今月のおはよう21 “小さなサイン”を見逃さないで! 高齢者の体調変化に気づくための48のポイント

2025/08/13

『『おはよう21』2025年9月号から、特集(“小さなサイン”を見逃さないで! 高齢者の体調変化に気づくための48のポイント)の内容を一部ご紹介いたします。

 

利用者の健康を守るためにも、介護職の観察力が役立ちます。 ふとした体調変化に気づくための「観察ポイント」を生活場面別に解説します。


これがサイン!
48のポイントを総チェック(移動)

顔をしかめる

☆☆☆

 

移動する際に顔をしかめる場合、身体に痛みやしびれを感じている可能性があります。
加齢に伴う身体機能や筋力低下、変形性関節症などで慢性化している、などが理由として考えられます。

 

また、靴や衣類のサイズや素材が合わないことによる違和感や、転倒への恐怖感などの精神的ストレスが原因の可能性もあります。
認知機能が低下している場合は、言葉で訴えることができず、表情で不快感を示しているかもしれません。

 

まずは痛みや不快感がないか、ふだんと異なる動作や表情がみられないかを観察しましょう。
痛みが疑われる場合は、どこに・どんなときに痛みが強くなるのかを確認してください。
不安や恐怖が原因かもしれないときは、安心できる声かけや環境調整も大切になります。


足を引きずって歩いている

☆☆☆☆

 

 

足をしっかり上げられず、引きずるように歩いている場合は、筋力や関節機能の低下、麻痺、痛みなどがある可能性があります。
痛みやしびれの有無、歩行時の表情、歩きの左右差などを丁寧に観察しましょう。

 

片方の足をかばうように歩くと負担が偏り、左右のバランスが崩れます。
すると、長距離歩行時の疲労や転倒リスクが増します。
歩行介助を行う際は、利用者の足の動きやリズムに合わせた支援を心がけ、必要なら医療職やリハビリ職と連携し、安全な移動方法を検討しましょう。


足が前に出ない

☆☆

 

 

いすから立ち上がれてはいるものの、足が前に出ない場合は、痛みや筋力の低下、関節可動域の制限が考えられます。
そのほか、パーキンソン病にみられるすくみ足現象(自分の意思に反して足が床にへばりついたように一歩が出にくい状態)や認知機能の混乱が背景にある可能性も考慮する必要が
あります。

 

利用者が歩行動作を開始する際に、困難や不安を感じているかどうかを確認するためには、足の動きを見つめる、立ったまま固まる、といった様子がないかを見極めましょう。

 

歩行時の重要な観察ポイントは、姿勢や身体のバランス、関節や全身の動きがスムーズかどうか、指示が理解できているかどうかに注目することです。
表情をしっかり見て、利用者の不安に寄り添い、安心感を与える声かけをしたり、身体に触れてサポートをするなど、次の動作につなげる支援を行いましょう。

 

もし改善がみられない場合は、医療職やリハビリ職などと連携しながら、対応策を共有します。


姿勢が傾いている

☆☆☆☆

 

立位や歩行時に身体が左右どちらかに傾く場合は、筋力や姿勢保持機能の低下、片麻痺、めまいなどの身体的な要因が考えられます。
こうした姿勢の変化は転倒リスクの上昇につながるため、見逃せない重要な観察ポイントです。

 

また、傾きをかばうようにして歩くことで、腰や膝など、ほかの部位に過剰な負担がかかりやすくなります。
利用者の身体のバランスや傾きの程度を把握し、必要に応じて歩行補助具の使用や手引き歩行での介助も検討しましょう。

 

繰り返し変化が見られる場合は、医療職やリハビリ職と連携しながら、安全な移動方法を検討・共有することが大切です。


数歩歩くだけで息切れ

☆☆☆☆

 

数歩歩いただけで息切れしてしまう場合は、体力の著しい低下や心肺機能の衰え、貧血、呼吸器疾患など、全身の状態にかかわる重大な変化が疑われます。

 

高齢者は活動量の低下や加齢によって体力が落ちているため、わずかな動作が身体に大きな負担をかけることになります。
息切れのほかにも、呼吸状態の変化を示す重要なサインとしては、歩行中に口呼吸になる、顔色が悪くなる、急に話すのをやめる、肩呼吸になる、などがあります。
こうした変化は、呼吸器や循環器に持病がある利用者にとっては、脱水や感染などの初期症状や、症状の悪化を示している可能性もあるのでより注意が必要です。

 

本人が不調を訴えないこともあるため、表情や動作の様子をしっかりと観察することが大切です。状況に応じてバイタルサインを測定し、速やかに医療職への報告や相談を行いましょう。


続きは本誌でご覧いただけます。

 
執筆

第1章
真鍋哲子 (株式会社ONMUSUBI代表取締役)

 

第2章
真鍋哲子(株式会社ONMUSUBI代表取締役)
鈴木英世(特別養護老人ホーム第二南風)
ほだかあや(看護師ライター)
矢部美憂喜(特別養護老人ホームニューバード)


以上は、『おはよう21』2025年9月号の特集の内容の一部です。このほかにも本誌では、下記のトピックを取り上げ解説しております。ぜひお手に取ってご覧ください。

 

特集

“小さなサイン”を見逃さないで! 高齢者の体調変化に気づくための48のポイント

1 バイタルサインを基本に「気づく癖」を身につけよう
2 これがサイン! 48の観察ポイントを総チェック
移動/食事/排泄/会話/入浴/睡眠


『おはよう21 2025年9月号』

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