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コーソクくん、福祉サービスを歩く withステッキ

<連載13> 言語聴覚士ってご存じ? その4

 脳卒中は突然起きます。病院に着くや直ちに医師と看護士さんが治療。症状にもよりますが、理学療法士による身体機能のリハビリもすぐに始まります。時間勝負の面があるからです。なかには言葉に障害が出て、失語症や構音障害になる方もいます。でもこういう状況に直面した経験のある家族は少ないでしょうね。最初はビックリするし、失語症の方との会話をどうすればいいかわからず、面くらう。病院ではST(スピーチセラピスト=言語聴覚士)さんがリハビリをしてくれますが、家に戻れば家族やヘルパーさんが対応しなくてはなりません。

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 前回も触れたように、言語聴覚士の石田瑞恵さんによると、言葉が出ないからといきなり50音表をだして「指さして」と会話をしたがる家族の方もいるそう。そんな無茶なやりかたをせず、「イエス、ノーで答えられる質問にするなど、症状に応じて対応してください」とのこと。それも「ゆっくりが基本。急がせないでわかるまで待ちます」。
 大事なのは、失語症でしゃべれなくなっても、その方自身の人格はしっかり残っているということです。知能が低下しているわけではありません。伝えること、話すことが難しいだけ。だから幼児語で話しかけるなんて論外。でも病院では多いですね。一時的に高次脳機能障害などでレベルが下がることがあっても、子どもになるわけではないのです。


 「語学に堪能な方は別として、私たちが英語を聞く時の感覚に似ています」と石田さん。
 最初はちんぷんかんぷんでも、単語一つ一つをはっきり、ゆっくり、短いセンテンスに言い直してもらったら、だんだんわかってきますよね。

 失語症では、ひらがなばかりが並んだ文章がわからない人が多いようです。ボクも同じで、かな続きの文は苦手ですね。文字ではなく、模様になっちゃう。どこを読んでいるのか迷う。50音の区別がつかなくても、漢字が入ると何となくわかる人もいるようです。表音と表意の違いなのでしょうか。
 ボクは何桁も数字が並んでいるのもだめ。新聞などで行を順に追っていく時、行がわからなくなります。1行の字詰めが多いとなおさらです。会報誌などに、1行の長さも、段落も、恐ろしく長いものって時々ありますよね。なるべく整理してもらいたい。文章は読み手のためのものだと思うので…。

 最後に、石田さんに、STさんになったきっかけを聞きました。
 「おじいちゃんがくも膜下出血でうまくしゃべれなかったので……。その頃、STはあまりいなくて、私は理学療法士になりたいと思っていました。おじいちゃんは“バカヤロー”しか言えないまま亡くなってしまいましたけれど、もしSTがいたら、違っていたのかな?!」
 原点って大事ですね。

写真
言語聴覚士の石田さん。笑顔がいいですよ


 次回の更新予定は12月14日(金)です。

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プロフィール
コーソクくん
(脳梗塞& 高次脳機能障害)
1951年生まれ。大学卒業後、フリーのライターとしてAV機器評論を行う。著書は約30冊。2008年に脳梗塞を発症し、半身マヒに。2009年、急性硬膜下血腫で手術。埼玉県三郷市にて高次脳機能障害と共存しながら新たな暮らし方を模索中。

*コーソクくんの旧連載(『ボクは高次脳機能障害』)をご覧になりたい方はこちら

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