最近よく聞く「サ高住」って何? 第2回:どういう人が利用できるの? 〜入居要件と「3つのタイプ」〜

2026/05/15

よく耳にするけど、実はよく知らない…そんなサ高住について解説します

介護・福祉・医療の現場にいると「サ高住」という言葉をよく耳にすると思います。が、「サービスを利用しながら暮らせる施設」というほわっとしたイメージの人が多いのではないでしょうか。この連載では、高齢者住宅協会兵庫支部長の藤原雅美さんが、サ高住についてわかりやすく解説してくれます。
 

目次


1.はじめに

こんにちは、高齢者住宅協会 兵庫支部長の藤原雅美です。

前回の連載第1回では「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」が他の施設とどう違うのかをお話ししました。

2回となる今回は、現場のスタッフさんも意外と整理できていない「制度と仕組み」の基本についてです。「うちの職場って、結局どんな人が入れるの?」「他の住宅や施設と何が違うの?」という疑問を、一緒に整理していきましょう。

 

2. 入居できるのは「60歳以上」が基本

法律で決められている入居のルールは、実はとってもシンプルです。

60歳以上の方 

*または要介護・要支援認定を受けている60歳未満の方

基本はこの2パターン。これに加えて、配偶者の方が一緒に住むことも認められています。

特別養護老人ホームのように「要介護3以上」といった厳しい制限はありません。そのため、元気に自分らしい生活を楽しみたい方から、手厚いケアが必要な方まで、本当に幅広い方々が同じ住宅の中で暮らしています。

ここで大切なのは、サ高住が「施設」ではなく、あくまで「自分の意思で借りている家」であるという点です。

決められたスケジュールに合わせるのではなく、自分のペースで、自分の好きなものに囲まれて暮らす。私たちは、その「当たり前の日常」を支えるパートナーなんですよね。


3. 「3つのタイプ」を整理する

「サ高住」と一言で言っても、実は運営のやり方によって大きく3つのタイプに分かれます。

タイプ

どんな人

向け?

特徴と現場の役割
①健康型

元気な

アクティブ層

お部屋にキッチンや浴室が完備。外出も自由で、シニア向けマンションに

「安心」をプラスしたイメージです。

②混合型

自立

〜軽度介護

一番多いタイプ。 介護が必要になっても、訪問介護やデイサービスを

自由に組み合わせて住み続けます。

③重度対応型

中重度

~看取り

「特定施設」の認可を受けたり、看護師さんと密に連携したりして、

24時間の介護や医療的なサポートに対応します。

 

ここで、私が感動したあるエピソードをご紹介します。

◆現場スタッフあるある
「うちは健康型だと思って入職したけれど、年経ったら入居者様も一緒に年を重ねて、いつのまにか重度対応型のように、みんなで支え合う温かい場所になっていた!」

……なんていう変化も、この仕事のやりがいの一つですよね。   

 

4. 「安否確認」と「生活相談」という、見えない絆

どのタイプであっても、高齢者向け住宅である以上、絶対に欠かせない「2つの柱」があります。

 *安否確認(見守り): 「おはようございます!」の声掛けや、さりげない様子見で無事を確認すること。

 *生活相談: 日常の困りごとや、ふとした不安を、スタッフが聞き取ること。

これ、単純な作業に見えて、実は一番「プロの目」が試される部分です。

「昨日より少し返事が小さいな」「今日はなんだか歩き方が不安定だな」という、バイタルなど数字には出ない小さな変化に気づくこと。これこそが、私たち専門職の技術です。

センサーなどの機械も便利ですが、最後はやっぱり「人の目」と「心の通い合い」。この「何もない日常を、当たり前に守り続ける仕事」に、もっと自信を持ってほしいと私は思っています。


5. 介護サービスは「馴染みの資源」を組み合わせて作る

サ高住の大きな特徴は、介護サービスを住宅とは「別で契約」することです。

入居者様は、信頼できるケアマネジャーと相談しながら、これまで利用していたデイサービスを継続したり、必要なヘルパーや訪問看護を地域のサービス事業所から自由に選んだりして、生活を組み立てていきます。

介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、老人保健施設などの、あらかじめサービス内容が決まっているパッケージ形式とは違い、暮らし方は一人ひとり違う「オーダーメイド」なんです。

この「自分で選べる」という仕組みは、入居者様が「自分の足で立ち、自分の人生を生きている」という自立した気持ちを支える大きな力になります。私たち現場スタッフは、その選択を尊重し、地域社会と入居者様をつなぐ「架け橋」のような存在なのです。

 

6. おわりに

今回は、高齢者向け住宅の「仕組み」と「3つのタイプ」についてお伝えしました。

ここは決まった型に入居者様を当てはめる場所ではなく、一人ひとりの希望に合わせて形を変えることができる、とても柔軟な住まいです。

さて、仕組みがわかったところで、気になるのは「その中身」です。

「実際には、どんな方たちが、どんな想いで暮らしているのか」。

次回は、要介護度の幅や、認知症の方の暮らし、そしてここを選んだ理由など、より具体的な「入居者の実像」に迫ります。皆さんが毎日接している、あの賑やかで温かい人間模様を一緒に紐解いていきましょう。


著者紹介

藤原 雅美(ふじわら まさみ)

高齢者住宅協会兵庫支部長。
看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員。
居宅や老健でのケアマネ経験を経て、現在は富庄トラストパートナーズ株式会社取締役としてサービス付き高齢者向け住宅「アガスティーア姫路」の運営を担う。介護・看護の養成校にて講師も務め、次世代の育成にも尽力する。
「住み慣れた場所で最期を迎えたい」という利用者の願いに応えるため、看取りまで責任を持って関わり続けることを信念としている。一期一会の縁を大切に、ご縁のあった方を最期まで支え抜くべく日々奮闘中。