春の入職に備えて 新人保育者がグングン育つ! 離職を防ぎ、組織を活性化させる「育成のさじ加減」とは?
2026/02/17
「新人保育士がすぐに辞めてしまう」「Z世代の若手とどう接していいか分からない」……多くの保育現場が抱えるこうした悩みに、一筋の光を当てるセミナーが開催されました。
2026年1月に刊行された『新人保育士がグングン育つ!かかわり方の「さじ加減」』(中央法規出版)の刊行記念として行われた本イベントでは、著者である菊地奈津美さん、河合清美さんに加え、現場のマネジメントを担う久保田修平さんと野上美希さんが登壇。 現場ですぐに使える具体的な育成メソッドが語られました。
登壇者
菊池奈津美さん |
河合清美さん |
久保田修平さん |
野上美希さん |
新人育成の鍵は「正解」ではなく「さじ加減」にある
新人育成の鍵は「正解」ではなく「さじ加減」にある
本書がテーマに掲げているのは、新人教育における「さじ加減」の重要性です。 菊地さんは「現場で試行錯誤してきた結晶」として、以下のポイントのバランスが大切だといいます。
「褒める」と「認める」:単にすごいと言うだけでなく、具体的な行動を認めることの重要性。
「甘やかす」と「支える」:失敗を恐れさせない環境づくりと自走を促すバランス。
「相談」と「アドバイス」:答えを教えすぎず、本人が考える余白を作ること。
「依存型」の新人を生まないための“足場かけ”
久保田さんは、良かれと思ったフォローが逆に新人の成長を妨げるリスクについて指摘しました。 先回りしてすべてを準備してしまうと、新人が自ら考える機会を失い、指示を待つだけの「依存型」になってしまうというのです。
解決策として示されたのが「足場かけ」です。 スモールステップで成功体験を積ませつつ、徐々にその「足場」を外していくことで、自立を促します。 河合さんは「本人が一歩を踏み出せるように、どこに足場を作るかが育成者のさじ加減ですね」と述べました。
理念が伝わらない悩みには「メンター制」と「マニュアル」を
園のルールは守れても、「理念や価値観」が浸透しないという悩みは多くの園で共通しています。 野上さんは、Z世代の新人とベテランの間にある価値観のギャップを埋めるため、「2〜3年目の若手がメンターになること」の有効性を挙げました。 年齢の近い職員が介在することで、園の想いが自分事として伝わりやすくなります。
また、久保田さんは意外な視点として「マニュアルの整備」の重要性を強調しました。
(1)まずマニュアルに沿って型を覚える。
(2)実際にやってみて、違和感や工夫点を見つける。
(3)自分たちでマニュアルを「壊し、作り替える」。
このプロセスを経ることで、理念が単なるお題目ではなく、生きた知恵として組織に根づいていくのです。
時代に合わせたアップデート:タイパ・コスパは「働き方改革」のチャンス
今の若手保育者が重視する「タイパ(タイムパフォーマンス)」という感覚についても、議論が盛り上がりました。 効率を求める姿勢は、一見すると保育の丁寧さと対立しそうですが、野上さんはこれを「働き方改革の追い風」ととらえています。
無駄な作業を省き、本質的な保育に集中したいという彼らの視点を取り入れることで、組織全体の風通しが良くなり、ベテランにとっても働きやすい環境が生まれます。「今の若手は」と切り捨てるのではなく、その感性を組織のアップデートに活かす姿勢こそが、離職防止の最大の対策となります。
ともに育ち合う「共育」の文化へ
新人育成は、新人を「変える」ことではなく、園全体の「文化」を育てることです。 本セミナーで語られた「さじ加減」を意識した関わりは、新人の定着率を高めるだけでなく、リーダー自身のマネジメント能力を向上させることにも繋がります。
新人が「この園で働き続けたい」と思える土壌を、本書のメソッドをヒントに整えてみてはいかがでしょうか。
新人保育者の育成メソッドをもっと知りたい方は、 こちら
