今月のおすすめ「読み合い」絵本 7月

2025/07/01

7月に読みたい おすすめ「読み合い」絵本

 絵本には作者だけでなく、かかわる方々の思いが詰まっています。それぞれの絵本に込められた思いを知ることで、読み合いにも深みが出てきます。
 本コーナーでは毎月、この時期に読み合いたい絵本を年齢別に紹介します。今月は夏の入り口、7月に読み合いたい絵本です。

解説:佐々木由美子(東京未来大学こども心理学部教授)


0・1歳児におすすめの絵本

作:カズコG・ストーン『はなびドーン』(童心社、2012年)

 

 1歳児は、日々「はじめて」がいっぱいです。夏といえば花火ですが、まだ本物の花火を見たことがない子も多いのではないでしょうか。
「くらーい よぞらに シューッ なーにかな」。ページをめくると「パンッ ドーン」と黄色の花が夜空に広がり、「パパパーン」と弾けて、「キラキラキラ」と光の粒が落ちてきます。
「は・な・び」。エネルギッシュなオノマトペとともに、色鮮やかでさまざまな表情の花火が次々に現れ、思わず見入ってしまいます。とても楽しい、そして美しい絵本です。

 

2・3歳児におすすめの絵本

作:わかやまけん『こぐまちゃんのみずあそび』(こぐま社、1971年)

 

 暑くなってきたこの時期。水遊びは、子どもたちの大好きな遊びです。じょうろいっぱいにお水をもってきたこぐまちゃん。そう。お花に水をあげるんです。でも、お水をあげるのって楽しくて、お花だけでなく金魚さん、ありさんにもかけてあげていると、しろくまちゃんがホースをもってきました!
 もう、そのあとはご想像の通り。2歳児の姿そのもののこぐまちゃん。こぐまちゃんたちのように、子どもたちにも思いっきり水遊びやどろんこ遊びを楽しんでほしいですね。
 実はこぐまちゃんシリーズは、作者として名前の出ている、画家の若山さんだけでなく、作家の森比左志さん、劇作家の和田義臣さん、そしてこぐま社の佐藤英和さんの4人の合同で創作されています。何十回と議論をかさね、4人全員が合格点を出して初めて出版されるとのこと。50年以上にわたって愛されている絵本のすてきなエピソードです。

 

4・5歳児におすすめの絵本

作:長谷川義史『いいからいいから』(絵本館、2006年)

 

 ある日の夕方、雷がゴロゴロとなって、ドーンと落ちたと思ったら、なんと目の前に雷の親子が! それでも、おじいちゃんは「いいから、いいから、せっかくきてくださったんじゃ。ゆっくりしてください」って。
 雷の親子は、いわれるままにご飯をごちそうになったり、お風呂で体を流してもらったりと、すっかり恐縮しきっているのに、おじいちゃんは、やっぱり「いいから、いいから」。
 翌日、なんとおじいちゃんとぼくのおへそがなくなっていた!! それでもおじいちゃんは「いいから、いいから」。おじいちゃんとぼく、そして雷の親子のやりとりがなんともユーモラスです。おじいちゃんの「いいから、いいから」という言葉は、まるで魔法の言葉。何が起きても、たいしたことないよって、おおらかな気持ちになります。「かみなりどんがやってきた」の手遊びもぜひ、いっしょに楽しんでみてください。