今月のおはよう21 外国人職員との円滑なコミュニケーション
2026/01/20
『おはよう21』2026年3月号から、特集(外国人職員との円滑なコミュニケーション)の内容を一部ご紹介いたします。
介護の現場で働く職員にとって、
職場内でのコミュニケーションはとても重要な要素です。
自分たちの文化を見つめ直し、
外国人職員とのコミュニケーションが
うまくいくためのアイデアを
実践的なワークとともにご紹介します。
「ホウレンソウ」が生む認識のズレ
「ホウレンソウ」を外国人職員のコミュニケーションからとらえていきます
私たちにとって、報告・連絡・相談(ホウレンソウ)は当たり前のことかもしれませんが、外国人職員にとってはそうではありません。
ホウレンソウが日本特有の文化であるということを認識することは、他国の文化を理解する第一歩となります。
こうした「文化が異なる」という状況はちょっとした日々の業務のなかでも観察されます。
日本では、仕事を進める際にホウレンソウが必要とされます。
皆さんもその必要性を感じながら、日々業務にあたっていると思います。
図1外国人職員にとっては「ホウレンソウ」がためらわれる

図1を見て、日本人職員と外国人職員のやりとりをイメージしてください。
外国人職員は、相談すること自体を迷っている様子でしたが、相談を切り出しています。
日本人職員は相談してくれたこと自体に「ありがとう」と反応しています。
それを受けて外国人職員は安心している様子です。
ホウレンソウについて、介護現場における日本人職員と外国人職員の認識に関する調査があります*1。
それによると、日本人職員は、外国人職員が自分の判断で勝手に介助をしようとする(ホウレンソウがない)と回答しています。
この回答から、ホウレンソウの必要性と頻度不足を感じていることが考えられます。
一方の外国人職員は、ホウレンソウがそんなに多いとは知らなかったと回答しています。
この回答から、小まめにホウレンソウを行うことが想定外であったことがわかります。
この回答からすでに、双方の認識のズレが観察できます。
ここまでのことを整理します(図2)。
図2「ホウレンソウ」の認識にはズレがある

日本人職員は、ホウレンソウを当たり前のこととしてとらえており、その都度、相談し
ます。
しかし、外国人職員にとっては、当たり前ではありません。
皆さんに考えていただきたいのは、日本人職員と外国人職員の認識のズレには大きな落とし穴が隠れていることです。
その回避方法を探っていきましょう。
「知っているはず」はNG
前述したとおり、外国人職員にとっては、ホウレンソウは当たり前ではありません。
そのため、日本人職員側が、外国人職員も同様にホウレンソウを実践できるという認識をも
つことは要注意です。
日本人職員は、外国人職員にとってホウレンソウは当たり前ではない可能性があるという視点を取り入れる必要があります。
ホウレンソウを知っていて、実践できるはずだという前提をなくしてみましょう。
まずは、ホウレンソウに対する適切な理解の確認が必要だという考え方をもつのはどうでしょうか。
そうでないと、ホウレンソウができない外国人という思い込みにつながってしまいます。
この思い込みがホウレンソウを超えて個人に対する評価、つまり「〇〇さんはホウレンソウができない人だ」と決めつけるおそれがあります。
確認することで、ホウレンソウを知らない段階、または理解していても実践できない段階であるということがわかり、対応方法を考えることができます。
また、ホウレンソウの重要性を確認することで、大きな事故を回避することにもつながります。
ホウレンソウがそんなに多いとは知らなかったと回答した外国人職員は、自分を客観視できているといえます。
その理由は、日本人職員が頻繁にホウレンソウを実践していることを客観的にとらえているからです。
もしかしたら、ホウレンソウを十分に理解できていない人もいるかもしれません。
その場合、ホウレンソウの重要性に気づかずに働き続けてしまうことになります。
それを避けるためにも確認が大切です。
2種類の相談を理解する
もう少し、外国人職員の声に耳を傾けてみたいと思います。
あるインタビュー調査で、「困っていることを伝えたい相手は、自分の日本の生活の行方を左右する存在であるため、嫌われてはならないという思いがあった」という外国人職員の声が報告されています※2。
つまり、嫌われたくないという「心の壁」に直面しているといえます。
同時に日本の生活の行方を左右する存在という点においては、在留資格やこれからのキャリアという「制度の壁」も関係しています(図3)。
図3外国人職員にとってよりハードルが高いのは「自身について」の相談

以上の点をふまえ、相談として考えられるのは、業務に関するものと、人生に影響する可能性を含んだ自身の困り事という2つの可能性があるということです。
つまり外国人職員は、日本人職員を職場仲間であるとともに、自分の評価や人生を左右する人物としてみています。
相談しにくい関係でもありますが、裏を返せば、信頼を構築できれば安心して相談できる関係となります。
※1 神山英子「介護現場における異文化コミュニケーションを円滑に進めるための事例集の開発研究」(「地域ケアリング」2025年4月号)
※2 武内博子「外国人介護福祉士が捉えたうまくいかなかったコミュニケーションの要因」(「日本語研究」第38号、2018年)
続きは本誌でご覧いただけます。
執筆
釜田友里江(神田外語大学グローバル・リベラルアーツ学部准教授)
以上は、『おはよう21』2026年3月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。
特集
外国人職員との円滑なコミュニケーション
●外国人職員が直面する「3つの壁」
●察する文化と誤解につながるコミュニケーション
●「ホウレンソウ」が生む認識のズレ
●間違いに対するコミュニケーションのズレ
●日本語能力とコミュニケーション能力の関係
●「わかる?」は誤解の始まり
●「大丈夫」ということばをよく使いますか?
●実践編 ミニワークショップをやってみよう!
●まとめ
『おはよう21 2026年3月号』

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