令和8年度障害福祉サービス報酬改定のポイント|障害者部会・障害児支援部会合同部会

2026/01/28

社会保障審議会障害者部会(第154回)こども家庭審議会障害児支援部会(第18回)合同部会について紹介

社会保障審議会障害者部会(第154回)
こども家庭審議会障害児支援部会(第18回)合同部会

 2026年1月19日(月)、 第154回社会保障審議会障害者部会・第18回こども家庭審議会障害児支援部会合同部会 が開催されました。 今回の合同部会では、令和8年度の報酬改定、次期「障害福祉計画・障害児福祉計画」に係る基本指針の見直しや2040年を見据えたサービス提供体制に向けた議論などが行われました。

 

令和8年度 障害福祉サービス等報酬改定(臨時改定)

 通常、障害福祉サービス等の報酬改定は3年に一度行われますが、昨今の物価高騰などを踏まえ、令和9年度の次期改定を待たずに、令和8年度に「期中改定」を実施する方針が示されました。

 

福祉・介護職員等の処遇改善

 福祉・介護職員だけでなく、障害福祉従事者を幅広く対象として、月額1万円相当(3.3%)の賃上げを実現する措置が講じられます。
 さらに、生産性向上や協働化に取り組む事業者の職員に対しては月額0.3万円の上乗せも行われ、定期昇給分を含めると 最大月額1.9万円(6.3%)の賃上げが見込まれています。

 

制度の持続可能性を確保するための見直し

 一方で、障害福祉サービス等の総費用額が急激に伸びている現状を踏まえ、制度の持続可能性を確保する観点から、一部のサービスについて適正化(引き締め)が行われる見通しです。


  • ● 就労移行支援体制加算の見直し
    同一利用者がA型事業所と一般就労の間で離転職を繰り返し、その都度加算を取得するといった不適切な事例への対応として、算定人数に上限を設けるなどの見直しが行われます。
  • ● 就労継続支援B型の基本報酬区分の見直し
    令和6年度報酬改定での平均工賃月額の算定式変更により、平均工賃が上昇し、上位の報酬区分を算定する事業所が増加しました。これに対応するため、基本報酬区分の基準額(平均工賃月額のライン)を引き上げる見直しが行われます。
    ※ただし、改定前後で区分が上がっていない事業所には適用しないなど、影響への配慮も検討されています。
  • ● 収支差率が高いサービスへの対応
    就労継続支援B型、共同生活援助(グループホーム)、児童発達支援、放課後等デイサービスについて、事業所数が急増し収支差率も高い状況にあることから、新規指定事業所に限り、応急的に基本報酬を引き下げる等の対応が検討されています。

2040年に向けたサービス提供体制の確保

 人口減少と高齢化がピークを迎える2040年を見据え、特にサービス提供が困難になりつつある中山間・人口減少地域等における対策が議論されました。

 

地域の実情に応じた特例的なサービスの創設

 中山間・人口減少地域において必要なサービスを維持するため、現行の基準該当サービスに加え、新たな特例的なサービス類型を設ける方向性が示されました。
 具体的には、自治体が必要な支援を行った上でもなお困難な場合に限り、ICTの活用や法人内の連携を前提として、管理職や専門職の常勤・専従要件を緩和することなどが検討されています。

 

訪問系サービスにおける包括的な報酬評価

 利用者のキャンセルや移動コストの負担が大きく経営が不安定になりがちな中山間地域の訪問系サービス(居宅介護等)について、安定的な経営を可能にするため、従来の出来高払いとは別に、月単位の定額払い(包括的な評価)を選択可能にする案が提示されました。


次期障害福祉計画・障害児福祉計画の基本指針

 令和9年度から始まる「第8期障害福祉計画」および「第4期障害児福祉計画」の策定に向けた基本指針の改正案が示されました。主なポイントは以下の通りです。

 
  • ● 就労選択支援の推進
    令和7年10月に創設された「就労選択支援」の普及に向け、圏域ごとの事業所設置や利用者数の目標が新たに設定されます。
  • ● インクルージョン(包容)の推進
    障害児支援において、保育所や学校等との連携を強化し、地域社会への参加・包容(インクルージョン)を進めるための協議の場を設置することが目標に加わります。
  • ● 相談支援体制の強化
    相談支援専門員が不足する地域において、本人の意向に沿わない「セルフプラン」が作成されることのないよう、令和11年度末までに「のぞまないセルフプラン」をゼロにすることを目指します。
  • ● 生産性向上・人材確保
    都道府県に人材確保や生産性向上に関する「ワンストップ窓口」を設置することなどが新たに盛り込まれました。

その他(高次脳機能障害者支援法、成年後見制度など)

 これらのほか、高次脳機能障害者支援法や成年後見制度に関する報告もされました。

 

高次脳機能障害者支援法の成立

 令和7年12月に公布された「高次脳機能障害者支援法」が、令和8年4月1日から施行されることが報告されました。 これにより、都道府県に「高次脳機能障害者支援センター」が設置され、専門的な相談支援やリハビリテーション医療機関の確保、地域協議会の設置などが進められることになります。

 

成年後見制度の見直し

 法制審議会において、民法の成年後見制度の抜本的な見直しに向けた議論が進んでいることが報告されました。 現在の「後見」「保佐」「補助」の3類型を廃止し、本人の能力や必要とする支援内容に応じて柔軟に対応できる「補助」の制度に一元化する案が示されています。これに伴い、障害者総合支援法などの関連法令においても、「成年後見人」等の規定の見直しが行われる予定です。

 

まとめ

 この合同部会では、基本指針の見直しや令和8年度の報酬改定など幅広く議論が行われました。
 これらの議論を踏まえて詳細な要件や単価が決定される予定のため、今後の動向に注目が集まっています。