気になる子に「ちゃんと」「片づけて」が伝わらない理由と言葉かけのコツ!具体的な言い換え例②
2026/02/20
指示が通らないのは「伝え方」に理由があるかも?発達が気になる子へ「伝わる」具体的な変換例を紹介します。
監修者・著者プロフィール
守 巧(もり・たくみ)
聖学院大学大学院人間福祉学研究科修士課程修了。東京都内で幼稚園教諭として10年間勤務。現在は、こども教育宝仙大学こども教育学部幼児教育学科教授。特別支援教育士、狭山市就学支援委員会委員・巡回相談員、公益財団法人幼少年教育研究所。主な著書に『気になる子とともに育つクラス運営・保育のポイント』『マンガでわかる気になる子の保育』(ともに中央法規出版)など多数。
なぜ「お片付け」の声かけで動けなくなるのか
保育園の活動の切り替え時、何度「お片付けですよ」と声をかけても、なかなか手が動かない子や、遊びを止められない子がいます。「困った子だな」と感じてしまうこともあるかもしれませんが、実は子ども本人も「どうすればいいかわからない」と困っているケースが多いのです。
発達障害の特性(自閉スペクトラム症など)がある子にとって、抽象的な「片付け」という指示は、非常にハードルが高い作業です。
動きを止めてしまう「3つの不安」
1.見通しの不安:いつまで遊べるのか、次に何があるのかがわからない。
2.方法の不安:具体的にどの玩具を、どこにしまえばいいのかわからない。
3.中断への抵抗:集中して取り組んでいることを途中で遮られる苦痛。
納得感を生む「根拠」を添えた言葉かけ
子ども本人に納得してもらうための「理由の提示」を重視しましょう。
・NG: 「もうおしまい!片付けなさい」
・OK: 「長い針が『6』になったら、お給食の時間だから片付けましょう」
「おしまい」という強制ではなく、「時計の針が○になったら」という客観的な数字や、「給食だから」という活動の目的(理由)を添えることで、子どもは「今はやめる時なんだ」と納得しやすくなります。
「どこに・何を」を具体的に示す
「ちゃんと片付けて」という言葉も、気になる子には伝わりにくい表現です。
・NG: 「きれいに片付けてね」
・OK: 「この赤いブロックは、赤いシールが貼ってある箱に入れましょう」
視覚的な情報をセットにすることがポイントです。おもちゃ箱に中身の写真を貼るなどの工夫(構造化)をすることで、言葉での指示が最小限で済むようになります。
遊びの「続き」を保証する配慮
制作途中のブロックなどを片付ける際、壊してしまうことに強い抵抗を感じる子がいます。その場合は、「壊して片付ける」以外の選択肢を提示しましょう。
・NG: 「きれいに片付けてね」
・OK: 「これはかっこいいね。壊さないで、この棚の上に置いておこうね。明日また続きをしよう」
このように「続きができること」を約束することで、安心して今の活動を終えることができます。
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気になる子の保育に求められる言葉かけを、「伝わる言葉」と「伝わらない言葉」の対比で具体的に学ぶ一冊。気になる子やその親、クラスの子、職員に対してなど約30の例を収載。伝わる(伝わらない)理由を理解することで、必要な配慮とコミュニケーション法が身につく。
