どうして17年ぶりに「ケアプラン点検支援マニュアル」が改定されたのでしょうか? そもそもケアプラン点検と運営指導は何を目的に行われるか説明できますか? まずは、そこからひも解いていきます。

 

17年ぶりの改定が示すケアマネジメントの転換点

 ケアプラン点検と聞いて、少なからず身構えてしまう、怖いと感じてしまうケアマネジャー(以下、ケアマネ)も少なくないのではないでしょうか。
 2008(平成20)年の策定以来、長らくケアプラン点検の実務を支えてきた「ケアプラン点検支援マニュアル」が、実に17年ぶりに改定されました。この改定は単なる手順の見直しにとどまらず、これからのケアマネジメントが目指すべき方向性を明確に示した一大転換といえます。
 かつて脳血管疾患が主であった要介護原因は認知症へと移行し、複合的な課題を抱える利用者や、要介護度が低くとも状態変化により死に至るケースが増加するなど、利用者を取り巻く環境は急激に変化しました。
 また、ケアマネジメントの手法も、個人の経験則に依存した属人的なものから、エビデンスに基づいた「適切なケアマネジメント手法」や科学的介護の推進へとシフトしつつあります。
 今回の改定は、こうした背景をふまえ、「利用者の尊厳の保持」や「自立支援」に資するケアマネジメントとは何かを改めて問い直すものです。しかし、現場のケアマネからは「点検の目的がわからない」「運営指導との違いが曖昧で不安だ」といった声が依然として多く聞かれます。

 

「ケアプラン点検」の本質―対等な立場での「気づき」と「学び」

 まず、明言できることは、ケアプラン点検は「監査」でも「取り締まり」でもないということです。その目的は、ケアマネジメントのプロセスが適切に行われているかを検証し、ケアマネと保険者(自治体)双方が「気づき」を得て、ともにレベルアップを図ることにあります。
 法的根拠は介護保険法第115条の45に基づく「地域支援事業(介護給付等費用適正化事業)」であり、あくまでケアマネジメントの質の向上と、地域全体のケアマネジメント力の底上げを目指すものです。したがって、点検の場において保険者は、ケアマネを一方的に指導・指摘する立場ではありません。マニュアルにおいても、保険者とケアマネは「対等な立場」であり、双方向のやりとりを通じて相手の考えを引き出し、気づきを促すコミュニケーションが求められています
 たとえば、点検者が「○○してはいけない」と頭ごなしに否定するのではなく、「なぜその支援を設定したのか」というプロセスや意図を確認し、ケアプランの背景にある利用者の生活像を共有する姿勢が重要視されています。
 不適切なプランに見えたとしても、そこに至るアセスメントの過程を確認することで、実は妥当な判断であったと判明することもあるからです。


「運営指導」との決定的差異―ルールの遵守と適正化

 一方で、多くのケアマネが混同しがちなのが「運営指導(旧・実地指導)」です。
 ケアプラン点検が「質の向上」や「支援」を目的とするのに対し、運営指導は介護保険法第23条および第24条に基づき、事業者を対象として行われる行政指導です
 運営指導の主眼は、介護給付等対象サービスの「質の確保」および「保険給付の適正化」にあります。
 具体的には、人員基準や運営基準が遵守されているか、報酬請求が適正に行われているかを確認文書等に基づいてチェックします。指導に従わない場合や不正が確認された場合には「監査」へと移行し、行政処分の対象となり得る点で、ケアプラン点検とは緊張感が異なります。
 重要なのは、この2つは「目的」も「制度上の位置づけ」も明確に異なるという点です。一部の自治体では同日に実施されるケースもありますが、改定マニュアルでは、両者を明確に区分して実施することが求められています。
 もし同日に行う場合でも、実施者を分ける、時間帯を明確に区切るなどして、今は「育成のための点検」なのか「ルールのための指導」なのかをはっきりさせる必要があります。ケアマネ側も、この違いを理解しておくことで、過度な萎縮を防ぎ、建設的な対話の準備ができるはずです

 

新たな武器「ケアプラン点検項目」と「支援ツール」の活用

 今回の改定に合わせて普及が進められているのが、2022年に開発された「ケアプラン点検項目」と「ケアプラン点検支援ツール」です。
 これらは、ケアプランの記載内容が充実しているか、必要な視点が網羅されているかを客観的に評価するための指標です。
「ケアプラン点検項目」は、アセスメントからモニタリングまでの各工程において確認すべきポイントを具体的に定めたものです。
 そして「ケアプラン点検支援ツール」(以下、支援ツール)は、これらの項目のチェック結果を入力することで、「ケアプランの記載の充実度」や「面談時の確認ポイント」を可視化・グラフ化してくれるツールです。この支援ツールが画期的なのは、点検結果が「不適切なプランか否か」の判定ではなく、あくまで「記載の充実度」を示す指標であると定義している点です。たとえば、記載の充実度が低い(評価が低い)場合でも、それは必ずしも悪いケアプランを意味しません。地域の実情や様式の違い、あるいは「書かれていないが、ケアマネの頭の中にはある」情報が存在する可能性があるからです。支援ツールは、そうした「書かれていない情報」を面談で確認するためのナビゲーター役を果たします(具体的な活用については、Chapter 3で詳述)

 

 ケアプラン点検は、自らの実践を客観的に振り返り、言語化する絶好の機会です。また、運営指導は法令遵守を確認し、事業運営の健全性を保つ
ための基盤です。
 本特集では、ケアプラン点検支援マニュアルや支援ツールの詳細について解説するとともに、ケアプラン点検で求められる「自立支援に資する記載」のポイントや、運営指導でチェックされる基準遵守の勘所を網羅的に紹介します。これらを正しく理解し活用することで、ケアマネは漠然とした不安や恐れから解放され、自信をもって日々の支援にあたることができるようになるはずです。


執筆:

【Introduction,Chapter1~3】
田中紘太(株式会社マロー・サウンズ・カンパニー 代表)
【Chapter4】
福岡 浩(介護事業所経営アドバイザー)


特集

Introduction
ケアプラン点検と運営指導について

Chapter1
ケアプラン点検支援マニュアル改定のポイント
「形式」から「プロセス」へ。自立支援に向けた意識転換

Chapter2
ケアプラン点検支援マニュアル等を日頃の実務に活かす
「点検項目」と「支援ツール」を武器に、自立支援型ケアマネジメントを実装する

Chapter3
運営指導のポイント
「100点満点」を目指すための、日々の業務ルーティンと書類整備術

Chapter4
運営指導(旧・実地指導)の元担当者からの助言


読者投稿募集中!

編集部では、読者の皆さまからの投稿(写真、川柳、お便り)を随時募集しております。採用させていただいた方には、謝礼として図書カード(1,000円分)をプレゼント。応募は Googleフォーム に入力いただくか、『月刊ケアマネジャー』のメールアドレス(caremanager@chuohoki.co.jp)までメールをお送りください。


『月刊ケアマネジャー』2026年3月号

●本書のお買い求めは、 中央法規オンラインショップ が便利です。
さらに、年間契約で約2,400円お得!
動画配信サイトに毎月アップされる動画(5,500円相当)も無料!

●電子版も好評発売中!
販売サイトは Amazon富士山マガジンサービス から順次拡大予定!

●けあサポでは今後、中央法規出版発行の月刊誌『おはよう21』『月刊ケアマネジャー』について、最新号のお知らせや、介護現場の皆様に役立つ記事の公開をしてまいります。