Q&Aでわかる!介護施設の看護実務 【Q9】

2025/05/23

「看護師」の職場といえば、真っ先に病院が思い浮かぶと思います。しかし、実際の職場は多機にわたり、介護施設もその一つです。本連載では、介護施設に勤務する看護師の業務内容や考え方、介護職などの他職種との連携について、特に重要な項目をピックアップしてQ&Aの形で紹介していきます。

 

【著 者】

前川 静恵(まえかわ・しずえ)
社団法人是真会病院病棟師長、慈恵病院看護部長、長崎市医師会保健福祉センター、老人保健施設ハーモニーガーデン副施設長、有限会社Gracias かいごの花みずき施設長、株式会社パールの風代表取締役、社会福祉法人鳳彰會副理事長などを経て、現在社会福祉法人鳳彰會理事、特別養護老人ホームひこばえ施設長、ケアハウスひこばえの苑施設長。看護師、介護支援専門員。
主な著書に、『訪問介護事業所サービス提供責任者仕事ハンドブック』中央法規出版、2006、改訂版2009、三訂版2013、『デイサービス業務実践ハンドブック』中央法規出版、2014、改訂版2015、など。

 

Q9 主治医との連携で配慮しておくことは?

[Answer]

 ふだんから主治医と看護師の信頼関係を築いておくことが大切だと思います。また、連携体制の構築をしておくことです。

 

[解 説]

 介護老人保健施設では、日勤帯は医師が常勤しており、利用者の異変時には素早い対応ができますが、特別養護老人ホーム等では医師が常駐せず、嘱託医として週に1~2回または必要時に往診という形をとっています。往診までの間は看護師、介護職員が利用者の状態を把握し、変化があった場合や指示を仰ぎたい場合、受診の必要性を感じた場合は、主治医に報告、連絡するというのが一般的な流れです。
 例えば、主治医から「Aさんの浮腫に注意しておくように」と指示があった場合、与薬の結果や、次の往診日時までの間の浮腫の状態(程度、範囲、痛みの有無等)がどうだったのかなどを報告するシステムを構築しておくことが大切です。定期的な情報共有と密な連携によって、より適切なケアに繋がります。

 

※本連載は、前川静恵先生の著書『Q&Aでわかる!介護施設の看護実務―特養の実地指導・連携・ケア』(中央法規出版、2022年10月発行)をもとに作成しています。施設看護師の業務をさらに深く知りたい方は、本書をぜひご覧ください。