子どもの育ちを小学校へつなぐバトン。「要録」と「就学支援シート」書き方のポイント
2026/02/18
要録作成の季節が近づいてきました。子どもの育ちを小学校へ円滑につなぐための書き方のコツを紹介します。
監修者名・プロフィール
砂上 史子(すながみ ふみこ)
千葉大学教育学部教授。弘前大学教育学部講師、千葉大学教育学部講師・助教授を経て現職。専門は幼児教育学。浦安市保育カウンセラー、千葉市幼保小接続アドバイザー、こども家庭庁こども家庭審議会委員・児童福祉文化分科会会長なども務める。主な著書に『「おんなじ」が生み出す子どもの世界』(東洋館出版社)、『保育現場の人間関係対処法』(中央法規出版・編著)などがある。
幼保小接続における「要録」の役割とは?
年度末が近づくと、幼稚園や保育所、認定こども園の先生方は「要録(指導要録・保育要録)」の作成に追われることと思います。要録を書くことには責任と負担が伴いますが、これは子どもたちが新しい環境である小学校で、健やかに楽しく学び、生活するための重要な手立てでもあります。
近年、「小1プロブレム」に代表されるように、幼児教育と小学校教育のギャップが課題とされています。要録は、幼児期に育まれた資質・能力を小学校へ引き継ぎ、教育・保育の連続性を確保するための「バトン」の役割を果たしています。
特に近年では、障害のある子どもや外国にルーツをもつ子どもなど、多様なニーズへの対応が求められています。限られた紙幅の中で、その子どもの特性や必要な配慮をどのように伝えるかが重要になってきます。
読み手に伝わる! 要録作成の3つのポイント
要録を作成する際、抽象的な表現や定型文ばかりになっていませんか? 小学校の先生に「この子に会ってみたい」「こう支援すればいいんだ」と思ってもらえるような、接続と支援に活きる要録を書くための3つのポイントを紹介します。
1.子どもの個性や背景が見えるように書く
「元気」「協調性がある」といった抽象的な言葉だけでなく、実際のエピソードを交えて記述するとよいでしょう。また、特性や課題がある場合でも「落ち着きがない」と書くのではなく、「興味のあることには夢中で取り組む」といったように、肯定的な表現や育ちの芽としてとらえる視点が大切です。
2.「10の姿」の視点をとらえて書く
子どもの具体的な姿が、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)」のどれに関連しているかを考えます。これにより、保育内容5領域の活動を通してどのような資質・能力が育まれてきたか、成長の背景が整理されます。
3.小学校での生活を見通して書く
「見通しをもつ支援が必要」といった課題だけでなく、「視覚的な手順の提示が有効」など、具体的な手立てを記述します。現在の子どもの姿から小学校での生活を想像し、継続的な支援につながるように書くことがポイントです。
保護者とともにつくる「就学支援シート」
特別な配慮が必要な子どもの場合、要録だけでは伝えきれない詳細な情報を「就学支援シート」として作成することが多くの自治体で推奨されています。
就学支援シートは、園と保護者が協働して作成し、小学校へ提出するものです。保護者の願いや家庭での様子、医療・療育機関との連携情報などを集約することで、入学後の切れ目ない支援が可能になります。 作成にあたっては、保護者の不安を受け止め、話しやすい雰囲気をつくることや、家庭では気づきにくい子どもの成長の姿(「友だちとの関わりで折り合いをつけられるようになった」など)を園側から伝えることが大切です。
もっと詳しく知りたい方はこちら
接続と支援に活きる「要録」
幼稚園、保育所、認定こども園対応 接続と支援に活きる「要録」:配慮を必要とする子どもの要録・就学支援シートの書き方ガイド
多様なニーズをもつ子どもの幼保小接続に対する理解を深め、要録作成に前向きに取り組めるよう構成された一冊。具体的な文例や、ADHD・ASD・医療的ケア児などのケース別記入例、保育教諭・小学校教諭との座談会などを収録しています。
