第28回社会保障審議会福祉部会

2025/08/27

令和7年8月18日(月)に、 社会保障審議会福祉部会(第28回) が開催されました。


2つの検討会からの報告

 福祉部会では、「地域共生社会の在り方検討会議」が5月にまとめた中間報告と、7月に公表された「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会のとりまとめ(「2040 年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」)の報告が行われました。
 ともに、2040年を見据えた地域福祉政策の針路を示したものであり、前者は「誰も取り残されない地域共生社会」の実現に向け、理念の再整理から具体的な支援スキームまでを網羅しており、後者は、人口動態の激変をにらみ、介護・障害福祉・保育の3分野を横断して持続可能なサービス提供体制を描き出しています。
 両報告は、「地域連携」と「包括的支援体制」をキーワードに、相互に呼応するものとなっています。

 

「地域共生社会の在り方検討会議」中間報告

 地域共生社会の中間報告は、まず理念面で「支え手」と「受け手」を分けない新たなまちづくりを強調しています。社会福祉法改正で努力義務化された包括的支援体制のさらなる深化をはかるため、行政の責務を明確化し、多機関協働を制度上位置付けるべきだと提言するものとなっています。 
 実務面では「身寄りのない高齢者等」への対応を大きく取り上げ、相談窓口の整備、日常生活自立支援事業の拡充、地域ネットワーク構築など具体策を列挙しています。成年後見制度改正に伴う司法と福祉の連携強化、中核機関の新たな役割設定も盛り込まれています。さらに、社会福祉法人・社会福祉連携推進法人には「地域の担い手」として経営協働化、大規模化、バックオフィス集約などによる地域貢献を要請しています。
 災害時の被災者支援に関しても、平時の地域支援体制と一体的に整備するよう提言しています。 
 報告の締めくくりでは、2040年に向けて「地縁・血縁・社縁の弱体化」が加速するとの見通しを示し、住民主体の新たな“つながり”づくりを提唱し、あらゆる市町村が独自の発想で包括的支援を構築するよう呼びかけています。 

 

「2040 年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」

 一方、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会のとりまとめは、介護需要の地域差と時間的変化を可視化し、「中山間・人口減少地域」「大都市部」「一般市等」の3類型を設定しています。
 それぞれに応じた処方箋を示しており、中山間地では配置基準の弾力化や訪問・通所の柔軟な連携、市町村事業によるサービス供給などで維持を図る、都市部ではICT・AIをフル活用した24時間対応型サービスの基盤整備を進める、一般市では既存資源を有効活用し過不足のない提供体制をめざすといったことが示されています。 
 横断課題としては、人材確保・定着に向けた都道府県プラットフォーム機能の充実、テクノロジー導入による生産性向上、法人経営支援と社会福祉連携推進法人の活用、既存施設の柔軟転用に向けた財産処分規制の緩和が掲げられています。これらは、介護分野のみならず、障害福祉や保育にも横展開し、福祉サービス共通の課題として取り組むべきだものだとしています。 
 また、地域包括ケアを深化させるため、医療介護連携の強化、介護予防・健康づくり・認知症ケアの一体的推進を提示しました。介護予防日常生活支援総合事業の充実や専門職の適切な関与、「通いの場」の活性化なども具体項目として盛り込まれています。 


両報告を踏まえ

 両報告を貫くのは「連携」と「住民主体」の精神です。地域レベルでは、行政と事業者が情報を共有し、福祉・医療・教育・まちづくり各分野が横串で課題解決にあたる体制を求めており、国レベルでは、福祉部会、介護保険部会など関係審議会で議論を深め、必要な制度改正や財政措置を講ずるとしています。
 なお、運用で対応可能な事項は即応し、特に中山間地のサービス維持については次期制度改正を待たずに手を打つよう促しています。
 2040年へ向けた社会保障政策は、人口減少と超高齢化という“二重の波”の下で待ったなしの状況にあります。今回の2つの報告は、制度改正や財源手当てだけでなく、地域住民が互いに支え合う文化を醸成し、ローカルイノベーションを誘発するプラットフォームづくりを提案するものとなっています。
 福祉は「サービスを受ける場」ではなく、「地域を支える産業」であり、「暮らしを共に創る営み」となってきています。その認識を共有し、自治体・事業者・住民が新たなパートナーシップを築けるかが、今後を左右するカギとなってくるでしょう。


関係者ヒアリングと今後のスケジュール

 本部会では、両報告がなされた後、「身寄りのない高齢者等への支援に係る関係者ヒアリング」が実施されています。
 報告においても課題として挙げられている「身寄りのない高齢者等への支援」に関して、モデル事業の取組状況や現在検討中の新たな事業に関する意見などについて、出席した各参考人からの説明と質疑応答が行われています。
 そして、福祉人材確保専門委員会、地域共生社会の在り方検討会議、「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会のスケジュールと併せ、福祉部会の今後のスケジュール(見込み)が示されています。
 秋頃に予定されている福祉人材確保専門委員会のとりまとめの報告も含み、福祉部会のとりまとめに向けた議論が進んでいくことになります。