「今後の障害児入所施設の在り方に関する検討会報告書」(素案)について~「こどもホーム」(仮称)の創設など~

2026/02/12

第5回「今後の障害児入所施設の在り方に関する検討会」で示された新たな報告書案について、注目すべきポイントを紹介します。


「施設」から「ホーム」へ。障害児入所施設の大きな転換点

 令和8年(2026年)1月、こども家庭庁において「 第5回 今後の障害児入所施設の在り方に関する検討会 」が開催され、より、障害児入所施設の在り方に関する新たな報告書案が示されました。
 今回の報告書案では、こどもたちがより家庭に近い環境で育ち、権利が守られるための画期的な改革案が盛り込まれました。


障害児入所施設の現状

 現在、障害児入所施設は、福祉型・医療型のいずれにおいても、虐待を理由に入所する割合が約4割(措置入所の場合)に達しており、障害特性への支援だけでなく、心理的なケアや家庭的な養育環境の整備が急務となっています。


改革の「7つの柱」と基本的視点

 報告書では、これからの障害児支援において重視すべき7つの保障を掲げています。

 

ウェルビーイングの保障:家庭的養育と家族支援の推進
権利の保障:永続的な家族関係(パーマネンシー)の保障と意見表明等支援の推進
発達の保障:障害特性に応じた合理的配慮と育ちの支援
専門性の保障:強度行動障害や医療的ケアなど、高いニーズへの対応強化と専門性の向上
質の保障:自己評価・第三者評価の導入と人材育成
包括的支援の保障:地域の多機関・多職種連携による切れ目ない包括的かつ継続的な支援
社会的養護との連携:里親や児童養護施設への後方支援の強化


注目トピックス

 今回の検討会報告書(素案)で示された改革案のうち、注目すべき今後の大きな方向性を整理します。

 

(1) 「こどもホーム(仮称)」の創設

 こどもが生まれ育った身近な地域で、少人数かつ家庭的な環境で生活できるよう、新たな事業形態として「こどもホーム(仮称)」の創設が検討されています。

 社会的養育が必要なこどもであっても、良好な家庭的環境を保障し、家族との関係維持を物理的な近さから支援します。

 また、ケアニーズの高い児童(医療的ケア児や強度行動障害児)にも対応できるよう、外部の訪問看護や通所事業所の利用が可能な仕組みや、専門職の配置、バックアップ体制を検討します。

 

 これにより、社会的養護が必要な状態にあっても、地域から離れずに家族との関係を維持しながら成長できる環境づくりを目指します。

 

(2) 親しみやすい名称への変更

 「障害児入所施設」という名称についても、「こどもまんなか社会」の実現を踏まえた名称案や検討の必要性が示されています。

 

  1. 福祉型施設については、こども自身が生活の場として親しみを持ち、家族も安心して共に育てる関係を築けるよう「こども発達支援ホーム(仮称)」 等の名称案が示されました。
  2. 医療型施設については、医療提供体制を有していることが、家族や外部の関係機関から理解しやすい名称を検討することとしています。

 

(3) パーマネンシー保障と権利の尊重

 一時的な滞在ではなく、”こどもが信頼できる大人とつながり、将来にわたって安定した人間関係(家族や特定の大人との絆)を築くこと”(パーマネンシー保障)が支援の根幹に据えられました。
 また、意見表明支援員のアドボケイト(代弁)制度などの活用を通じて、こどもが自分の意思を安心して伝えられる仕組みを強化します。

 

(4) 地域支援機能の強化(アウトリーチと多機能化)

 施設を「入所するだけの場所」ではなく、地域の障害児家庭を支える「地域支援の中核」として位置づけます。
 

  1. 地域支援体制の中核的役割:障害児入所施設が管内にある場合、市町村や児童発達支援センター等と連携し、包括的な支援体制の重要な一翼を担うことが求められています。
  2. 短期入所(レスパイト)の充実:家族の休息や、一時的なアセスメント(状態把握)のための短期入所(レスパイト)を充実させ、在宅生活を継続できるようサポートします。
  3. 施設の多機能化:相談支援、こどもの居場所づくり、家庭支援事業など、入所以外の多様な機能を備えた体制整備を視野に入れています。
  4. 医療的ケア児への支援:医療型施設は、地域で暮らす医療的ケア児やその家族への支援の中核となり、医療的ケア児支援センター等と連携することが期待されています。

 

(5) 社会的養護施策との連携(後方支援の強化)

 里親や児童養護施設などで暮らす障害児が増えている現状を受け、施策の垣根を越えた協力体制を構築します。

 

  1. 専門性の相互共有:障害児入所施設が持つ知見(強度行動障害や医療的ケアなど)と、社会的養護施策(里親、児童養護施設など)が持つ養育の知見を、研修や合同会議を通じて学び合います。
  2. 里親・ファミリーホーム支援:短期入所による休息提供や、緊急時の対応、里親支援センターとの連携により、里親が安心して障害児を育てられるよう支えます。
  3. 保育所等訪問支援の活用:障害児入所施設の専門スタッフが乳児院や児童養護施設を訪問し、環境調整や支援のアドバイスを行う役割を担います。
  4. スムーズな措置変更:児童相談所が主体となり、施設間での情報共有を事前に行うことで、こどもが安心感を持って生活の場を移行できる体制を整えます。

 


まとめ

 これからの施設は、単なる「保護の場」から、「こどもの最善の利益を最優先し、その育ちを地域全体で支える拠点」へと進化していくことが求められています。
 今回の改革案は、次期障害福祉サービス等報酬改定や、今後の児童福祉法改正の議論に反映される予定です。 最新の動向を注視していきましょう。