今月のおはよう21 安全重視の落とし穴 本人の行動を制限する不適切な認知症ケア

2026/02/16

『おはよう21』2026年4月号から、特集(安全重視の落とし穴 本人の行動を制限する不適切な認知症ケア)の内容を一部ご紹介いたします。

 

認知症ケアにおいては、「その人らしさ」や「尊厳」を重視したかかわりが大切だといわれています。
ただ一方では、事故などへのリスク管理を重視するあまり、利用者の行動が制限される状況もみられます。
安全面に配慮しながら、思いに寄り添ったケアを行うことはできないのでしょうか。
現場でよくある場面をもとに考えます。


現場でよくある 認知症の人の行動を制限する対応

場面 1
食事を片づけようとする利用者に「大丈夫ですよ」と声をかける


あなたはどう考える?

安全重視

食後、〇〇さんが食器を持って立ち上がると、ちょっとドキッとするんだよね。
転んだらどうしようとか、落として割れたら危ないなって、考えちゃう。
それに、この時間帯は職員も少ないし、「大丈夫ですよ。こちらでやりますね」と言ったほうが安全だと思うの。


思いを尊重

〇〇さん、自分で食器を下げようとしていたんだよなぁ。
前にも食事の準備や片づけのことを「自分が使ったものは自分で片づけたい」「昔は家で当たり前にやっていたよ」と話してくれたことがあったな。
〇〇さんの役割や、思いを止めてしまっていないかなと、ふと考えることがあるんだ。
何とかできる方法はないかなぁ。

 

本人が食器を運べる環境を整える

安全への配慮は必須ですが、「危ないから止めよう」と判断する前に、その行動が本人にとってどんな意味をもつのかを考えることが大切です。

 

転倒や食器の破損によるけがが心配な場合でも、さりげなく見守る、会話をしながら一緒に運ぶ、軽いものをお願いする、動線を整えるなど、本人が食器を運べるように環境を整える方法もあります。

 

こうした工夫をチームで共有しながら考えることが、安全を確保しつつ、本人の思いを尊重した役割を続けていくことにつながります。

 

判断に迷ったときには、「なぜ今、この行動が気になったのか」と、自分の気持ちを振り返ってみることも一つの視点です。
利用者への思いが一方通行になっていないかを問い続けながら、本人にとってのよりよいケアを探ることが大切です。


場面 2
立ち上がろうとする利用者に「立たないで」と声をかける

あなたはどう考える?

安全重視

〇〇さんが立ち上がろうとすると、転倒しないか心配になる。
職員の人数は限られているし、利用者も一人だけじゃないから。
事故を防ぐためには、座ってくれているほうが安全だから、「立たないでね」と声をかけているよ。


思いを尊重

〇〇さんが立ち上がったとき、すぐに止めてしまっていいのかな。
その行動には、何か理由があるんだと思うんだ。
止めることで、〇〇さんがもっている力や目的まで奪ってしまっていないかと、モヤモヤするんだ。
まず、〇〇さんにそっと理由を聞いてみようかな。

 

まずはなぜ立とうとするのかを考える

行動を抑制すれば事故のリスクは下がりますが、同時に、本人の意欲やもっている力を失わせてしまう可能性もあります。
 

一方で、行動や意欲を尊重すれば、事故につながる不安が生じることも否定できません。
現場では、この二つの間で迷いが生じる場面が少なくありません。
大切なのは、「止めるか、止めないか」を即座に判断する前に、まずその行動を見つめてみることです。

 

「窓の外を見たい」「気になるところへ行こう」「いつもの習慣をしよう」など、立ち上がる理由はいろいろと考えられます。
行動の背景に目を向け、さりげなく見守る、さりげなく声をかける、必要に応じて支えるなど、安全を意識しながら行動を尊重するかかわり方を探ります。

 

人間の生活そのものが常にリスクと隣り合わせだからこそ、日頃から利用者や家族と信頼関係を築き、「どんな暮らしを大切にしたいのか」を共有することも重要です。


続きは本誌でご覧いただけます。

 

執筆

第1章・第3章
島田千穂(佐久大学人間福祉学部教授)
第2章
高梨のぞみ(グループホーム旧軽井沢 管理者)
伊藤 陽(株式会社和が家 管理者)
小林俊介(小規模多機能型居宅介護さんぽみち 管理者)


以上は、『おはよう21』2026年4月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。

 

特集

安全重視の落とし穴
本人の行動を制限する 不適切な認知症ケア

1「安全」に配慮しながら本人の意思に寄り添う
2 現場でよくある認知症の人の行動を制限する対応 
3 認知症ケアで目指すことは?


『おはよう21 2026年4月号』

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