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川村匡由の人生設計ゆとりサロン

安全な老後の住まいを考える(4)~~安全な老後の住まいのために

■安全な老後の住まいとは

 みなさんのなかには「シニアライフを福祉施設で」と考えている人もいるかと思いますので、最後に、では奄美市のグループホームのような惨事に遭わないようにするには、どのような福祉施設を選べばいいのか、チェックポイントをいくつかご紹介しましょう。

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 それには、一般的には利用料金が割安で、アットホームな福祉施設がいいことでしょう。施設の職員が利用者の人権を尊重し、最期まで人間の尊厳を守り、自立支援に向けてサービスが提供されることも重要でしょう。

 また、建物が新しくて堅牢で、かつ食事もバラエティに富み、栄養のバランスがとれていることも大切でしょう。さらに、生活相談員や介護職員はもとより、いざというとき、医師や看護師がただちに対応してくれることも必要でしょう。このほか、家族や友人、知人がいつでも訪ねてきてくれるよう、交通の便利なところがいいでしょう。

 しかし、果たして、これで万全でしょうか。

 答えは「ノー」です。なぜなら、仮にこれらのハードやソフトがすべて揃っていても、肝心の福祉施設が安全な場所に建っていなければどうしようもないからです。

■立地をチェックする方法

 そこで、この安全な場所をチェックする方法を三つお話ししましょう。

 まずは、その福祉施設のある場所は、周囲が平地で、水害や火災、地震などに見舞われないところか、行政の防災計画などでチェックすることです。そのためには、福祉行政の窓口だけではわかりませんので、防災行政の窓口に行って尋ねましょう。本来、このような防災情報も福祉行政の窓口にあるべきですが、“縦割り行政”のため、それはまず不可能だからです。

 次は、現地の都市計画はどうなっているか、チェックしましょう。その際、回りに公民館や図書館、商店街があるか、仮に現在はなくても将来はできるか、調べますが、その場合も都市計画行政の窓口で尋ねます。

 そして、最後は、地元の住民、それも、できれば古老に現地は昔はどのような土地だったか、尋ねましょう。その結果、現在はモダンなまちになっていても、昔は水田だったり、埋立地だったりしたら要注意です。地盤が弱く、地震や液状化現象に弱いため、危険個所といえるからです。

 ちなみに、東京の品川や墨田、江東区などは今、高層のオフィッスビルやマンションの建設ラッシュですが、「江戸前」の言葉どおり、かつては東京湾に面した漁村だったり、砂浜だった所が江戸城の堀や物流のための運河に変わっただけです。つまり、すべて埋立地です。

 そこで、人生100年時代を迎えたシニア世代に限らず、思い起こしたいのは「災害は忘れたころにやってくる」、いえ、「君子、危うきに近寄らず」です。

201012_4.jpg
品川や墨田、江東区などは危険な埋め立て地が多い(北区の北トピアから望む)


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プロフィール

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川村匡由
(かわむら まさよし)
社会福祉学者・博士(人間科学・早稲田大学)、行政書士有資格、福祉デザイン研究所所長。シニア社会学会理事、世田谷区社会福祉事業団理事、元大学基準協会評価委員、元社会福祉士試験委員。

主著に『地域福祉とソーシャルガバナンス』(中央法規出版)、『社会保障論(編著)』、(ミネルヴァ書房)、『人生100年"超"サバイバル法』(久美出版)など。山岳紀行家としても知られており、本サイトで「山歩きのすすめ」などを寄稿している。

川村匡由+福祉デザイン研究所のホームページ http://www.geocities.jp/ kawamura0515/

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