第130回社会保障審議会介護保険部会
2025/12/10
2025年12月1日(月)、第130回社会保障審議会介護保険部会が開催されました。
社会保障審議会介護保険部会とは
社会保障審議会介護保険部会とは、厚生労働省の社会保障審議会に置かれている部会の一つです。介護保険制度の運営や改正に向けた議論、中長期的な視点に立った制度の在り方について、有識者や関係団体を交えて検討を行います。
第130回社会保障審議会介護保険部会
では、制度の持続可能性の確保に向けた「給付と負担」の見直しや、2040年を見据えたサービス提供体制の構築について、具体的な方向性が検討されました。
持続可能性の確保(給付と負担の見直し)
今回の議論の焦点となったのが、利用者の負担増を含む制度の見直しです。主に以下の3点について、厚生労働省から具体的な提案がなされました。
1.「一定以上所得」の判断基準の見直し
現在、介護保険サービスの利用者負担は原則1割ですが、所得に応じて2割または3割負担となっています。今回、2割負担の対象となる「一定以上所得」の範囲を拡大する方向性が示されました。
なお、急激な負担増を避けるための配慮措置として、以下の案が提示されています。
- ・ 負担上限額の設定:当分の間、負担増額を月額7,000円に抑える。
- ・ 金融資産の勘案:新たに2割負担の対象となる所得層であっても、預貯金額が一定額以下であれば、申請により1割負担とする。
出典:厚生労働省「第130回社会保障審議会介護保険部会」(資料1「持続可能性の確保」)P.8
2.ケアマネジメントに関する給付の在り方
現状、10割給付となっている(利用者の自己負担がない)居宅介護支援(ケアマネジメント)について、他のサービスとの公平性や専門性の評価の観点から、利用者負担を導入する方針が示されました。
同時に、住居型有料老人ホームの居住者に対して、施設サービスと同様にケアマネジメント費用の自己負担を求める案も示されています。
3.補足給付の見直し
施設入所者等の食費・居住費を補助する「補足給付」についても、能力に応じた負担を求める観点から、所得段階の区分を細分化し、負担能力のある層には一定の負担増を求める案が示されました。
2040年に向けたサービス提供体制の構築
高齢者人口がピークを迎える2040年に向けて、地域の実情に応じたサービス提供体制の確保についても議論されました。
1.地域の類型を踏まえた対応
人口減少が進む「中山間地域」と、高齢者が急増する「都市部」など、地域ごとの特性に応じた対策が必要です。特に中山間・人口減少地域においては、人材確保が困難な状況を踏まえ、ICTの活用等を前提とした人員配置基準の緩和や、サービス提供回数によらない包括的な報酬体系(月額定額払い等)の選択制導入などが検討されています。
2.有料老人ホームの運営の透明性確保
中重度の要介護者を受け入れる有料老人ホームについて、入居者の安全確保やサービスの質を担保するため、現行の届出制に加え、新たに「登録制(事前規制)」を導入する方向性が示されました。
また、過剰なサービス提供(いわゆる囲い込み)を防ぐため、ケアマネジメントの独立性確保や契約プロセスの透明化についても議論されました。
主な意見
委員からは、制度の持続可能性を維持するための「応能負担」に理解を示す声がある一方で、物価高騰下での負担増に対する意見や、実務が過多にならないような整備の必要性などが指摘されました。
- ・ 負担増への懸念:「物価高騰など生活が厳しい状況下で利用者負担を拡大することについて、慎重に議論すべき」「ケアマネジメントに利用者負担を導入することで、必要な支援につながりにくくなる(利用控え)懸念がある」
- ・ 事務負担の増大:「預貯金を勘案して負担割合を判定する仕組みについて、自己申告ベースで、正確な把握が可能か」「自治体やケアマネジャーの事務負担が過重になる」「マイナンバー等の活用による効率化を進める必要がある」
- ・ 有料老人ホームの規制:「不適切な事業者の是正は必要としつつも、新たな基準を設けることで、有料老人ホームの自由度が失われる」「既存の優良な事業所への影響を考慮すべき」
まとめ
今回の介護保険部会では、介護保険サービスの利用者負担の拡大やケアマネジメントの有料化など、国民生活に直結する重要な論点について具体的な提案がなされました。
制度の持続可能性と、利用者が安心してサービスを受けられる環境の両立をどう図るか。
特に、新たな仕組みの導入に伴う事務負担や、負担増による利用控えへの懸念に対し、どのような対策が講じられるかが今後の焦点となります。引き続き、年末の取りまとめに向けた議論が注目されています。

