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長谷川和夫先生に聞こう! 認知症のエトセトラ 2007年10月

物語りとの出遭い-ある女の子の物語り

 日常のありふれた生活のなかで私たちはいろいろな出遭いをもちますが、今日は「物語り」との出遭いをとりあげました。
 
 足もとのおぼつかない幼い子(1才半位)が公園を歩いていました。ところが何かのはずみで転んで泣き出しました。するとそこに4才位の女の子が駆け寄ってきました。助け起こすのかなと思ったら、女の子は倒れている小さい子の傍に自分も腹ばいになり、幼い子を見てにっこり笑いかけました。泣いていた子もつられて泣きやみ、にっこりしました。女の子が『起きようね』と言うと小さい子も『うん』と言って一緒に立ちあがり、手をつないで歩いてきました。

 このエピソードは、かつて私が奉職していた聖マリアンナ医大の同僚、O教授がある出版物のコラムに執筆した物語りです。O教授は形成外科が専門で、幼少児の先天性にみられる口蓋や耳朶の形態学的な障がいを治療する医師でした。障がいをもった子どもや両親の苦悩をよく理解し、治療をしていました。



もうひとつの出遭い-言葉をこえるふれ合い

 1956年8月末、私は機会があってアメリカに2か月留学することになりました。27歳でした。
 留学先の病院は、聖エリザベス病院という7500床のマンモス病院で、ワシントン市のコングレスハイツという丘陵にあり、ポトマック川を見下ろす場所にありました。私はそこで精神科のレジデント(研修医)になったのです。
 この大病院のキャンパスには、15ぐらいの病院施設が散在し、私は500床の施設を担当することになりました。毎日それぞれ50床の10病棟を回診します。
 当時の院長、オーバー・ホルザー教授からは「患者さんについては、患者さんから学びなさい」と教えられました。精神科医は患者さんとの面接が一番大切です。心の苦しみをもつ方を診断し、適切な治療をすすめてゆくことになるからです。
 しかし、私には「英語が不自由」というハンデイがありました。言葉の壁と闘いながらの毎日でした。1日の診療業務がおわって自室にもどると、もう疲れきってベッドに倒れこむ状態でした。



「私の体験した出遭い」

 ひと雨ごとに秋が深まり、衣を重ねる季節になりました。来し方をふと顧みることのある時でもあります。
 生きてゆくことは、しばしば旅にたとえられます。その中で私たちは運命的ともいえる人とめぐりあいます。私自身、過去を振り返ってみても実に多くの人々との出遭いがありました。私にとっても一つの岐路となった出遭いについて述べさせてください。



「医師とうまくコミュニケーションをとるには」

 受診時に、医師とうまくコミュニケーションがとるには、どのようにしたらいいですか? とよく質問をうけます。そこで今回は、私が医師として診察している立場から気がついたことを述べてみましょう。

 病気の診察は、医師と患者さんとの協同作業ともいえます。何といっても信頼関係が大切です。患者さんは、何となく医師に畏怖感をもって萎縮してしまいますが、はじめに「こんにちは」と言葉を交わし自己紹介をして、来診の目的をお話ししてみて下さい。



「キリンさんとただいま」

 先週末から急に寒くなりましたが、皆さま風邪などひかれていないでしょうか。
 さて、今回は私の孫のことについて話したいと思います。

 私の近所に3人の幼少児を育てている次女夫婦が住んでいます。一番年下の孫の奏(ソウ)ちゃん(男の子)は、なかなか面白いエピソードを次々に発信してきます。
 たとえば、ある時の保育園の先生との会話です。

 「奏ちゃんのお家では、猫か犬を飼っていますか?」
 「飼ってない」
 「飼いたいですか?」
 「うん」
 「何を飼いたいですか?」
 「キリンさん」
 「えーっ、どうしてキリンさんなの?」
 「キリンさんだったら僕がお家に帰ってきた時に、首をニューッと出して『おかえり』といってくれるから」



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プロフィール
長谷川和夫
(はせがわ かずお)
認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授。専門は老年精神医学・認知症。1974年に「桜、猫、電車……」の長谷川式認知症スケール(HDS-R)を開発者して以来、常に認知症医療界の第一人者として時代を牽引してきた。最近では、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者でもある。『認知症の知りたいことガイドブック』(中央法規出版)、『認知症を正しく理解するために』(マイライフ社)、『認知症診療のこれまでとこれから』(永井書店)など著書多数。
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