今月のおすすめ「読み合い」絵本 5月
2025/05/01

5月に読みたい おすすめ「読み合い」絵本
絵本には作者だけでなく、かかわる方々の思いが詰まっています。それぞれの絵本に込められた思いを知ることで、読み合いにも深みが出てきます。
本コーナーでは毎月、この時期に読み合いたい絵本を年齢別に紹介します。
解説:佐々木由美子(東京未来大学こども心理学部教授)
0・1歳児におすすめの絵本
作・絵:まつおかたつひで『ぴょーん』(ポプラ社、2000年)
活動的な季節になってきましたね。今回ご紹介するのは、思わず体を動かしたくなるような絵本です。
正面を向いたカエル。「かえるが…」と縦開きのページをめくった瞬間「ぴょーん」。カエルに続き、こねこ、犬、バッタなどが登場し、それぞれ「ぴょーん」と飛び跳ねます。ユーモラスな動きと躍動感に思わず引き込まれていきます。0歳の赤ちゃんも「ぴょーん」の音に興味津々。音に合わせて「高い高い」遊びをするのも楽しいです。
国内だけでなく、中南米やアラスカ、オセアニアなど世界各地での自然観察を重ねながら、数々の科学絵本を創作されてきた松岡さん。それぞれの生き物の正確なフォルムとデフォルメされたユーモラスな表情や動きは、作者ならでは。シンプルだからこそ、ダイレクトに子どもに響く作品です。
2・3歳児におすすめの絵本
作・絵:五味太郎『きいろいのはちょうちょ』(偕成社、1983年)
虫取り網をもった男の子。「きいろいのは ちょうちょ」と思って捕まえると、「あれ ちょうちょ じゃない」。蝶々だと思って捕まえたものは、黄色いひよこだったり、風船だったり、ヘルメットだったり…。
ページの一部が蝶々の形に切り抜かれているしかけ絵本です。ページをめくる楽しみや意外性があり、色や形への興味などにもつながっていきます。繰り返し楽しみたい絵本です。蝶々探しや、身の回りの同じ色探しなどに発展させても楽しいです。
4・5歳児におすすめの絵本
文:木村研、絵:村上康成『999ひきのきょうだい』(ひさかたチャイルド、1989年)
春、カエルのお母さんが999個の卵をうみました。998個の卵はおたまじゃくしになって、足も生えてきたのに、たったひとつだけ、一番先に生まれたお兄ちゃんは、いつまでたっても卵のまま。弟たちに手が生えてきても、やっぱり「ぐーすーぴー」と寝ています。「いいかげんに おきなさあい!!」お母さんに叱られて、ようやくおたまじゃくしになったお兄ちゃん。その大きいこと! 弟たちは大喜びです。
そんなある日、999ひきのきょうだいがかくれんぼをして遊んでいると、ヘビがおたまじゃくしを食べようと田んぼにやってきて…。のんびりやのお兄ちゃんと、お兄ちゃんを助けようと力をあわせる弟カエルたちの活躍にドキドキハラハラ。ユーモアとほのぼのとした愛情がたくさんつまった作品です。
999という数にインパクトがあり、本当に999ひきいるのかを数えて確認する子どもの姿もみられます。この季節に楽しみたい作品です。