Q&Aでわかる!介護施設の看護実務 【Q5】
2025/05/09

「看護師」の職場といえば、真っ先に病院が思い浮かぶと思います。しかし、実際の職場は多機にわたり、介護施設もその一つです。本連載では、介護施設に勤務する看護師の業務内容や考え方、介護職などの他職種との連携について、特に重要な項目をピックアップしてQ&Aの形で紹介していきます。
【著 者】
前川 静恵(まえかわ・しずえ)
社団法人是真会病院病棟師長、慈恵病院看護部長、長崎市医師会保健福祉センター、老人保健施設ハーモニーガーデン副施設長、有限会社Gracias かいごの花みずき施設長、株式会社パールの風代表取締役、社会福祉法人鳳彰會副理事長などを経て、現在社会福祉法人鳳彰會理事、特別養護老人ホームひこばえ施設長、ケアハウスひこばえの苑施設長。看護師、介護支援専門員。
主な著書に、『訪問介護事業所サービス提供責任者仕事ハンドブック』中央法規出版、2006、改訂版2009、三訂版2013、『デイサービス業務実践ハンドブック』中央法規出版、2014、改訂版2015、など。
Q5 職員の健康管理で必要なことは?
[Answer]
利用者の日常生活が潤い、円滑に過ごしていただけるためには、まず職員自身が健康でなければいけません。一般的に「職員の健康診断」は「年1回(夜勤者は年2回)」行わなければいけないようになっています。
[解 説]
真の健康とは健康診断のデータ上の健康だけでなく、身体的にも精神的にも健康であることを意味します。ケアをする中で、腰痛などの身体的な心配や技術不足の不安、人間関係の悩みなど、多くのストレスを抱える職員も少なくありません。職員が心身ともに健康であってこそ、利用者が望む質の高いサービス提供が可能になります。
十分な休息や睡眠を確保し、ストレスを適切に解消する方法を見つけることは個人の課題ですが、働きやすい職場環境も重要な要素です。体調不良時に気軽に上司に相談でき、悩みを共有しやすい環境づくりが大切です。仕事にやりがいを感じられ、仲間づくりもしやすい職場であれば、精神的な負担軽減に繋がります。職員間でお互いの表情や活気の変化に気づき、声をかけ合い、気遣い、助け合う気持ちを持つだけで心の負担は軽くなります。
利用者は職員の表情や態度を敏感に感じ取り、職員の笑顔や温かい言葉かけによって元気をもらいます。そのためにも、職員の健康管理は大切です。
※本連載は、前川静恵先生の著書『Q&Aでわかる!介護施設の看護実務―特養の実地指導・連携・ケア』(中央法規出版、2022年10月発行)をもとに作成しています。施設看護師の業務をさらに深く知りたい方は、本書をぜひご覧ください。