障害福祉サービス等の基本指針・意思決定支援ガイドラインの改正等について

2026/07/29

第157回障害者部会における報告・議論について紹介します。

 令和8年7月10日に、「第157回社会保障審議会障害者部会」が開催されました。当日は、「障害保健福祉施策の動向について」という議事の下、いくつかの報告・議論がなされています。本記事では、そのうち、基本指針の改正、意思決定支援ガイドライン(第2版)案について、ピックアップして紹介します。

 


1.社会福祉法等の一部を改正する法律を踏まえた基本指針の改正について

 令和8年法律第51号「社会福祉法等の一部を改正する法律」においては、質の高い福祉サービスの確保と社会福祉事業等の安定した経営基盤の確立の双方の実現に向け、所要の改正が行われました。
 改正概要のうち、「福祉人材の安定的な確保及び定着支援」については、福祉人材確保のための協議会、介護現場における生産性向上等の推進が図られています。介護の担い手となる生産年齢人口の減少が進むなか、必要な介護サービスを安定して受けられるようにするためには、介護人材の確保が喫緊の課題です。職員の業務負担の軽減を図り、業務の改善や効率化によって創出した時間を直接的な介護ケアに充てるとともに、職員への投資を充実させ、介護サービスの質の向上につなげるため、生産性向上の取組を一層推進していく必要があります。
 これらの取組の推進にあたっては、人材確保・定着や生産性向上等による職場環境の改善、経営改善支援等の取組に係る国及び都道府県の役割強化とともに、地域固有の課題について、関係者が各地域の実情等の情報を収集・共有・分析し、課題を認識したうえで、共同して実践的に課題解決に取り組むための仕組みが必要です。

 

 こうした一連の改正を踏まえ、障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針(基本指針)の改正について議論されました。改正の概要としては下記の内容が挙げられており、今回の部会で 改正案 も示されています。

 

○ 障害者総合支援法及び児童福祉法の改正を踏まえ、「人材確保、生産性向上及び経営基盤の確立等に係る取組事項」について、都道府県障害福祉計画及び都道府県障害児福祉計画の必須記載事項、市町村障害福祉計画及び市町村障害児福祉計画の任意記載事項として盛り込む。
○ そのほか、協議会が「支援協議会」と名称変更されたこと等を踏まえ、所要の改正を行う。
○ 施行期日: 令和9年4月1日


2. 障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン(第2版)案について

 障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドラインについては、平成29年3月に作成されてから9年以上が経過し、令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定でも意思決定支援の推進を指定基準に規定するなど、障害者の意思を尊重し、障害者の権利を保障するための支援が推進されてきました。
 今般、貧困・後見事務等の他分野で意思決定支援ガイドラインが発出されたこと、 国連障害者権利委員会による総括所見 (令和4年10月)において意思決定支援ガイドラインにおける「本人の最善の利益(the best interest of a person)」という言葉の使用に懸念が示されたこと、 第二期成年後見制度利用促進基本計画の中間検証報告書 (令和7年3月)において「意思決定支援ガイドラインについては(中略)見直しを検討する必要がある」とされたこと等を踏まえ、意思決定支援の構造を再整理する必要が生じました。
 このため、昨年度の「 障害者の意思決定支援・権利擁護のあり方に関する調査研究 」において、ガイドラインを改定するための検討が行われました。

 

第2版(案)のポイント

・「意思決定支援の主体」はあくまでも本人であり、本人主体の考え方を「理念・信条」として明示する
「本人の最善の利益」に関する記載を削除し、国連障害者権利委員会が提案する「意思と選好に基づく最善の解釈」との表現に基づき意思決定支援を再定義する
・支援が困難と想定されるケースについて、本文と分けてコラムで整理する
意思決定支援のプロセス(意思形成支援/意思表明支援/意思実現支援)を明確化する
・ICTツール(クラウド等の情報共有ツールなど)の活用による記録・情報共有の効率化を追記する
・視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者等、障害特性に応じて相互の意思疎通を円滑にするための環境調整も含めた合理的配慮、情報アクセシビリティに関する記載を追加する
・意思決定支援に関する具体例を追加し、別冊の事例集として整理する

 

なお、第2版(案)については、 本文 別冊 ともに参考資料として示されていますので、適宜ご参照ください。

 


3.その他の議論

 今回の障害者部会では、障害児・者の生活実態や課題を把握する「令和8年生活のしづらさなどに関する調査」の実施に関する議論や、データの利便性を高める「匿名障害福祉等関連情報・匿名障害児福祉等関連情報データベース(障害福祉 DB)の利用に関するガイドライン」の改正案についても併せて議論が行われました。これらの議題や部会全体について知りたい方は、「 社会保障審議会障害者部会(第157回)の資料について 」をご覧ください。
 また、今後の部会の開催予定は、 厚生労働省のホームページ をご確認ください。