【コミュニケーション技術】指示出し上手な人が意識していること
2025/07/15

どうすれば指示が伝わるのかをマンガで解説
三好貴之(みよし・たかゆき)
伝え方コンサルタント/作業療法士
経営学修士
※ 本記事は、『マンガでわかる 介護リーダーの伝え方』の第4章を再構成したものです。
指示出し~スタッフに納得して動いてもらう方法~
指示があいまいだと「すれ違い」が起きる
リーダーが意図した指示とスタッフの解釈が食い違うと、スタッフは「せっかく考えて行動したのに否定される」という状況になり、やる気をなくしてしまいがちです。
そんな不幸なすれ違いを防ぐには、してほしいことを明確に示さなければなりません。
ポイントは、「○○のために、△△してほしい」を2回繰り返すこと
してほしいことを明確に示すためには、「○○のために、△△してほしい」というフレーズが役に立ちます。
このとき、「△△してほしい」には、できるだけ具体的な行動を当てはめましょう。
難しいのは、「研修を実施してほしい」「満足度調査をしてほしい」など、もう一段階かみ砕くことができる行動も違和感なく当てはまってしまうこと。
そこでおすすめなのが、「『○○のために、△△してほしい』を2回繰り返す」という手法です。
たとえば、入浴介助を効率化したいときの指示であれば、
1回目「入浴介助の効率化を図るために、マニュアルを見直してほしい」
2回目「マニュアルを見直すために、ミーティングを開いてほしい」
というプロセスを辿ることとなります。
このように2回繰り返すことで、「ミーティングを開いてほしい」という具体的な行動レベルの指示を導き出せます。
その他の例もお示しすると、次のとおりです。
<接遇を良くしたいとき>
1回目「接遇を良くするために、研修を実施してほしい」
2回目「研修を開催するために、研修内容を考えてほしい」
<利用者満足度を上げたいとき>
1回目「利用者満足度を上げるために、満足度調査をしてほしい」
2回目「満足度調査をするために、調査項目をつくってほしい」
これにより、スタッフは「自分はどう動けばよいのか」がわかります。
しかしそれでも、リーダーの意図とスタッフの受け止めに違いが出る場合があります。
それを避けるためには、自分でその指示を行動としてイメージできるかを確認することが有用です。
イメージできないようであれば、「○○のために、△△してほしい」をもう少し繰り返してみましょう。
その他のちょっとしたコツ
❶なぜ、今その人に指示を出しているかの理由を伝える
相手に納得して指示を実践してもらうためには、「なぜ、今、あなたに頼むのか」を、指示と一緒にきちんと伝えることが大切です。
そうすることで、「押しつけられた」という気持ちを抱かせずにすみます。
❷「わかった?」ではなく「できそう?」と聞く
「やり方がわかる」のと「実際にできる」のは、まったくの別物です。
例えるなら、スケートボードの乗り方を知っていても、乗れるかどうかは別ということ。
指示によって体を動かすためには、その動きがイメージでき、かつ、自分が「できる」という確信が必要です。
失敗しそうなことに積極的に取り組む人はめったにいません。
そのため、指示を出した後は、「できそうですか?」と確認するようにしましょう。
❸失敗を防ぐためのポイントを一緒に伝える
人は、成功よりも失敗を恐れて行動をためらうことが多いもの。
指示とあわせて「どうすれば失敗しないか」を具体的に伝えると、スタッフの不安が軽減され、実行に移しやすくなります。
伝え方を例示すると、次のとおりです。
例1
「Aさんの車いす移乗をお願いします」
→「Aさんの車いす移乗をお願いします。Aさんは立ち上がりのときにふらつくことがあるから注意しておいてください」
例2
「Bさんを相談室に連れて行ってください」
→「Bさんを相談室に連れて行ってください。Bさんは耳が遠いので、少し近くで声をかけてください」
例3
「Cさんの食事介助をお願いします」
→「Cさんの食事介助をお願いします。Cさんは脳梗塞の影響で左側が見えにくいので、右から介助をしてください」
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指示を出すときには、以上のことを意識してみてください。