今月のおはよう21 現場の不安を解消する 看取り期のケアはここがポイント

2025/08/15

『おはよう21』2025年10月号から、特集(現場の不安を解消する 看取り期のケアはここがポイント)の内容を一部ご紹介いたします。

 

日々の暮らしの延長線上に「死」があります。
利用者が死に近づく看取り期に、介護職はどのようなことに気をつけ、どんなケアを行えばよいのでしょうか。
不安や悩みを抱え込まず、安心して利用者と向き合えるように、押さえておきたいケアのポイントを整理します。


Q&Aでわかる 看取り期のケアのポイント

利用者の呼吸が苦しそうで、見ていてつらい……

 

 

看取り期にある高齢者では、老衰によって呼吸が苦しそうに見えることがありますが、一般的には徐々に低酸素状態が進行しており、本人はそれほど強い苦痛を感じていないとされています。

 

しかし、近年では、認知症だけでなく、心不全やがん、呼吸器疾患など複数の疾患を併発した方の看取りも増えており、看取り期を迎える高齢者の状態は多様化しています。
なかには、明確な診断に至っていないものの、何らかの疾患を併発している可能性がある方も多く見受けられます。

 

足を引きずって歩いている

呼吸が苦しそうな様子がみられた際、介護職にできる具体的なケアとして次の対応があります。
室温をやや低めに保つ……呼吸困難がある場合、室温を少し低く保つことで、呼吸が楽に感じられることがあります。
風を当てる……心疾患や肺疾患がある方では、扇風機やうちわで風を顔に当てることで、呼吸が楽になります。
室温が保たれていれば、窓を開けて自然な風を取り入れることも、心地よさにつながります。
安心できる環境を整える……ナースコールの位置をすぐに手の届くところにするなど、利用者が安心できる環境を維持することも大切です。

 

日常生活の動作における工夫

前かがみの姿勢を避ける
食事や更衣、排泄など前かがみになると胸が圧迫され、呼吸がしづらくなることがあります。

 

腕を上げる動作を避ける
洗顔や着替えの際に、腕を高く上げると、呼吸筋が緊張し、息苦しさを感じやすくなります。
こうした場面では、背もたれを使って身体を支える、無理に腕を上げすぎないなど、介助上の工夫で呼吸の負担を軽減することができます。


看取り期でもバイタルサインを測定するの?

 

 

目的の共有と連携がポイント

看取り期において、バイタルサインを測定すべきかどうかは、現場でも意見が分かれるのではないでしょうか。
結論からいうと、本人の状態や意思、多職種連携、ケアの目的に応じて、必要性を見極めることが大切です。

 

看取り期に血圧に関する薬を内服している利用者は多いと思います。
そのような場合、どのタイミングで、何のために測定するのかを関係職種で話し合い、共通認識をもつことが大切です。

 

測定するときは目的を明確にして、測定しない場合も、ただ「看取り期だから」ではなく、根拠をもつことが大切です。

 

バイタル測定は安心材料になる

バイタル測定が介護職や本人、家族の安心につながるケースもあります。
利用者の状態を気にして、「苦しそうで心配」「熱はどのくらいあるのか」などと考えるのは自然なことです。

 

客観的な情報を得る手段として、バイタル測定は有用です。また、利用者本人もバイタル測定を好んだり、「測ってほしい」「数字はどう?」と言ってきたりすることがあります。

 

看取りの場でバイタル測定を行うときは、この測定が本人にとってどんな意味をもつのか、何のために測定しているのかといった目的の共有が必要です。
測定することで安心する利用者であれば、適宜測定するのがよいでしょう。

 

自然な最期の迎え方を多職種で話し合う

死への考え方は、国、文化、宗教、時代背景によって異なります。同じように、どんな最期を迎えたいかは、人によって価値観が異なります。

 

人生の最期は、予想通りに行くものではありません。
だからこそ、標準化された看取りの形に当てはめるのではなく、その方らしい最期をどう支えるかを多職種で話し合い、看取りの方針と統一したケアを行っていく必要があると考えています。

 

バイタルサインの測定だけでなく、一つひとつのケアの背景に、誰のために、なぜ行うかという視点をもつことが、穏やかな看取りにつながるのではないかと考えます。


続きは本誌でご覧いただけます。

 
執筆

坂井暢子(荒木記念 東京リバーサイド病院 内科 医師)
赤塚いづみ(特別養護老人ホーム癒しの里南千住 看護主任)
武井圭佑(特別養護老人ホーム癒しの里南千住 管理栄養士・臨床栄養師)
成田雲乃(特別養護老人ホーム癒しの里南千住 介護課 リーダー)


以上は、『おはよう21』2025年10月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。

 

特集

現場の不安を解消する 看取り期のケアはここがポイント

1 介護現場における看取りとは
2 看取り期に押さえたい 利用者の変化とケアの流れ
3 Q&Aでわかる 看取り期のケアのポイント


『おはよう21 2025年10月号』

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