第32回社会保障審議会福祉部会

2025/12/24

第32回社会保障審議会福祉部会について紹介します。

2025年12月15日(月)、 第32回社会保障審議会福祉部会 が開催されました。
福祉部会で審議された内容を取りまとめた報告書(案)が示されました。


報告書(案)の主なポイント

 2040年に向け、人口減少・単身世帯の増加などの社会情勢の変化や、多様化・複雑化する福祉ニーズ、人口構造や世帯構成の変化スピードの地域差、地域における支え合い機能の脆弱化といった課題に対応するため、全ての市町村で、包括的な支援体制の整備を強力に推進していく必要があります。
 本報告書(案)では、これまでの議論を踏まえ、地域共生社会のさらなる実現・深化に向けた社会福祉制度のあり方について整理されました。それぞれの課題における対応方針の概要は以下の通りです。


1 地域共生社会の更なる展開について

(1) 包括的な支援体制の整備
 全ての市町村で包括的な支援体制の整備を推進するため、市町村および都道府県の役割を明確化する必要があります。また、重層的支援体制整備事業の質の向上に向けた事業評価の導入等の対応が求められます。


(2) 過疎地域等における新たな仕組み
 担い手不足が深刻化する過疎地域等では、介護・障害・こども・生活困窮の相談支援・地域づくり事業について、分野横断的な配置基準に柔軟化し、地域と福祉支援体制の連携・協働を促進する仕組みを創設することが必要です。


(3) 理念の再整理・連携強化
 地域共生社会の実現に向け、行政には地域住民の支え合いの関係づくりを支援する責務・役割があることを明確化し、包括的な支援体制の整備において「防災」分野との連携を法的に加える必要があります。


2 頼れる身寄りがいない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応

(1) 新たな第二種社会福祉事業の創設
 「日常生活支援」、「円滑な入院等の手続支援」、「死後事務の支援」を行う事業を第二種社会福祉事業に位置づけ、社会福祉協議会や社会福祉法人等の多様な主体による実施を可能とします。


(2) 中核機関の位置付け等
 権利擁護支援に係る市町村の業務を整理・明確化し、その業務を実施する機関として、地域における中核機関を社会福祉法上に位置づける必要があります。


3 社会福祉法人制度・社会福祉連携推進法人制度の在り方

(1) 社会福祉連携推進法人制度の見直し
 事務負担の軽減を図るとともに、一定の要件を満たした場合に、第二種社会福祉事業等を行うことを可能とします。


(2) 既存施設の土地・建物等の有効活用
 中山間・人口減少地域で必要な福祉サービスを維持するため、一定の要件を満たす場合に、社会福祉連携推進法人が社員社会福祉法人の土地・建物等の貸付に関する支援業務を行うことができるようにします 。また、社会福祉法人が解散する際、社会福祉事業を現に行っていない地方公共団体でも、地域に不可欠な社会福祉事業の維持のために活用する場合には、残余財産の帰属を受けられるようにします。


4 災害に備えた福祉的支援体制について

・DWAT(災害派遣福祉チーム)の法制度化
 災害時の福祉的支援を安定的かつ円滑に行うため、DWATについての法制度を整備し、福祉従事者の登録制度や研修・訓練の実施に関する規定を設けることが必要です。


5 共同募金事業の在り方について

(1) 寄附募集禁止規定の撤廃
 共同募金の配分を受けた者に対する寄附募集の制限を撤廃します。


(2) 準備金の使途拡大
 準備金について、公的制度では対応困難な社会課題への取組や地域のモデル的な取組など、一定規模の継続事業に対しても取り崩しができるよう、使途を拡大することが必要です。


6 介護人材の確保・育成・定着について

(1) 地域ごとのプラットフォームの制度化
 都道府県が主体となって、介護人材確保に関する地域の関係者が協働して課題解決に取り組むためのプラットフォームを制度化することが必要です。


(2) 中核的介護人材の確保・育成
 潜在介護福祉士だけでなく、現任の介護福祉士にも届出の努力義務を課すことで、地域の介護人材の実態把握や必要なキャリア支援を行う仕組みに発展させます。


(3) 国家試験義務付けの経過措置
 令和8年度卒業者までの介護福祉士養成施設卒業者に対する国家試験義務付けの経過措置のあり方について、資格の信頼性・質の担保・専門性の向上、入学者の確保・人材確保の観点など、種々の意見を踏まえて必要な対応を講じる必要があります。


(4) 処遇改善の重要性
 人材確保の観点からは、福祉・介護分野の処遇改善や専門性を評価することが重要であり、関係審議会等で議論を進めることが求められています 。


まとめ

 報告書(案)については委員から一部修文の提案がありましたが、部会長に一任することで了承されました。
 また、社会援護局長は地域共生社会の取組の重要性について触れ、報告書の内容をもとに制度改正に向けた準備を行い、誰も取り残されることなく地域で支え合う社会を目指す“地域共生社会のさらなる深化”に取り組んでいく旨を表明しました。


 ※取りまとめられた報告書は、12月18日に 厚生労働省ホームページ で公表されました。