参議院選挙の結果に思う
■消費税と社会保障が争点だったのか?
ところで、ご存知のように、参議院選挙はこの11日(日)に投・開票されましたが、この選挙では社会保障の財源を消費税10%の引き上げで賄うべきか、それとも税制改革の前にまず無駄をなくすべきか、などが大きな争点でした。
結果は、ご存知のように、衆議院に次ぎ、過半数の議席の確保をめざしていた民主党が大敗(惨敗?)しました。これに対し、従来より消費税を10%引き上げ、総額約860兆円もの国の借金の埋め合わせを公約している自民党は、最も多い議席を獲得しました。
もっとも、その前に、国会議員や公務員の定数を大幅に削減するとともに、特殊法人や独立行政法人など公益法人制度の改革によって無駄を省き、財政を健全化して社会保障を立て直そうと訴えた、みんなの党が初挑戦で予想以上に議席を獲得しました。
ただし、今回の選挙では「政治とカネ」、また、沖縄の米軍普天間基地の移設をめぐる民主党政権内のごたごた(迷走?)が大きな影響をもたらした、といわれています。
また、菅首相の消費税引き上げの際の低所得者に対する軽減措置について、一貫性を持たなかった(?)発言に対し、多くの有権者が「政権内で十分議論したうえでのことか」、「事業仕分けはどうなったのか」などの反発が票に表れた、との見方も聞かれます。
■「強い社会保障」とは……?
しかも、肝心の医療に対するマニフェストや発言はほとんどなく、高齢者などにとっては、合点のいかないまま投票せざるを得なかったのか、それとも棄権したのかは定かでありません。
したがって、このままでは、超高齢社会のなか、国民の医療はどうなってしまうのか、その展望はますます見えにくくなってしまっているようです。
とりわけ、後期高齢者医療制度は衆議院議員の任期中の4年以内に廃止し、新たな高齢者医療制度を確立したいという民主党が今後、今回の参議院選挙の結果で生じた“ねじれ国会”を運営していくなかで、どのように具体化するのか、不透明です。
また、「この際、一国も早く衆議院を解散し、国民の信を問うべきだ」とする自民党など野党の主張に対し、政権政党は当面、どのように対応していくのか、これまた、ますます見えにくくなってしまっているようです。
しかし、高齢化の進展に伴い、医療費が今後も毎年1兆円ずつ増えていることは確かで、その予備軍であるシニア世代も、当分、政局に目が離せないでしょう。
選挙に投票するのも「政治参加」の一つですが、問題は、その後の監視と協働でしょう。すなわち、イギリスのような主治医(かかりつけ医)の制度化による大病院への患者の集中の一掃、都市部での医師過剰の見直し、過疎地での医師不足の解消、出来高払いの診療報酬体系の是正、医療情報の開示、製薬業界の適格な処方、および国民の適正医療への努力にかかっているのではないか、と思われます。
いずれにしても、民主党が政権交代の際に掲げたスローガン、「新しい公共」の流れは間違いがなさそうなため、今後、その方向に向かい、国会議員、官僚、関係業界、そして、国民がそれぞれの立場を超え、国をあげて取り組むべき課題だと痛感せざるを得ません。
医療制度に不安げな高齢者(岐阜市にて)
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