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野田明宏の「俺流オトコの介護」

造影剤

造影剤を入れながら確認
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 胃ろう交換したことは前回に記した。極めて順調に交換は終わった。医師、看護師、そして放射線技師方々もそれは良くしてくれた。
 胃カメラをしたくない。
 そんな想いから、思い切って病院を替えて良かった。そんな風につくづく、交換後に母をデイサービスへ託して、ヤレヤレと一服感を極めたのだった。
 ところが、オレにとって一人しかいないお母ちゃん。とんでもない異変が起こった。
 翌日早朝の朝食時、お腹がグルグルと激しく鳴っている。♩ビッ♫という音がお尻の方から聞こえたような気もした。グルグル&♩ビッ♫の組み合わせだから排便を気に掛けないといけない。
 とはいえ、母は頑固な便秘症。少量しか出なかったとはいえ、胃ろう交換の前日にデイサービスで摘便等で出している。過去の経験で排便することはあり得ないので無視した。
 朝食を終え、オレは改めて布団の中へ。午前8時50分頃からデイサービス出陣準備。まずは尿取りパッドの交換だ。エアコンとファンヒーターで室温は23度前後。動き始めるとオレには暑い。
 母は、尿取りパッドをして紙オムツでお尻を包んでいる。尿漏れも希にあるのでフラットのパッドも敷いている。下半身はそれで夜を過ごす。もちろん、足下などはレッグウォーマーや毛布等で包んでいる。問題はない。
 布団を捲る。アレッ??\(◎o◎)/!
  アッチャー! 母が自然排便している。それも軟便で、フラットのパッドも突き抜けてエアマットに被せてる冬用シーツまでにも染みこんでいる。
 オムツを左右に開く。尿取りパッドからは便がはみ出てオシッコも混在してオムツとパッドの領域区分がない。
 オレは母の介護を8年7ヶ月やってきた。が、軟便を処理したケースは本当に希。摘便も、一度掘ると肛門が裂けそうになりながらメリメリモリモリと、極太ウンコが出てきていたものだ。
 オレはかなりパニックった。なにせ、胃ろう造設後の3年半ほど、排便処理はデイサービスでやってきてもらっていたから。記憶の中では1度だけ、デイサービスで処理した残便が残っていたモノをキレイにしたくらいだ。
 そうこうしているうちに9時。9時20分にはデイサービスからお迎えが来る。どうしよう?
 SOS発信。
 デイサービスへ電話を入れる。状況説明。すると、直ぐに来てくれるとのこと。近所になったメリットだ。二人の職員が来てくれ、とりあえず簡単な便処理。その後、着替えさせてくれデイサービスへと母は向かった。
 ヤレヤレ。
 なんで? いろいろと考えてみた。胃ろうそのものは型が替わったけれど、これが原因とは思えない。経管栄養のエンシュアも同じ。となると、胃ろうがちゃんと装着され稼働しているか確認のために飲んだ造影剤か?
 まあ、シッカリお腹の中がキレイになったのだからOK。オレは安易に考え、ハイそれまでよだった。
 ところがだ。これが、翌日朝、翌々日朝も続いた。デイサービスで放出してくれれば良いモノを!
 突然、正真正銘と記すと語弊がありそうだが、正真正銘の在宅介護最前線ど真ん中に身を置く現実。キツイ! 
 エアマット上で行うオムツ交換。もちろん肛門付近の洗浄。腰にオモイッキリ来るのだ。(×_×)
 オレはオレ自身に言い聞かせる。
 「一つひとつ。一つひとつを確実に。焦らない」
 母を、胃カメラを飲むという苦痛から解放するためだった病院替え。目論みどおりに母は苦痛から解放された。とはいえ、日々の軟便処理はオレへの試練か? いつまでもなら耐えられないオレが確実にいる。
 ネットで検索をかける。
 造影剤 副作用
 下痢などの症状は希にあるらしいが、確率2パーセントと。
 黙考。
 「それでも、造影剤しかないな」
 胃ろう交換した病院へ電話し、放射線技師の方に事情を説明した。すると、
 「造影剤を飲むと腸が活性化されるんですよ。ドーンと一気に全てを出し切った状態になっていると思います。それで、腸内細菌のバランスが狂ったのではないでしょうか? 便秘症の方は特に多いんです。
 造影剤はガストログラフィンという造影剤20cc。それを薄めるために生理食塩水20ccを入れさせてもらいました。
 造影剤は油成分なんで、大雑把に想像してもらうなら“ひまし油”と考えてください」
 感謝! 多忙の最中、親切に説明してくれた。しかし、“ひまし油”? 知らない。
 検索をかける。
 なんと、下剤としても使用されてるとのこと。
 そうかー。自然治癒が普通だそうだが、
 どこまで続くぬかるみぞ だ。 
 と、お気楽な行き当たりばったりでこれからに臨むわけにはいかない。16、17&18日の朝に排便というより軟便失禁があった18日の午後3時半は主治医の往診日だった。
 放射線技師さんに電話した直後に主治医の医院に電話を入れ、いつも主治医に同伴してくれる看護師さんと相談した。
 結局、ロペミンという下痢止めを処方してもらった。小児用。大人の半分の量が粉末というか微粒になっている。それと整腸剤のラックビー。
 主治医曰く、
 「動いてます。すごく腸が動いてますよ」
 聴診器を当てるまでもなく、母はグルグル音を室内に放散している。
 この往診時、看護師さんに下痢止めと整腸剤を胃に注入してもらった。オレもできるが、プロに任せた方が無難。

シリンジ(注射器のように見えるモノ)に薬を溶かした液体をいれる。
これが、案外と初心者には難しい。
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胃ろうから注入
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 そして翌朝である19日。母のお尻周りに便の付着はなかった。
 半年後の胃ろう交換。今回の経験を踏み台にしなければならないが、思いも寄らない苦戦を強いられた。
 さて、なんとか今冬も乗り切れた様子。次回の胃ろう交換は半年後が目安。となると8月。夏ど真ん中だ。それを乗り越えたら、オレの在宅介護は10年目に突入する。
 

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コメント


野田さま

遅れました。
55歳 お誕生日おめでとうございます。
いつも納得させられるのですが、
野田さんは、濃い情報を発信されていますね。
ジョークもあり。
決してダジャレでもなく。
これからも楽しませてもらいます。


投稿者: 猪林 | 2011年02月23日 16:57

猪林さま

ありがとうございます。
濃い? かどうか微妙ですが、
これからもシッカリ発信していきたいと思います。


投稿者: 野田明宏 | 2011年02月24日 21:27

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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