今月のおすすめ「読み合い」絵本 6月

2025/06/02

6月に読みたい おすすめ「読み合い」絵本

 絵本には作者だけでなく、かかわる方々の思いが詰まっています。それぞれの絵本に込められた思いを知ることで、読み合いにも深みが出てきます。
 本コーナーでは毎月、この時期に読み合いたい絵本を年齢別に紹介します。 解説:佐々木由美子(東京未来大学こども心理学部教授)


0・1歳児におすすめの絵本

文:はせがわせつこ、絵:にしまきかやこ『かささしてあげるね』(福音館書、1998年)

 

 梅雨の季節。大人にとっては憂鬱な雨でも、子どもにとったら興味津々。五感を刺激する楽しさがいっぱいです。
 ぞうさんの背中に雨がふります。雨の音は「ピッチャン パッチャン」。「かさ さして あげるね」と、男の子がぞうさんにさしてあげた傘は、緑色の大きな大きな傘。きりんさんの背中にも雨が降ります。雨の音は「ピロリン ポロリン」。そしてきりんさんにさしてあげた傘は……。登場する動物によって変わる雨の音、傘の色や形などページをめくる楽しさと「かさ さして あげるね」というやさしい思いやりの言葉がじんわりと広がります。

 

2・3歳児におすすめの絵本

作・絵:ひろかわさえこ『あめぽったん』(アリス館、1999年)

 

 「あめあめ ぽったん あめぽったん」。雨が葉っぱの上に、土の上に、池の上にぽったんと降ってきます。そのたびに「あめ だいすき」と、お友達が顔を出します。雨が大好きな友達は…かたつむりに、みみずさん、それから池のなかのかえるさん。そして…雨大好きなみんなが集まって、じゃぶじゃぶ雨の中をお散歩。子どもの視点でみると、雨の日はこんなふうに見えるんだ、と思わされる作品です。
 なんといっても最後のページの言葉が「てるてるぼうず てるぼうず あしたも あめに しておくれ」です!! 雨の日が楽しみになりそうな絵本です。「あまだれぽったん」「一匹のかえる」などの手遊びもあわせて楽しみましょう。

 

4・5歳児におすすめの絵本

作・絵:佐野洋子『おじさんのかさ』(講談社、1992年(銀河社、1974年))

 

 おじさんの傘は、とってもりっぱです。黒くて細くて、ぴかぴか光った杖のようです。おじさんは、でかけるときはいつも傘をもってでかけます。もちろん雨が降っても使いません。だって大事な傘がぬれたら大変ですから。
 ある日、おじさんは公園で、小さな男の子と女の子がいっしょに傘にはいって「あめが ふったら ポンポロロン あめが ふったら ピッチャンチャン。」と歌うのを聞きます。「ほんとかなあ。」おじさんは大事な傘を初めて開いてみました。すると…。
 佐野洋子さんの作品は、『100万回生きたねこ』(講談社)と同様、ちょっとシニカルで、それでいてあたたかく、本当に大切なかけがえのないものを描き出してくれます。読むたびに新たな意味を見出すような奥深い作品です。