介護支援専門員実務研修ってどんな内容? 合格後に受講必須! 実務研修とは?

2025/10/09

 試験に合格した後、ケアマネジャーとして現場で活躍するために、「介護支援専門員実務研修(以下、実務研修)」の受講が必要ですが、その内容をご存知ですか? 今回は、実務研修受講までの流れや実務研修の具体的な内容についてご紹介します。


試験合格から実務に就くまでの流れ

 まず、試験に合格してから、実務に就くまでの流れを確認します。

 

 

 試験に合格後、合格通知と実務研修の案内が各都道府県等から届きます。その案内に従って、実務研修の申し込みを行い、実務研修を受講します。実務研修では、ケアマネジメント実践にかかわる基本的な考え方等を理解・習熟できたかを確認する修了評価があり、それに合格することで、研修修了証明書が発行されます。研修修了証明書の交付を受け、各都道府県へ介護支援専門員として登録を行い、介護支援専門員証を受け取ることで、晴れて現場に立つことができます。


実務研修の目的

 試験に合格しても、実務研修を受講しなければ介護支援専門員の登録ができません。では、なぜ、実務研修を受講しなければならないのでしょうか? 厚生労働省が発出している「介護支援専門員実務研修ガイドライン(平成28年11月)」では、その目的を次のように示しています。

 

 「介護支援専門員として利用者の自立支援に資するケアマネジメントに関する必要な知識及び技能を修得し、地域包括ケアシステムの中で医療との連携をはじめとする多職種協働を実践できる介護支援専門員の養成を図ること」。

 

 ケアマネジャーは、利用者一人ひとりの暮らしを支える重要な役割があります。その役割を存分に発揮できるよう、実務に就く前から、ケアマネジメントの基本を十分に身につけておくことが求められるのです。
 では、実務研修では具体的にどのようなことをするのでしょうか?


実務研修の具体的な内容

 実務研修は、講義・演習、実習から成り、合計87時間以上と定められています。

 

講義・演習

 介護保険制度の理念や現状、相談援助技術、ケアマネジメントに必要な基礎知識・技術など規定の科目に沿って学びます。グループワークやロールプレイングなどを活用しながら実施されることも多いです。

 

実習

 実習では、居宅介護支援事業所等に行き、アセスメントからモニタリングまでの一連のケアマネジメントプロセスを経験します。居宅サービス計画書の作成やサービス担当者会議への同席などにより実践的な学びが得られます。

 

実務研修の実施方法

 実施方法は、各都道府県や研修団体によって大きく異なります。例えば、東京都の場合、87時間の講義・演習を15日間で実施し、居宅介護支援事業所での実習を3日間行います。一部の科目は、オンデマンド配信による自宅受講が許可されています。
 講義・演習は、zoomやe-learning等オンラインを活用する実施団体もありますので、詳細は、各都道府県等にご確認ください。


実務研修の詳細

 実務研修にかかる時間は87時間以上と定められています。実施時期や費用等も各都道府県や研修団体によって異なりますが、概ね下記のとおり実施されることが多いです。

 
実施時期 費用
12月~翌3月
(最長で9月まで実施するところもあり)
平均54,000円
※約23,000円~80,000円と幅がある

※詳しくはお住いの自治体、研修団体のHPをご覧ください。


実務研修への心構え

 ここまで実務研修の内容について、簡単に紹介させていただきました。では、実際に実務研修に参加する際にはどのようなことに気をつければよいのでしょうか? 先輩ケアマネジャーから、アドバイスをいただきました!

 

最低限のマナーを守り、チームワークを大切に!

 集合研修の際、ときどきビーチサンダルに短パンのようなラフな格好で参加する人がいます。利用者や家族の方に会うときにそのような服装をする人はいないでしょう。研修とはいえ、ケアマネジャーとしての最低限のマナーは意識したほうがよいと思います。
 また、実務研修では「チームワーク」も大切です。演習ではグループワークの機会が多くあると思いますが、チーム力を高めることを意識して、積極的に参加する姿勢でいることで、実務に就いたときに役立つのではないでしょうか。

(Tさん・実務研修ファシリテーター)

 

知識の復習と弱点を意識して受講!

 試験後から実務研修までに間が空いていたので、研修前はサッと試験勉強の際に利用していたテキストを読み返してから、臨みました。
 また、自分の弱点をピックアップしてから受講しました。たとえば、ケアマネジャーは、サービス担当者会議などで決められた時間内に多職種から意見を引き出す必要がありますが、「場の流れをつくりながら、適切にケアプランの根拠を見出していく」ようなスキルに不安がありましたので、そういった部分はより一層意識的に受講しました。
 自分の弱点を理解しておくことで、効果的に受講でき、克服すべき課題も明確になります!

(Sさん)

 

ケアマネになった自分を想像しよう!

 実務研修受講前に、研修用のテキストを読んで、予習しておきました。事前にテキストを読んでおくことで、講師の説明が理解しやすくなりました。
 また、実際にケアマネとして仕事に就くときのことを考えながら講義や実習に臨むとよいと思います。「こんなとき、自分だったらどうするだろう」とケアマネになった自分を想像し、ワクワクした気持ちでいると楽しく受講できるのではないでしょうか。

(Yさん)

 

 ケアマネジャーへの第1歩である実務研修。初めての研修で不安もあるかもしれませんが、利用者とその家族の暮らしを支える確かな力を得るために、しっかりと受講していきましょう!


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