「ヤングケアラー支援プラン」について

2026/08/26

今年7月にとりまとめられたヤングケアラー支援プランについて紹介します。

 令和8年7月23日に、「第2回ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・就労・教育の連携プロジェクトチーム」が開催されました。このプロジェクトチームでは、令和3年に「厚生労働省・文部科学省として今後取り組むべき施策」が示されて以降、より効果的なヤングケアラー支援を展開するための更改版「今後取り組むべき施策」の作成に向け、議論が行われていました。プロジェクトチーム立ち上げの背景など、第1回の議論の内容は、本サイト「 ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・就労・教育の連携プロジェクトチーム 」にて取り上げていますので、適宜ご参照ください。
 第2回のプロジェクトチームでは、上記施策を含む「 ヤングケアラー支援プラン(令和8年7月23日版) 」が公開されています。本記事では、支援プランの内容に沿って、トピックを紹介します。資料全体をご覧になりたい方は、 こども家庭庁のホームページ をご確認ください。


1. 現状と課題

 ヤングケアラー支援については、令和3年に「厚生労働省・文部科学省として今後取り組むべき施策」が示されて以降、施策の立案や各種報酬への反映、実態把握などの取組が行われてきました。また、令和5年度にはこども家庭庁が発足し、令和6年度には、子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号、以下「法」)における“支援に努めるべき対象”として、ヤングケアラーが明記されるなど(法第2条第7号)、ヤングケアラーを取り巻く環境は大きく変化しています。
 一方で、取組が進むにつれ、若者世代への支援や就労支援、家庭全体への支援の必要性が指摘されるなど、より複合的で長期的な課題が浮き彫りになってきました。そこで、より効果的なヤングケアラー支援を展開するために必要な施策や取組について、プロジェクトチームにおいてさらに議論を重ね、現在の状況を反映した更改版「今後取り組むべき施策」を策定することとされました。

 

更新のポイント

①若者世代への支援の推進
・プロジェクトチームの連携分野として新たに「就労」を追加し、「福祉・介護・医療・就労・教育」分野の連携へ拡大
・18歳以上のヤングケアラーについても、各種支援を活用できる運用の確保に向けた検討
・高校や大学等の進学や学業継続を支える相談体制の充実や関係機関の連携を強化
・就職・就労継続や柔軟な就労の確保のため、就労支援機関等と連携を強化

 

②家庭まるごと支援
・ヤングケアラーが支える家庭をまるごと支援するため、家庭の価値観や状況を理解、尊重しながら信頼関係を構築し、必要な支援を実施
・家族間のコミュニケーションの促進等により、ヤングケアラーの負担を軽減

 

③多様なニーズに応える支援策の推進
・相談先や利用可能な支援に関する情報提供に加え、家族の病気や状況について適切な説明を受ける機会を提供
・心身の不調軽減に向け、必要な心理支援等の機会を確保

 

④意見聴取の推進
・多様な状況のヤングケアラー当事者等からの意見を聴取し、理解向上や今後の施策へ反映


2.支援プランの内容

 それぞれの主体においてヤングケアラー支援の取組が進む中、支援に関する効果的な取組に関する知見の蓄積が進んできましたが、同時に新たな課題等も明らかになったため、現在の状況を反映したものに更改する必要が生じています。
 こうした状況を踏まえ、改めて関係機関の連携をより一層強化し、ヤングケアラー支援を推進していくため、令和7年度にこども家庭庁、厚生労働省及び文部科学省の実務者による「ヤングケアラー関連施策に関する実務者連絡会議」において、現状の把握と新たに取り組むべき施策の方向性について検討を行い、「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・就労・教育の連携プロジェクトチーム」において、今後3年間程度(令和8年度から令和10年度まで)で取り組むべき施策が取りまとめられました。

 

1.早期把握・多機関連携

 ヤングケアラーは、支援が必要であってもその存在自体が表面化しにくく、ヤングケアラー自身の状況や意向によって、援助に対して前向きになれない可能性もあります。その存在を把握した後も、必要な支援に円滑につなぐため、適切な対応について理解が浸透するよう留意する必要があります。
 ヤングケアラーに気づいた際、いつ、どこに相談や連絡をすればよいのか、個人情報の適切な取扱いや、各自治体のヤングケアラー担当部署への情報連携を促進し、必要な支援へのつなぎを図っていくことが大切です。関係機関においては、ヤングケアラーの把握、情報連携を併せて推進していきます。
<取り組むべき施策>
・学校、医療機関、福祉事業者、児童委員、地域・民間団体などにおけるヤングケアラーの早期把握と情報連携の推進
・地方公共団体における実態調査・把握の推進

 

2.家庭まるごと支援

 これまでの調査研究等から、ヤングケアラーに係る問題は、家族がそれぞれ抱える様々な課題が関連しあい、複合化しやすいという特徴があることから、こどもや若者に焦点を当てるだけでなく、家庭全体を捉える視点の重要性が指摘されています。
<取り組むべき施策>
・家庭との信頼関係の構築
家族間コミュニケーションの推進

 

3.支援策の推進

 これまで、「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」の作成や地方公共団体によるヤングケアラー支援を推進するための財政的支援などが行われてきましたが、ヤングケアラーの心身の負担を軽減するためには、ヤングケアラーがケアしている家族自身への支援が重要であるとの指摘がありました。
 また、法第2条第7号において、ヤングケアラーが支援対象として明記され、30歳未満の若者を中心に、支援対象の年齢の幅も大きく広がっています。多様な状況に置かれているヤングケアラーにきめ細かな支援を届けるためには、これまでの取組を全国的に展開していくとともに、支援策を一層充実させていく必要があります。
<取り組むべき施策>
・ケアを必要とする家族への社会でのサポートの充実
・情報や資源の充実
・若者世代への支援

 

4.社会的認知度・理解の促進

 社会的認知度の向上のため、令和4年度から令和6年度の3年間をヤングケアラー認知度向上の「集中取組期間」とし、まずは中高生の認知度を5割にすることを目指して、広報媒体の作成・周知や広報啓発イベントの開催が行われてきました。これにより、令和7年度の調査では中学生の約6割、高校生の約8割がヤングケアラーについて「聞いたことがある」と回答するなど、ヤングケアラーの社会的認知度は一定程度高まっているといえます。
 しかし、「ヤングケアラー」という言葉そのものの認知度に反して、こどもの権利の認知度については「聞いたことはあるが、よくわからない」という回答が多く、ヤングケアラーの問題が「こどもにとって当然保障されるべき権利」という観点に結びついていないことが分かります。社会的認知度の向上とともに、正しい理解を促進していく必要があります。
<取り組むべき施策>
・広く国民に対する啓発・理解の推進
・福祉や教育分野等関係者の理解促進
・ヤングケアラー関連施策に関する意見聴取の促進


3.まとめ

 今後は、毎年度1回程度、「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・就労・教育の連携プロジェクトチーム」において、本プランに対応する施策の取組状況について共有し、フォローアップを行うこととしています。
 ヤングケアラーについては、関係法令や調査研究について掲載されているこども家庭庁のホームページ( ヤングケアラーについて )や、 ヤングケアラー特設サイト があります。特設サイトには、実態調査の実施状況や教育関係者向けの解説動画、相談窓口などについて情報が掲載されておりますので、ご参照ください。