ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・就労・教育の連携プロジェクトチーム 第1回
2026/03/05
ヤングケアラー支援の新たな一歩。関係府省による「連携プロジェクトチーム」が始動
令和8年1月20日、こども家庭庁、厚生労働省、文部科学省の3府省による「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・就労・教育の連携プロジェクトチーム」の第1回会議が開催されました。こども家庭庁、厚生労働省、文部科学省の各局長・担当者らが出席しています。
ヤングケアラーを取り巻く環境が変化する中、分野の垣根を越えた支援体制のさらなる充実を目指し、具体的な施策の検討が始まっています 。
プロジェクトチーム立ち上げの背景
ヤングケアラー支援をめぐっては、令和3年に厚生労働省と文部科学省が連携プロジェクトチームを立ち上げ、早期発見と支援に向けた取組を進めてきました。
その後、以下の大きな変化がありました。
・こども家庭庁の設置(令和5年4月)
ヤングケアラー支援の取りまとめを担う組織として、地域支援体制の強化を推進しています。
・法改正(令和6年)
「子ども・若者育成支援推進法」が改正され、ヤングケアラーが国・自治体による支援の対象として明確に位置付けられました 。
これらの状況変化を反映し、福祉・介護・医療・教育に「就労」を加えた幅広い分野で改めて連携を深めるため、本プロジェクトチームが発足しました 。
各府省の決意:こども・若者の権利を守るために
会議では、各府省の代表から支援に向けた決意が述べられました。
こども家庭庁は、「議長として分野間の連携を深め、施策の進展につなげたい」とし、円滑な議論への意欲を示しました。
厚生労働省は、家庭内の福祉・医療ニーズの観点から、他省庁と協力して把握と支援に取り組む姿勢を強調しました。
文部科学省は、ケアにより学習機会や進路の選択肢が奪われる現状を「権利侵害の可能性がある」と重く受け止め、適切な支援を推進する方針です。
今後のスケジュールと方針
本会議では、令和7年度に実施されたヤングケアラー関連施策に係る実務者連絡会議(「実務者連絡会議」)による施策案に基づき、以下の2点が了承されました。
・早期の取組着手(各分野において、実施可能な施策から順次取り組むこと)
・プランの決定(今回の案を基に、令和8年度(来年度)のできるだけ早い時期に、正式なプロジェクトチームのプランとして決定すること)
ヤングケアラーが自身の人生を自由に選択できるよう、行政による包括的なサポート体制の構築が急ピッチで進められています。
本プロジェクトチームの資料や活動の詳細は、こども家庭庁の
ホームページ
よりご確認いただけます。
「実務者連絡会議」による施策案
「実務者連絡会議」による今後取り組むべき施策の案を概観すると、次の通りです。
1. 早期把握と多機関連携の推進
ヤングケアラーを早期に見つけ出し、適切な支援部署へつなぐ体制を強化する。
学校・医療・福祉機関での理解促進:
学校、医療機関、介護・障害福祉サービス事業者がヤングケアラーに気づく重要性を理解し、個人情報の取扱いに留意しつつ担当部署へ情報共有できる体制を整える。
地域・民間との連携:
児童委員や民間の居場所、民間団体に対しても、相談しやすい関係構築や連絡方法の周知を行う。
実態調査の推進:
地方公共団体に対し、少なくとも年1回程度の定期的な実態調査を促し、多言語対応や外国ルーツのこどもへの配慮など好事例を展開する。
担当部署の見える化:
地域の情報を集約する「ヤングケアラー担当部署」の設置状況を調査・公表し、どこに相談すべきかを明確にする。
2. 「家庭丸ごと」の支援体制
本人だけでなく、家族全体を支えることでケアの負担を根本から軽減する。
信頼関係の構築:
支援に消極的な家庭に対し、食事配送などの「支援のきっかけ」作りを通じてハードルを下げ、アウトリーチ型の働き掛けを推進する。
家族間のコミュニケーション支援:
介護や障害福祉の計画策定時にヤングケアラー本人の意向も把握するよう努め、家族で意向を確認し合える環境を整える。
外国ルーツ家庭への対応:
多言語での情報発信や翻訳対応を促進し、日常生活や進路に関する情報を得やすくする。
3. 具体的な支援策の充実
ヤングケアラー自身の生活、学習、将来を守るための直接的なサポートを強化する。
ケア対象者へのサービス充実:
ヘルパー事業の充実やサービス量の見直しにより、家族が担うケアそのものの負担を軽減する。
情報提供と心理的ケア:
ヤングケアラー自身が利用できる資源の情報を強化する。 家族の病気や障害について理解を深めるための個別説明の機会を設ける。 ピアサポート(当事者同士の交流)や、精神保健相談を利用しやすい環境を作る。
学習・体験・就労支援:
民間企業の参画も得ながら、学習支援や多様な体験機会を提供する。 ハローワーク等と連携し、個別の状況に応じた就労支援や、柔軟な就労機会の提供を促進する。
4. 若者世代(18歳以上)への切れ目ない支援
高校卒業後などに支援が途切れる「18歳の壁」への対策を講じる。
実態把握と窓口の明確化:
18歳以上のヤングケアラーの支援ニーズを把握し、担当部署の設置状況を公表する。
進学・就学継続の支援:
奨学金等の経済的支援の情報提供や、学校と「子ども・若者総合相談センター」との連携を深め、進学を機に支援が途切れないようにする。
5. 社会的認知度の向上と意見反映
社会全体の理解を深め、当事者の声を施策に活かす。
国民向けの啓発:
児童・生徒を含む一般国民に対し、広報物等を通じてヤングケアラーへの理解を広める。
専門職の研修充実:
福祉や教育分野の職員研修にヤングケアラー支援のカリキュラムを組み込む。
当事者の意見聴取:
ケアから離れた元ヤングケアラーも含め、多様な状況にある当事者の意見を聴く機会を設け、施策に反映させる。
