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ファイナンシャルプランナー太田差惠子の「お金のチカラ」

介護でもうけちゃいけないの?

 先日、出会った女性は、実家の母親がコムスンの訪問介護サービスを利用していると言っていました。「サービスはしっかり継続されるかな…」と不安を訴えます。
 さらに、彼女は母親のために、施設探しを始めたところなのですが、「どう選べばいいのか分からなくなった」といいます。選ぶ際、安心感の目安のひとつに「大手企業の経営」をと考える人は彼女ばかりではないでしょう。
 社会全体に、こういう不安の種をばらまいた経営責任は重く、「退場」は当然だと思います。

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 と、腹立ちながら、別の意味でも、少々疑問に思うことがあります。
 テレビ番組で識者がこんなコメントをしていました。
 「介護をしようという者が、六本木ヒルズに入ろうなんて、そもそもおかしいんだ」
 確かにそうなのでしょう。介護保険がらみのビジネスで六本木ヒルズに入居できるほどの利益を得られない、ということは業界の常識のようです。
 しかし、次の言葉がいただけません。識者は続けました。
 「介護をしようと思うなら、町のアパートの一室でできる」
 そうなの…? コレとソレは違う話じゃ?

 介護とか福祉は、「気持ち」でするもの。
 もうけるものではない。
 肝心なのは、器ではなく理念。
 確かに、そう思います。

 けれども、なにかおかしい。
 介護とは、人生の最終ステージを見まもり、ケアするとても大切で、大変な職業です。
 気持ちだけでできるものでしょうか。
 なぜ、アパートの一室と決めつけるのでしょう。
 「アパートの一室」が悪いとはまったく思いませんが、その識者の言動の裏には、「介護は気持ちでするものだから、お金にならないのは当然」という意味合いを強く感じました。

 介護の現場では、安い賃金で、きめ細やかな仕事をしてくれている人が大勢います。
 家族の愛による介護をあてにした次は、介護を職業に選ぶ人の愛をあてにする気でしょうか。
 そろそろ、介護を職業とする人の適正報酬とは?を考えるべき時期にきていると思います。
 重要な仕事だからこそ、その専門性を社会で評価し、後押ししていかなければならないのに。

 きれいごとで「介護」を語る風潮に、しゃくぜんとしないのは、わたしだけでしょうか。

 「田園調布」「別荘」「高級外車」などの話題がひと段落してきたら、こんどは「争奪戦」の話題がクローズアップ。
 コムスンのことは、介護の仕組みを根本から考えるきっかけにする必要があるのではと思うのですが…。


コメント


私はコムスンの事件以来、本当に不安を感じています。
コムスンで働いている人みんなが悪いなんて思いませんし、社員はある意味被害者なんだろうな、と思います。
でも、将来,介護が必要になったときに、しっかりした介護サービスの会社を選べるかどうか、私には自信が無いです。
どこかの業者がコムスンを買い取ったからもうお終い、ではなく、しっかり検証して欲しいと思っています。


投稿者: ふつつか息子 | 2007年06月24日 20:19

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
太田差惠子
(おおた さえこ)
AFP(日本FP協会会員)、介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ(離れて暮らす親のケアを考える会)理事長。高齢化社会においての「暮らし」と「高齢者支援」の2つの視点からの新しい切り口で新聞・雑誌などでコラム執筆、講演活動等を行う。2007年6月に『故郷の親が老いたとき―46の遠距離介護ストーリー』(中央法規出版)を上梓。
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