Q&Aでわかる!介護施設の看護実務 【Q3】
2025/04/25

「看護師」の職場といえば、真っ先に病院が思い浮かぶと思います。しかし、実際の職場は多機にわたり、介護施設もその一つです。本連載では、介護施設に勤務する看護師の業務内容や考え方、介護職などの他職種との連携について、特に重要な項目をピックアップしてQ&Aの形で紹介していきます。
【著 者】
前川 静恵(まえかわ・しずえ)
社団法人是真会病院病棟師長、慈恵病院看護部長、長崎市医師会保健福祉センター、老人保健施設ハーモニーガーデン副施設長、有限会社Gracias かいごの花みずき施設長、株式会社パールの風代表取締役、社会福祉法人鳳彰會副理事長などを経て、現在社会福祉法人鳳彰會理事、特別養護老人ホームひこばえ施設長、ケアハウスひこばえの苑施設長。看護師、介護支援専門員。
主な著書に、『訪問介護事業所サービス提供責任者仕事ハンドブック』中央法規出版、2006、改訂版2009、三訂版2013、『デイサービス業務実践ハンドブック』中央法規出版、2014、改訂版2015、など。
Q3 皮膚ケアのポイントは?
[Answer]
高齢者は皮膚がもろく弱い状態にあります。加齢に伴って表皮と真皮は薄くなり、その下の皮下脂肪層も薄くなり、皮膚の全体的機能は低下します。
そのため「高齢者の皮膚の特徴を知る」「皮膚の状態の変化を観察する(早期発見)」「皮膚の変化に対する反応を見る」「清潔を保つことで感染症予防につなげる」等がポイントです。
[解 説]
高齢者の皮膚は、かさつき、絆創膏負け、表皮剥離のしやすさ、回復力の遅さなど様々な変化が見られます。血管がもろくなるため、わずかな刺激でも皮膚損傷や内出血が起こりやすくなります。また、乾燥しやすく「かゆみ」「落屑」が多く見られる場合は、清拭や入浴後の軟膏塗布で油分を補給し、かゆみを緩和させる処置を行います。オムツ交換、排泄介助、更衣、入浴などケアの際に観察し、日頃から皮膚の状態を知っておくことが重要です。
特に臥床時間が長い利用者は褥瘡になりやすく、皮膚の保清が大切です。発赤、湿疹、打撲による皮膚の色の変化など、介護職員からの報告を受けた場合は、看護師が迅速に処置や指示を行い悪化を防ぎます。必要に応じて主治医に報告し、指示に従って処置を行い、介護職員と情報を共有します。皮膚を清潔にすることは、皮膚機能が低下している高齢者の様々な症状を軽減し、疾患の発生要因をなくすことに繋がります。皮膚の異常の早期発見・早期対応により悪化を防ぎ改善に繋げることを介護職員と共に再認識し、皮膚ケアに努める必要があります。
※本連載は、前川静恵先生の著書『Q&Aでわかる!介護施設の看護実務―特養の実地指導・連携・ケア』(中央法規出版、2022年10月発行)をもとに作成しています。施設看護師の業務をさらに深く知りたい方は、本書をぜひご覧ください。