Q&Aでわかる!介護施設の看護実務 【Q13】
2025/07/18

「看護師」の職場といえば、真っ先に病院が思い浮かぶと思います。しかし、実際の職場は多機にわたり、介護施設もその一つです。本連載では、介護施設に勤務する看護師の業務内容や考え方、介護職などの他職種との連携について、特に重要な項目をピックアップしてQ&Aの形で紹介していきます。
【著 者】
前川 静恵(まえかわ・しずえ)
社団法人是真会病院病棟師長、慈恵病院看護部長、長崎市医師会保健福祉センター、老人保健施設ハーモニーガーデン副施設長、有限会社Gracias かいごの花みずき施設長、株式会社パールの風代表取締役、社会福祉法人鳳彰會副理事長などを経て、現在社会福祉法人鳳彰會理事、特別養護老人ホームひこばえ施設長、ケアハウスひこばえの苑施設長。看護師、介護支援専門員。
主な著書に、『訪問介護事業所サービス提供責任者仕事ハンドブック』中央法規出版、2006、改訂版2009、三訂版2013、『デイサービス業務実践ハンドブック』中央法規出版、2014、改訂版2015、など。
Q13 夜間のオンコールに対して備えておくことは?
[Answer]
夜間帯の看護師が不在の施設が多く、介護職員に委ねられている場合が多いと思います。
夜間帯に看護師がいる介護老人保健施設のようなところ、あるいは義務化はされていなくても看護師の宿直や当直制を導入しているような施設では、夜間の対応もスムーズにいくと思いますが、夜間帯に看護師が不在の施設では「オンコール」体制をとっているところが多いと思います。その場合は「オンコール」により、そのつど看護師が夜勤者(介護職員)に指示をする、または必要に応じて施設へ出向くということになります。
[解 説]
介護職員は夜間帯に不安を感じながら仕事をしている人も多いでしょう。連絡を受けた看護師は、適切な判断のもと、介護職員に指示をすることが求められます。判断に迷う場合は、主治医の指示を仰ぎ、それを夜勤者へ伝えることになります。何かあった際は、介護職員がパニックにならないよう、看護師は適切な声かけや対応が必要です。
オンコールに対する看護師の気持ちは様々ですが、ストレスを感じている場合は、自分なりにストレス解消法を見つけ、自身の健康管理をしておくことが大切です。また、平常時から個々の利用者で起こりうることを頭の中でシミュレーションし、それに対する適切な対応をイメージする習慣を持つことで、実際の緊急時に迷うことなく迅速で適切な判断や対応ができるようになると思います。看護師として施設で働くということは大きな役割を担っており、特に看護師がいない夜間帯は介護職員にとって頼られる存在です。そういう意味において、看護師の力量が求められます。
※本連載は、前川静恵先生の著書『Q&Aでわかる!介護施設の看護実務―特養の実地指導・連携・ケア』(中央法規出版、2022年10月発行)をもとに作成しています。施設看護師の業務をさらに深く知りたい方は、本書をぜひご覧ください。