気になる子に「ダメでしょ」が伝わらない理由と言葉かけのコツ!具体的な言い換え例③
2026/02/20
指示が通らないのは「伝え方」に理由があるかも?発達が気になる子へ「伝わる」具体的な変換例を紹介します。
監修者・著者プロフィール
守 巧(もり・たくみ)
聖学院大学大学院人間福祉学研究科修士課程修了。東京都内で幼稚園教諭として10年間勤務。現在は、こども教育宝仙大学こども教育学部幼児教育学科教授。特別支援教育士、狭山市就学支援委員会委員・巡回相談員、公益財団法人幼少年教育研究所。主な著書に『気になる子とともに育つクラス運営・保育のポイント』『マンガでわかる気になる子の保育』(ともに中央法規出版)など多数。
「自分がされたら嫌でしょ」が伝わらないのはなぜ?
トラブルの際によく使われる「自分がされたらどう思う?」「自分がされたら嫌だよね」という問いかけ。しかし、発達が気になる子の中には、他者の視点に立って想像することが苦手な「心の理論」の未発達が見られる子がいます。
彼らにとって、他人の痛みを自分のこととして想像するのは非常に高度な認知作業です。そのため、この問いかけをしても「え、僕はされてないからわからない」といった反応が返ってくることも少なくありません。
「叩く」行動の裏にある「言いたかった言葉」
・貸してほしかった
・場所を移動してほしかった
・仲間に入れてほしかった
・自分のルール(こだわり)を乱された
彼らは、自分の感情を適切な言葉で表現するスキルがまだ未熟なため、言葉の代わりに「手」が出てしまうのです。
感情を「代弁」する言葉かけのステップ
責めるのではなく「気持ちを言葉に置き換える」支援をしましょう。
ステップ1:まずは落ち着ける場所へ移動する
興奮状態では何を言っても届きません。まずは安全を確保し、本人が落ち着くまで待ちます。
ステップ2:気持ちを代弁する
・OK:「ブロック、使いたかったんだよね」「壊されて悲しかったんだね」
保育者が気持ちを代弁することで、子どもは「先生はわかってくれた」という安心感を得ます。
ステップ3:正しいやり方(スクリプト)を教える
・OK:「次は叩かないで、『貸して』って言ってみようか。一緒に言ってみる?」
「叩くのはダメ」で終わるのではなく、「どう言えばよかったのか」という代わりの行動をセットで教えることが、再発防止の近道です。
クラス全体のルールとして「言われて嬉しい言葉」を共有
個別の対応だけでなく、クラス全体で「ふわふわ言葉(嬉しい言葉)」と「ちくちく言葉(嫌な言葉)」について話し合う機会を持つことも有効です。
気になる子一人を指導の対象にするのではなく、クラスみんなで「どう言えば気持ちが伝わるか」を考えていく環境が、どの子にとっても過ごしやすいクラス環境を作りましょう。
もっと詳しく知りたい方はこちら
気になる子の保育に求められる言葉かけを、「伝わる言葉」と「伝わらない言葉」の対比で具体的に学ぶ一冊。気になる子やその親、クラスの子、職員に対してなど約30の例を収載。伝わる(伝わらない)理由を理解することで、必要な配慮とコミュニケーション法が身につく。
