今月の月刊ケアマネジャー（12月号）　利用者の“眠れない”にどう対応する？ 睡眠支援の知識とスキル

『月刊ケアマネジャー』2025年12月号から、特集（睡眠支援の知識とスキル）の内容を一部ご紹介いたします。

皆さんは「睡眠」について、どこまで正しく理解できていますか?　睡眠に関する思い込みが支援のあり方に影響する場合があり、誤解を解きほぐすことは、適切なアセスメントをするための第一歩です。自身の睡眠を振り返るとともに、眠りの正しい知識を学びましょう。

利用者の「眠れない」にどう応えるか

　「最近、なかなか寝つけなくて……」「トイレが心配で夜中に起きてしまう」。利用者や家族から、こんな相談をされた経験はありませんか?　ケアマネジャーを対象にした「睡眠」に関するアンケート（回答数87件）を行ったところ、全体の約8割の人が「利用者やその家族から、睡眠に関する相談を受けたことがある」と答えました。
　睡眠は、何気ない日常会話の話題になることがとても多いです。もし、睡眠のしくみや改善できる方法を知っていれば、ちょっとした会話から、本人の睡眠のセルフケアスキルを高めて、トラブルの解決に導くこともできます。睡眠は、誰もが毎日必ず行い、一生続ける行為です。睡眠のしくみを理解してその整え方を知ることは、その人が充実した毎日を送るための大きな力になります。睡眠のセルフケアスキルはすべての人が習得でき、毎日の生活で高めていくことができます。
　ただ一方で、「毎日よく眠れていますか?　睡眠は大事ですよ」という利用者を思いやる一言が、睡眠のトラブルを生んでしまうことがあります。たとえば、自分が信頼している人から「睡眠は大事ですよ」と言われたら、「今日は早めに就寝しよう」と思うでしょう。実は多くの入眠障害は、眠くないうちに努めて早寝をし、寝付けない時間をベッドで過ごすことから発生します。これは、脳が「ベッドは眠らない場所」と学習してしまうからです。睡眠のセルフケアに方法があるように、睡眠相談にも望ましい答え方があります。もちろん、医師の指示を仰ぐことは最優先ですべきことです。ただ、望ましい答え方を知っていれば、世間話程度でも睡眠改善を促すことはできます。
　そこで、本特集では、現場ですぐに実践できる睡眠に関する基本的な改善方法と、タイプ別の対応方法を紹介します。前半はすべての人に共通した睡眠の考え方と整え方を、後半は利用者の悩み別に応じた解決方法を具体的に解説します。

誤った睡眠の知識を整理する

　私たちは、学生時代に睡眠について教育を受けることがありませんでした。実は、睡眠について教育を受けない国は、先進国のなかでも日本だけだと指摘されています。睡眠に関する基本的な知識が不足していると、個人の経験則や偏った情報をもとに行動してしまいがちです。
　まずは、利用者の睡眠を評価する前に、自身の睡眠に関する認識を客観的に知るために、次の6つの質問項目に「思う」か「思わない」で回答してみてください。

眠りの知識チェック項目

特集

INTRODUCTION
思い込みが支援の壁になる!?　今こそ学びたい眠りの基礎知識

CHAPTER1
4つの生体リズムに着目!　睡眠ケアの基本

CHAPTER2
睡眠は“記録”から見えてくる!　アセスメントに活かす可視化の技術

CHAPTER3
「現場で役立つ!　タイプ別 睡眠トラブルの支援方法

『月刊ケアマネジャー』2025年12月号

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