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川村匡由の人生設計ゆとりサロン

わが国における余暇事情

 わが国では人々は余暇をどのように受け止めているのでしょうか。

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 1968年の『国民生活白書』を機に、国民の意識はそれまでの経済の発展や産業の振興から余暇の充実へと志向し、シニア世代はもとより、高齢者や障害者も余暇を有効に活用することによって生活の見直し、さらには「人間復権」がにわかに関心事となってきました。

 しかし、それから半世紀近く経っているものの、余暇とは、今も余った時間や暇な時間としてとらえられがちな傾向にあります。このため、休みはなるべく取らず(取れず?)、会社のため、あるいは家族のためにせっせと働かなければならないかのように受け止められがちです。

 折しも「100年に1度の不況」といわれているご時勢だからでしょうか。1989年にベルリンの壁が崩壊して東西の冷戦時代が終わったうえ、中国や韓国、インド、ロシアなどの新興国が台頭しているなか、日米関係の見直しやわが国の国際社会における新たな役割について論議されなければならないにもかかわらず、昨年の衆院総選挙に対する国民の関心は「政権交代の是非」、および「社会保障の充実」にまさるとも劣らなかったのは「景気の回復」でした。

 その原因を考えてみると、わが国の政治や経済のあらゆる機能、情報が東京に集中しているため、「地方の時代」といわれて早40年以上も経っているにもかかわらず、地方を見据えた発想や論議に乏しく、何かにつけて首都圏中心であるうえ、事なかれ主義、あるいは現状維持にとどまっていることもその一つとして指摘できそうです。

 なるほど、1990年代のバブル崩壊やその後の経済のグローバル化、一昨年のアメリカのリーマン・ショックに伴う世界同時不況、および格差社会の昨今とはいえ、今日の国民生活の向上や平均寿命の伸長、社会保障の整備・拡充は、戦後、経済政策に特化したソーシャルガバメントのたまものでした。もっとも、それは国民生活よりも経済政策を優先した結果で、その基底には国民の勤勉性に負うところも多かったのではないか、と思われます。

日本人よ、自由時間のエンジョイを!

 そこで、このような今日の繁栄の“果実”として、大いにエンジョイしたいのが余暇のフル活用ではないでしょうか。また、それは単に自己の生活の満喫だけでなく、高齢者や障害者などもごく当り前の生活者として、また、権利の主体者として地域社会に包摂すべきとするソーシャルインクルージョンにも理解を示し、国民のだれもがいつまでも健康で充実した人生を送ることのできる市民社会を創造することが求められています。

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高齢者や障害者も福祉タクシーを利用し、ドライブや買い物を楽しみたい(帯広市にて)


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プロフィール

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川村匡由
(かわむら まさよし)
社会福祉学者・博士(人間科学・早稲田大学)、行政書士有資格、福祉デザイン研究所所長。シニア社会学会理事、世田谷区社会福祉事業団理事、元大学基準協会評価委員、元社会福祉士試験委員。

主著に『地域福祉とソーシャルガバナンス』(中央法規出版)、『社会保障論(編著)』、(ミネルヴァ書房)、『人生100年"超"サバイバル法』(久美出版)など。山岳紀行家としても知られており、本サイトで「山歩きのすすめ」などを寄稿している。

川村匡由+福祉デザイン研究所のホームページ http://www.geocities.jp/ kawamura0515/

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