Q&Aでわかる!介護施設の看護実務 【Q12】
2025/07/04

「看護師」の職場といえば、真っ先に病院が思い浮かぶと思います。しかし、実際の職場は多機にわたり、介護施設もその一つです。本連載では、介護施設に勤務する看護師の業務内容や考え方、介護職などの他職種との連携について、特に重要な項目をピックアップしてQ&Aの形で紹介していきます。
【著 者】
前川 静恵(まえかわ・しずえ)
社団法人是真会病院病棟師長、慈恵病院看護部長、長崎市医師会保健福祉センター、老人保健施設ハーモニーガーデン副施設長、有限会社Gracias かいごの花みずき施設長、株式会社パールの風代表取締役、社会福祉法人鳳彰會副理事長などを経て、現在社会福祉法人鳳彰會理事、特別養護老人ホームひこばえ施設長、ケアハウスひこばえの苑施設長。看護師、介護支援専門員。
主な著書に、『訪問介護事業所サービス提供責任者仕事ハンドブック』中央法規出版、2006、改訂版2009、三訂版2013、『デイサービス業務実践ハンドブック』中央法規出版、2014、改訂版2015、など。
Q12 日中に介護職員から緊急の報告を受けたときの対応は?
[Answer]
報告を受けたら、ただちに利用者のもとに行き、状態の把握を行います。状態によっては主治医に指示を仰ぎ対応をしますが、看護師の判断でよい場合は、介護職員の協力を得て対応します。
生命にかかわり、救急搬送が必要と判断したときは、まず主治医に報告、指示のもと119番に連絡します。ただし、一刻を争うと判断した場合は、先に119 番へ連絡し、その旨を主治医に報告します。同時に家族にも連絡します。
[解 説]
バイタル値および利用者の状態把握により、利用者の変化に応じて看護師の判断のもとで行動します。例えば、酸素飽和度の低下で酸素吸入が必要と思われる場合は即時に開始します。本来ならば主治医の指示のもと開始しますが、あまりにも急な酸素飽和度低下が見られたり、意識レベル低下が見られたりする場合は、事後報告の場合もあるかと思います。
日ごろから「緊急時の対応」について施設のマニュアルに沿った対応ができるように、内容を理解したうえで、介護職員と連携して行動ができるようにしておきます。看護師が慌てると介護職員は不安になります。的確な判断力と、介護職員に対する適切な指示を出す能力が要求されます。まずは、状況を確認し、何を優先すべきかを見極め、行動できることが大切です。
※本連載は、前川静恵先生の著書『Q&Aでわかる!介護施設の看護実務―特養の実地指導・連携・ケア』(中央法規出版、2022年10月発行)をもとに作成しています。施設看護師の業務をさらに深く知りたい方は、本書をぜひご覧ください。